6章C 類題3-1(111014)                 TOP-C


[問題] 次の文章を読み, 以下の問1〜5に答えなさい。
ただし, 原子量は, H=1.0, C=12.0, O=16.0, I=127.0 とする。構造式は次図の例のように示しなさい。
         (image445)

 みかんの皮は, 昔から漢方薬や入浴剤として使われている。この果皮の成分として, 炭素原子と水素原子だけからなる化合物Aが得られた。化合物Aは不斉炭素原子を有し, 常温・定圧で無色透明の液体である。化合物Aの構造を決定するために以下のような実験を行った。

[実験1] ある一定量の化合物Aを完全燃焼させたところ, 二酸化炭素 11.0 mg, 水 3.6 mg が得られた。また, 分子量の測定値は 138±3 であった。

[実験2] 化合物A 50.0 mg に水素を付加させたところ, 標準状態に換算して 16.5 mL の H2 を吸収し, 飽和化合物Bを生じた(ただし, 標準状態の H2 1.00 mol の体積は 22.4 L とする)。

[実験3] 下記のアルケンを酸性の過マンガン酸カリウム溶液中で熱すると, ケトンとカルボン酸を生じる。

  R-C(R')=CH-R'' →(KMnO4)→ R-C(R')=O + O=C(OH)-R''  (R, R', R'' : 炭化水素基)

 化合物Aを酸性の過マンガン酸カリウム溶液中で熱すると, 生成物の1つとして以下の部分構造式をもつモノカルボン酸(一価カルボン酸) C が得られた。

  C : 〜-CH2-CH2-CH(〜)-CH2-CO-OH

[実験4] ヨードホルム反応は以下の式(1)にしたがって進行するという。

  R-CO-CH3 + ( i )I2 + ( ii )NaOH → R-CO-ONa + CHI3 + ( iii )NaI + ( iv )H2O  …(1)

 モノカルボン酸Cはヨードホルム反応を示し, モノカルボン酸C 0.100 mol に対して, 消費されたヨウ素I2の重量は 152.4 g であった。この実験と実験3の結果から, モノカルボン酸Cの構造式が決定できた。


問1. 化合物Aの分子式を求めなさい。

                             

問2. 実験2から, 化合物Aに含まれる不飽和結合の種類と数について2通りの組み合わせが考えられる。それぞれを記しなさい。

                             

問3. 式(1)の係数( i )〜( iv )を記しなさい。

                             

問4. 上記実験1〜4で得られる情報から, 化合物Aとして考えられる構造式は3種類にしぼられる。これらの構造式を示しなさい。ただし光学異性体は同一の化合物とみなす。

                             

問5. 実験2で得られた飽和化合物Bは不斉炭素原子をもたないことがわかった。この情報により, 問4で推定された候補の中から化合物Aを特定することができた。その構造式を示しなさい。また, 化合物Aの不斉炭素原子を*で記しなさい。