7章C 類題2-2(130424)                 TOP-C


[問題] 次の文章を読み, 以下の問1〜6に答えなさい。


 配位子が金属イオンに結合した構造を持つ化合物を錯体と呼び, イオン性の錯体は錯イオン, その塩は錯塩と呼ばれる。錯体は金属イオンの種類, 配位子に依存して, 図1のように@様々な構造(α〜δ)を形成する。1893年にウェルナーは, Aコバルト化合物を詳細に調べ, 現在の錯体化学の基礎となる”配位説”を提唱した。
 ”配位説”以降, 様々な錯体が発見されている。例えば, ヒトの血液中では, ヘモグロビンの( a )錯体が酸素を運搬する役割を担っており, ( a )の不足により貧血となる。人工的に合成される錯体は, エレクトロニクス材料, B抗がん剤などの様々な分野で用いられている。硬水の軟化, 水の硬度測定などは, 金属イオンと 1対 1で錯体を生成しやすいCエチレンジアミン四酢酸(EDTA)(図2)のナトリウム塩を用いて行われる。
 有用物質合成に利用されている錯体は, 触媒として働いて, 反応の( b )を減少させることで反応速度を増加させる。このような錯体は, 現在の我々の生活に非常に密着した化合物群となっている。
           (image507)

問1 下線部@の例として, 構造(α, γ)を持つアミン錯体を形成する金属イオンを, Zn2+, Cu2+, Na+, Ag+, Mg2+ の中からそれぞれ 1つずつ選びなさい。

                    

問2 下線部Aの化合物の代表例は, 4つのアンモニア分子, 2つの塩化物イオンを配位子として有する[Co(NH3)4Cl2]+ である。この錯体は八面体構造(δ)をとり, 2つの幾何異性体が存在する。それらの分子構造を描きなさい。

                    

問3 ( a )に入る金属の元素記号を答えなさい。

                    

問4 2つのアンモニア分子, 2つの塩化物イオンを配位子として有する白金イオン(Pt2+)の錯体は構造(β)を有し, その幾何異性体の1種は下線部Bとして利用されている。この白金錯体において考えられる幾何異性体の分子構造を全て描きなさい。

                    

問5 下線部CのEDTA溶液において, そのEDTAがカルシウムイオン(Ca2+)へ配位すると色が変化する指示薬を用いて滴定を行い, Ca2+溶液 0.10L の濃度を測定した。
 0.010 mol/L のEDTA溶液を 5.0 ml 滴下することで反応が終了し, 溶液の色が変化した。この溶液における Ca2+濃度を求めなさい。ただし, Ca2+へEDTAが配位した Ca-EDTA錯体の生成定数 K = [Ca-EDTA]/([EDTA][Ca2+]) は 3.9×1010 L/mol であり, pH の変化, Ca2+溶液中の陰イオンの効果は考慮しなくても良い。

                    

問6 ( b )に入る語句を答えなさい。