8章B 類題4-1(140223)                 TOP-B


[問題] 下の文章 (a), (b), および (c) を読んで, 問1~問4に答えなさい。

 (a) 
ある種の細菌には, 多糖とポリペプチドが網目状に結合した構造体(ペプチドグリカン)が生体構成成分として含まれる。下図1は, その構造を模式的に示したものであり, S1 および S2 は多糖を構成する単糖を, A1~A5 はポリペプチドを構成するアミノ酸をそれぞれ表している。

 (b) ペプチドグリカンを構成する多糖は, N-アセチルグルコサミン(S1) と N-アセチルムラミン酸(S2) が, 交互に β-1,4-グルコシド結合したものである。

 N-アセチルグルコサミンは, グルコースの2位の炭素原子に結合したヒドロキシ基がアミノ基に置換され, さらにそのアミノ基がアセチル化された化合物である。N-アセチルムラミン酸は, N-アセチルグルコサミンの3位の炭素原子に結合したヒドロキシ基にエーテル結合した化合物である。


問1 
ペプチドグリカン中の N-アセチルグルコサミン(S1) と N-アセチルムラミン酸(S2) からなる二糖繰り返し単位の構造式として正しいものを, 下図2の(ア)~(エ)から1つ選び, 記号で答えなさい。

 ただし, 構造式中の 1~6 は, 炭素原子の位置番号を示す。また, R1~R4 は, N-アセチルムラミン酸に含まれる原子団を表わし, その構造を各構造式の下に示す。

                            


 (c) 下図1に示すように, ペプチドグリカン中のポリペプチドには, 多糖中の N-アセチルムラミン酸(S2) にアミド結合したテトラペプチド(A1~A4 の4アミノ酸から構成されるペプチド)と, テトラペプチド間をつなぐペンタペプチド(5つの A5 から構成されるペプチド)が存在する。

 ペプチドグリカン中の A2 と A3 の間, および A3 と A5 の間の結合は, 通常のペプチド結合ではなく, アミノ酸側鎖(R)に含まれる官能基が関与するアミド結合である。

 ペプチドグリカンの加水分解産物から, 下図3に示す構造をもつアミノ酸が同定された。各アミノ酸の等電点は, 表1に示す通りである。また, A1 は A4 の光学異性体であり, A5 には光学異性体が存在しない。

                              表 1

     アミノ酸A1 : 等電点 6.00  アミノ酸A2 : 等電点 3.22  アミノ酸A3 : 等電点 9.74

     アミノ酸A4 : 等電点 6.00  アミノ酸A5 : 等電点 5.97



問2 A1~A5 に該当するアミノ酸の名称を答えなさい。ただし, 光学異性体は区別しなくてよい。

                            


問3 1分子の A2 と 1分子の A3 がアミド結合して生じるジペプチドは, 何種類考えられるかを答えなさい。ただし, 光学異性体は区別しなくてよい。

                            


問4 
A2 と A3 がアミド結合して生じるジペプチドのうち, ペプチドグリカン中に含まれる A2 と A3 の結合様式と同じ結合様式をもつジペプチドの構造式を, 下図4の記入例にならって記しなさい。

 ただし, 光学異性体は示さなくてよい。また, ペプチドグリカン中で A1 とのアミド結合に用いられる官能基を実線で, A5 とのアミド結合に用いられる官能基を点線で, 下図4の記入例にならってそれぞれ囲みなさい。

                            

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