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問1の答30( B )


● 純物質の沸点での温度では, その物質の液体で蒸気の泡が, 液体表面ばかりでなく液体内部からも生じる。 いわゆる沸騰現象が見られる。この沸騰は液体から気体への状態変化である。沸騰の間で供給されるエネルギーは液体状態の粒子間で引きあう力に打ち勝つためのエネルギーである。

 分子の引きあう力(分子間力)において,

● 分子構造の分かっている複数の無極性分子間では, その引きあう力は, 分子内で瞬間的に変わる振動の電子の分布から生じる正と負の電荷の引力に依存している。これは分散力と呼ばれている。ある系の分散力は各対に働く分散力の和となる。
 一方, ファンデルワールスの状態式から誘導されるファンデルワールス力は, 本質的に分散力と同等である。直鎖のアルカンのような同族体では, その分子量に依存し, 分子量が大きくなれば大きくなる。また, メタンCH4(炭素原子数 1)やプロパンC3H8(炭素原子数 3)は室温で気体であるのでそれらの沸点は室温以下である。


問2

 (a)の答31( D )



 (b)の答32( B )


● 沸騰石中に多くの微小粒状の気体が存在し, その気体が, 沸騰水中では, 気泡の核となり, そこから沸騰水の気泡が発生する。そのため突沸が防止される。

● 生成される物質は揮発性物質であるため, 冷却剤(氷など)で液化させることができる。

● エタノールは, 硫酸酸性の二クロム酸カリウムで酸化され, アセトアルデヒド CH3CHO になる。

                  CH3CH2OH → (酸化, 2個の水素原子除去) → CH3CHO

● 硝酸銀水溶液に少量のアンモニア水を加えると, 褐色の酸化銀 Ag2O が沈殿する。

                  AgNO3 + NH3 + H2O → AgOH + NH4NO3

                       2AgOH → Ag2O(沈殿) + H2O

● アンモニア性硝酸銀水溶液にアセトアルデヒド CH3CHO を加えて加熱すると, 還元剤のアルデヒドによりアンモニア性硝酸銀水溶液中の銀の錯イオンが還元され銀Ag が析出される(銀鏡反応)。

                     [Ag(NH3)2]+ + e- → Ag + 2NH3


問3の答33( B )


●1 酢酸エチル CH3COOC2H5 は濃硫酸(脱水作用)を触媒として酢酸 CH3COOH とエタノール C2H5OH から次のように合成される :

                  CH3COOH + C2H5OH → CH3COOC2H5 + H2O

 ここで, 完全反応では, 反応物の酢酸 CH3COOH と生成物の酢酸エチル CH3COOC2H5 のモル比は, 上式の係数を比較すると, 1 : 1 であることが分かる。

●2 生成された 88 g の酢酸エチルの物質量は, 相対分子量が 4×12 + 8×1.0 + 2×16 = 88 g/mol であるので,

                        88 g/{88 g/mol} = 1.0 mol

 以上の●1と●2から, 反応物の酢酸 CH3COOH は, 完全反応では 1.0 mol 費やされたことが分かる。よって, 反応前の酢酸は 2.0 mol 存在していたので, 酢酸の変化は,

                       (1.0 mol/2.0 mol)×100 = 50 %