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問1の答 C10H16
実験1において, 炭素原子と水素原子だけからなる化合物Aは, その一定量を完全燃焼させたところ, 二酸化炭素 11.0 mg, 水 3.6 mg が得られたことから,
炭素原子と水素原子の質量[mg]を, それぞれ WC と WH とすると,
WC = 11.0×(C/CO2) = 11.0×(12/44) mg
WH = 3.6×(2H/H2O) = 3.6×(2/18) mg
そこで, 組成式を CmHn とすると,
m : n = {11×(12/44)/12} : {3.6×(2/18)/1} = 0.25 : 0.4 = 5 : 8
よって, 組成式は, C5H8, 式量は 68 となる。実験1の分子量 138±3 を考慮すると, 化合物Aの分子式は組成式の2倍になる。よって, 分子式は,
A : C10H16 (分子量:136)
問2の答
○ 二重結合が 2つ存在
○ 三重結合が 1つ存在
実験2において, 化合物A : 0.05/136 mol は, (16.5×10-3 )/22.4 mol の水素 H2 を吸収し, 飽和化合物Bを生じたことになる。よって,
化合物A : 1 mol + 水素 H2付加 : {(16.5×10-3 )/22.4}×(136/0.05) = 2.0 mol → 飽和化合物B
A + 2H2 → B …(1)
○ 上式(1)より, 化合物Aの分子式 C10H16 に二重結合が 2つ存在することがわかる。
○ 上式(1)より, 化合物Aの分子式 C10H16 に三重結合が 1つ存在することがわかる。
問3の答 (i):3, (ii):4, (iii):3, (iv):3
実験4において, ヨードホルム反応は以下の式(1)にしたがって進行する。
R-CO-CH3 + ( i )I2 + ( ii )NaOH → R-CO-ONa + CHI3 + ( iii )NaI + ( iv )H2O …(1)
(1)式の左右の各原子数が等しいことを考慮すると次のようになる:
R-CO-CH3 + 3I2 + 4NaOH → R-CO-ONa + CHI3 + 3NaI + 3H2O
よって, (i):3, (ii):4, (iii):3, (iv):3 となる。
問4の答 下図の(I)', (II)', (III)'
○化合物Aの分子式は C10H16 であるので, その分子中に炭素原子数が 10, 水素原子数が 16 存在する。
○次のことから化合物Aの分子式 C10H16 に二重結合が 2つ存在し, 三重結合の存在はないことがわかる。
まず, 実験4において, ヨードホルム反応は以下の式(1)にしたがって進行する。
R-CO-CH3 + 3I2 + 4NaOH → R-CO-ONa + CHI3 + 3NaI + 3H2O (1)
そして, 「モノカルボン酸Cはヨードホルム反応を示し, モノカルボン酸C 0.100 mol に対して, 消費されたヨウ素I2の重量は 152.4 g であった」ことから, モノカルボン酸C 1 mol に対してのヨウ素の重量を W とすると,
W = 152.4/0.1 = 1524 g
そのヨウ素I2の物質量 M は
M = W/(127×2) = 1524/(127×2) = 6 mol
式(1)を考慮すると, M = 6 mol であるためにはモノカルボン酸分子の中に2個の-CO-CH3 が存在することになる。
そこで, 実験3のモノカルボン酸の部分構造式を参照すると,
C : (〜)CH2-CH2-CH(〜)-CH2-CO-OH
ここで, (〜)には炭化水素基または水素基が結合する。(〜)の中に2個の-CO-CH3 が存在すること意味する。
また, モノカルボン酸Cの分子中の 2つの-CO-CH3基と 1つの-CO-OH基は, 実験3より, 化合物A中の二重結合が過マンガン酸カリウム溶液と反応して生じる。
-C(CH3)=CH- →(酸性KMnO4)→ -CO(CH3) + -COOH
以上の条件から, 化合物Aの構造式は次のことを満たす必要がある。
@炭素原子数:10, 水素原子数:16
A-C(CH3)=C- が 2個存在
BCH2(〜)-CH2-C*H(〜)-CH2-CH=C(〜)- の主骨格が存在(Cの部分構造を参照)。
ただし, (〜)には炭化水素基または水素基が結合する。また, C*は不斉炭素をあらわす。
@〜Bから化合物Aの構造は次のように考えられる。
(image446)
ただし, (I)〜(III)はBの主骨格がわかるように, (I)'〜(III)'は問題中の構造式にそって描いてある。ここで,上図の化合物Aは,
いずれも酸性KMnO4水溶液との反応で, A中の2つの二重結合が切断酸化されて, 2つの-CO-CH3基もつモノカルボン酸が生じる。
問5の答 上図の(I)'
化合物Aにおいて, 問4の(I)〜(III)(または(I)'〜(III)')の中で, 水素付加で飽和化合物Bが生じたとき, そのBが不斉炭素原子をもたないようになるのは(I)(または(I)')である。
C1H2-CH2-C*H(C(CH3)=CH2)-CH2-CH=C2-CH3 + 2H2
→ C1H2-CH2-CH(CH(CH3)-CH3)-CH2-CH2-C2H-CH3
ただし, C1とC2は直接単結合している。