答 元の問題へ
問1の答 吸熱
[理由] 分子中の共有結合が切断され原子状のヨウ素を形成するためには外部からエネルギーを加える必要がある。
問2の答 左側から右側へ
[理由] 反応(3)は, ルシャトリエの法則から, その温度上昇を抑える方向, すなわち左側から右側への吸熱方向へ平衡が移動する。
● 問1の解答を参照すると, 反応(3)の熱化学方程式は次のようになる。
I2 = 2I - 150 kJ・mol-1
そこで, 圧力一定で温度を上昇させたとき, 反応(3)は, ルシャトリエの法則から, その温度上昇を抑える方向, すなわち左側から右側への吸熱方向へ平衡が移動する。
問3の答 活性化状態
● 化学反応は, 一般に, 1つの反応分子系がポテンシャルエネルギーの高い臨界状態(活性化状態)を経て, 原子の組合せの異なる状態すなわち生成系へ移ると考える。この臨界状態(活性化状態)を超えるに必要な最小エネルギーを活性化エネルギーという。
● なお, 反応熱Qは, 生成分子系のポテンシャルエネルギーから反応分子系のポテンシャルエネルギーを引いた値にマイナス記号(-)を付けた値に相当する。ここで,
反応系と生成系のポテンシャルエネルギーは, ポテンシャルエネルギーの基準点として無限大の空間端をゼロとしているため常に負値となる。
● 生成分子系のポテンシャルエネルギーは, 発熱反応の場合, 反応分子系より低い状態にあり, 吸熱反応の場合は逆に高い状態にある。
問4の答 159 kJ・mol-1
● 反応(4)の反応熱を Q kJ・mol-1 とすると, 熱化学方程式は次のようになる。
H2 + 2I = 2HI + Q kJ・mol-1 …(i)
一方, 次の熱化学方程式が成立している。
H2 + I2 = 2HI + 9 kJ・mol-1 …(ii)
I2 = 2I - 150 kJ・mol-1 …(iii)
よって, (i) を変形すると,
Q = (H2 + 2I) - 2HI
この式へ (ii) と (iii) を代入すると,
Q = {H2 + (I2 + 150)} - (H2 + I2 - 9) = 150 + 9 = 159 kJ・mol-1
よって,
H2 + 2I = 2HI + 159 kJ・mol-1
問5の答
反応(4) H2 + 2I → 2HI の HI の生成速度 vH I は vH I = k2[H2][I]2 であるので, この式へ式(5)を代入すると, vH I = k2K[H2][I2]. したがって, 反応(4)の反応速度は [H2] と [I2] の積に比例する。
[関係式] k1 = k2K
●1 次の反応(式(3)と同一)
I2 ⇄ 2I …(i)
において,
正反応の I の生成速度を vI およびその速度定数を kI, 逆反応の I2 の生成速度 vI2 およびその速度定数を kI2 とすると, 次式が成立する。
vI = kI[I2] vI2 = kI2[I]2
そこで, 反応(i)は平衡状態であるので,
vI = vI2
よって,
kI[I2] = kI2[I]2 …(ii)
与えられている平衡定数 K を使用すると,
K = kI/kI2 =[I]2/[I2] …(iii)
ただし, この式は(5)と同一。
●2 一方, 反応(4)
H2 + 2I → 2HI …(4)
の HI の生成速度 vH I は次式で表わされる。
vH I = k2[H2][I]2 …(iv)
●3 ●2の(iv)へ●1の(iii)を代入して[I]2を消去すると,
vH I = k2[I2][I]2 = k2[H2]{K[I2]} = k2K[H2][I2]
この式から, HI の生成速度 vH I は, [H2] と [I2] の積に比例し, 実験事実と合致する。実験式(2)と比較すると次の関係が導き出される。
k1 = k2K
問6の答 [I2] に比例
● 反応(3)と(4)において
I2 ⇄ 2I …(3) H2 + 2I → 2HI …(4)
反応(3)の正反応・逆反応の速度よりも, 反応(4)の反応速度の方が圧倒的に速いと, HI の実質的な生成速度 vH I は, 次式のように, 反応(3)において, vI の正・逆の反応の遅い速度差に依存することになる。言い換えるならば, [I2] に比例する。
vH I = (kI - kI2)[I2]