答                                 元の問題へ


問1の答

  [i]:2, [ii]:1, [iii]:2, [iv]:1, [v]:2, [vi]:2, [vii]:4,

  [viii]:4

  [A]:Cl-, [B]:Cl2, [C]:H2O, [D]:H2, [E]:Na+, [F]:H2O


 [問題]文中の(1)〜(3)において, 水溶液中の食塩 NaCl は, NaCl → Na+ + Cl- のように電離しているので,

 陽極室における陽極の酸化反応 (1) では,

  2Cl- → Cl2 + 2e-   (1)

 陰極室における陰極の還元反応 (2) では,

  2H2O + 2e- → H2 + 2OH-   (2)

 また, イオン交換膜法の消費電力量削減のために, 陰極で酸素を直接還元する方法では,

  O2 + 2H2O + 4e- → 4OH-   (3)

 上の(1)〜(3)式と[問題]文中の(1)〜(3)式を比較すると,

  2Cl- → Cl2 + 2e-   (1)
  [ i ][  A  ] → [ ii ][  B  ] + 2e-   (1)

   2H2O + 2e- → H2 + 2OH-   (2)
  [ iii ][  C  ] + 2e- → [ iv ][  D  ] + [ v ]OH-   (2)

  O2 + 2H2O + 4e- → 4OH-   (3)
  O2 + [ vi ][  F  ] + [ vii ]e- → [ viii ]OH-   (3)

 よって,

 [ i ]〜[ viii ]の数値は,

  [i]:2, [ii]:1, [iii]:2, [iv]:1, [v]:2, [vi]:2, [vii]:4, [viii]:4

 [ A ]〜[ F ]の化学式(イオン式も含む)は,

  [A]:Cl-, [B]:Cl2, [C]:H2O, [D]:H2, [F]:H2O

 一方, 図1の@のイオン交換膜において選択的に透過し陰極室へ移動し易いイオンは, 陽イオンであるので, [E]は,

  [E]:Na+


問2の答   599g


 陰極室の流出液 1000g中には,

  NaCl:176g,  NaOH:120g,  H2O:1000 - (176 + 120) = 704g

 ここで, 25℃で NaOH の飽和水溶液をつくるために蒸発する水を xg とすると, NaOH の溶解度から次式が成立する。

  100 : 114 = (704 - x) : 0.120×1000

  114(704 - x) = 120×100

  x = 704 - (120×100)/114 = 599g


問3の答   45.7 %


 問2の解説を参照して, 濃縮後の水溶液中の水の質量 W1 は,

  W1 = 704 - 599 = 105g

 水 W1 gに溶ける NaCl の質量 W2 は,

  100 : 35.9 = 105 : W2

  W2 = 35.9×(105/100) = 37.695g

 そこで, 濃縮後の NaOH の質量パーセント濃度 M とすると, 問2の解説を参照して,

  M = 100×120/(105 + 120 + 37.7) = 45.7 %


問4の答

  (物質名) 次亜塩素酸ナトリウム

  (反応式) 2NaOH + Cl2 → NaCl + NaClO + H2O


 電解槽内のイオン交換膜に亀裂が生じると, 陽極で生じた塩素 Cl2 の1部が陰極室へ移動して, 陰極室にすでに存在している塩基の水酸化ナトリウム NaOH と次のように酸化還元反応をする:

  2NaOH + Cl2 → NaCl + NaClO + H2O

 生成した次亜塩素酸ナトリウム NaClO は発生基の酸素を生じるために強力な漂白作用を示す。


問5の答

  NaCl + (1/4)O2 + (1/2)H2O(液) = NaOH + (1/2)Cl2 - 80kJ


 陽極では,

  2Cl- → Cl2 + 2e-   (i)

 陰極では,

  O2 + 2H2O(液) + 4e- → 4OH-   (ii)

 ここで, 電子授受における電子数は同じであるので, (i)×2 + (ii) では,

  4Cl- + O2 + 2H2O(液) → 2Cl2 + 4OH-

 よって, Na+ を加えると,

  4NaCl + O2 + 2H2O(液) → 2Cl2 + 4NaOH

 1mol のNaCl に対する熱化学方程式は,

  NaCl + (1/4)O2 + (1/2)H2O(液) = NaOH + (1/2)Cl2 + Q kJ  …(iii)

 一方, 問5で与えられている次の熱化学方程式において,

  H2 + (1/2)O2 = H2O(液) + 286kJ  …(a)

  NaCl + H2O(液) = NaOH + (1/2)H2 + (1/2)Cl2 - 223kJ  …(b)

 (a)×(1/2) + (b) は

  [(1/2)H2 + (1/4)O2 + NaCl + H2O(液)] = [(1/2)H2O(液) + 143kJ + NaOH + (1/2)H2 + (1/2)Cl2 - 223kJ]

  [(1/4)O2 + NaCl + (1/2)H2O(液)] = [NaOH + (1/2)Cl2 - 80kJ]

 よって,

  NaCl + (1/4)O2 + (1/2)H2O(液) = NaOH + (1/2)Cl2 - 80kJ