7章C 類題2-1(130315)                 TOP-C


[問題] 次の文章を読み, 以下の問1〜5に答えなさい。
必要があれば次の値を使用しなさい。(2)1/2 = 1.41, (3)1/2 = 1.73, アボガドロ定数 : 6.02×1023/mol. なお, 文中のエネルギーは, いずれも 25℃, 1気圧(1.013×105 Pa)における値の絶対値とする。また, 原子量は, Na = 23.0, Cl = 35.5 である。

 イオン結晶は, 陽イオンと陰イオンのイオン結合によりできている。イオン半径は, イオン結晶の単位格子の大きさとイオンの充填様式から計算できる。図2-1に代表的なイオン結晶である塩化ナトリウム(NaCl), 塩化セシウム(CsCl)の結晶構造を示す。1〜8 は各原子の番号を表わす。NaCl, CsClの単位格子は立方体であり, その1辺の長さはそれぞれ, 0.564 nm, 0.402 nmである。

 ある結晶がイオン結晶であることは, 結晶の格子エネルギー(イオン結合をすべて切断し, イオンを互いに遠く離して静電気的な力を及ぼしあわない状態にするのが必要なエネルギー)の理論値 UA と, 図2-2より熱化学的に求められる実験値 UB がよく一致することにより示される。

 図2-2に示すCsClの UB は, CsCl(固体)の生成熱(433kJ/mol), Cs(固体)の昇華熱(79kJ/mol), Cs(気体)の第一イオン化エネルギー(376kJ/mol), Cl2(気体)の結合エネルギー(242kJ/mol), Cl(気体)の電子親和力(354kJ/mol)により, ヘスの法則を用いて熱化学的に求めることができる。
     (image497)

問1.
 セシウムイオン(Cs+)の半径は 0.181nm である。図2-1を用いてナトリウムイオン(Na+)の半径を計算しなさい。ただし, 図2-1(a), 図2-1(b)の塩化物イオン(Cl-)の半径の値は同じとする。

                    

問2. 金属ナトリウム(Na)の密度は 1.00g/cm3 であり, 体心立方格子をとる。Na の金属結合半径と Na+ の半径はどちらが小さいですか。計算式を示して答えなさい。

                    

問3. Na の金属半径と Na+ の半径に差が生じる理由を 40字以内で述べなさい。

                    

問4. 図2-2に示す UB(kJ/mol)を計算しなさい。計算の過程も示しなさい。

                    

問5. イオン結晶のなかでも, 周期表の両端の元素からできている NaCl や CsCl では, UA と UB の値がよく一致する。一方, 塩化銀(AgCl)ではUA と比較して UB が大きくことなる。この理由を 50字以内で述べなさい。