答                                               元の問題へ


問1の答       HClaq + KOHaq = KClaq + H2O(液) + 55.5 kJ
 


[ヒント]

デュワー瓶(6)内の反応容器(5)の中で発熱反応が起きると, 氷 x[g]がその熱を吸収して溶け水(液体) x[g]になるとする。周囲は0℃状態なので 3 と 4 の総和の体積は減少することになる。その減少体積を儼1 [cm3]で表わすと
                       儼1 = (x/0.917) - (x/1.00)
一方, ガラス細管のメニスカス(1)が9.05cm下降しているからその体積儼2
                       儼2 = 9.05×0.0100 = 0.0905 [cm3]
よって, 儼1 = 儼2から, 相変化した水の質量 x[g]は
                           x = 9.9986×10-1 [g]
物質量 mol になおすと, 水の分子量が18から
                  x/18 = (9.9986×10-1)/18 = 5.5548×10-2 [mol]  …@
氷の融解熱:6.00[kJ/mol]から, @により発熱量 q [kJ]は
                    q = 6.00×(5.5548×10-2) = 33.3288×10-2 [kJ]
発熱量 q は, 1.00mol/L(g)の6ml 塩酸と1.00mol/Lの6ml 水酸化カリウム水溶液を混ぜたときに発生した値で物質量に換算すると,
                      1.00×(6/1000) = 6.00×10-3[mol]
したがって, 1[mol]の塩酸と水酸化カリウム水溶液の反応で生じる発熱量をQ [kJ/mol]とすると次式が成立する。
                     (6.00×10-3):(33.3288×10-2) = 1:Q
よって                          Q = 55.548 [kJ/mol]
求める中和反応の熱化学方程式は
                 HClaq + KOHaq = KClaq + H2O(液) + 55.5 kJ (答)


問2の答      NH4NO3(固) + aq = NH4NO3 aq - 25.9 kJ 


[ヒント]

デュワー瓶(6)内の反応容器(5)の中で吸熱反応が起きると, 水 x[g]がその熱を放出して凝固し氷(固体) x[g]になるとする。周囲は0℃状態なので 3 と 4 の総和の体積は増加することになる。その増加体積を儼1 [cm3]で表わすと
                       儼1 = (x/0.917) - (x/1.00)
一方, ガラス細管のメニスカス(1)が4.40cm上昇しているからその体積儼2
                       儼2 = 4.40×0.0100 = 0.0440 [cm3]
よって, 儼1 = 儼2から, 相変化した水の質量 x[g]は
                           x = 4.8612×10-1 [g]
物質量 mol になおすと, 水の分子量が18から
                  x/18 = (4.8612×10-1)/18 = .2.7007×10-2[mol]  …@
氷の融解熱:6.00[kJ/mol]から, @により吸熱量 q [kJ]は
                    q = 6.00×(2.7007×10-2) = 16.2042×10-2 [kJ]
吸熱量 q は, 水10 ml に硝酸アンモニウム0.500gを溶かしたときに発生した値で, 硝酸アンモニウム0.500gの物質量molは, 硝酸アンモニウム:NH4NO3の式量が80なので(水10ml は溶媒として作用しているのでその物質量は考慮しなくてもよい)
                          0.500/80 = 0.00625 [mol]
したがって, 1[mol]の硝酸アンモニウムの溶解で生じる吸熱量をQ [kJ/mol]とすると次式が成立する。
                     (0.00625):(16.2042×10-2) = 1:Q
よって                          Q = 25.9[kJ/mol]
求める硝酸アンモニウムの溶解での熱化学方程式は
                NH4NO3(固) + aq = NH4NO3 aq - 25.9 kJ (答)


問3の答    3.04 ℃


[ヒント]

6.00mol/Lの15.0ml 塩酸と 水酸化カリウム水溶液の物質量molは
                       6×(15/1000) = 0.0900 [mol]
この物質量の塩酸と 水酸化カリウム水溶液の反応で出てくる反応熱は, 問1の反応熱55.5 [kJ/mol]から
                         55.5×0.09 = 4.995 [kJ]
氷10gに消費される熱量は, 氷の融解熱は6.00 [kJ/mol]より
                        6×(10/18) = 3.333 kJ
水(液体)および溶液の上昇温度をt℃とすると, それに消費される熱量は次式で表わされる。
       (比熱)×(質量)×(温度差) = 4.20×(100 + 15×2)×(t - 0) = (4.995 - 3.333)×103
よって,                      t = 3.044 ℃


問4の答   1.84 [K・kg/mol] 


[ヒント]

希薄溶液の凝固点降下の式は
                           冲 = Kf m …@
ただし, 冲:凝固点降下度(降下した温度差の値) 単位Kまたは℃, Kf:モル凝固点降下 単位[K・kg/mol],
m:質量モル濃度
                        m = (w/M)×(1000/W) …A
ただし, w:溶質の質量 単位[g], M:溶質の分子量, W:溶媒の質量 単位[kg]
@とAに問題で与えられている値を代入すると,
                         冲 = 0 - (-2.3) = 2.3
                       2m = 2×(0.5/80)×[1000/(10×1)]
ここで, 質量モル濃度を2倍しているのは, 硝酸アンモニウムは水中で完全電離すると次式のように1molが2molの作用をすることによる。
                         NH4NO3 → NH4+ + NO3-
よって@から
                            2.3 = Kf×1.25
                        ∴ Kf = 1.84 [K・kg/mol]


問5の答

極性水分子から成る氷では基本的に酸素原子どうしは水素結合によって隙間の富んだ正四面体構造を取っているが, 加熱されると水素結合が切断され水分子の熱運動により隙間が減少し体積が減少する。


[ヒント]

水H2O の密度は3.986℃(ほぼ4℃)で最大になる…0.999973 g/cm3