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問1の答 (EZ + IZ) - (EX + IX)
分子から放出されるエネルギーが大きければ大きいほど, その分子は安定であるので, いま X+Z- と X-Z + の放出エネルギーの差において, 次式を考える。
DXZ = (X+Z- の放出エネルギー) - (X-Z+ の放出エネルギー)
= (EZ - IX + Δ) - (EX - IZ + Δ) = (EZ + IZ) - (EX + IX)
ここで, X+Z- が X-Z+ より安定であるためには, DXZ>0 となる。 また X-Z+ が X+Z- より安定であるためには, DXZ<0 となる。このことは, 問題文中の「DXZが正の場合は, X+Z-がより安定に, DXZが負の場合は, X-Z+がより安定」に適合する。
問2の答 E + I
問1の答の解説の「X+Z- が X-Z+ より安定であるためには, DXZ>0 となる。 また X-Z+ が X+Z- より安定であるためには, DXZ<0 となる」ことから, XZ中の X に注目すると, X が X- になるためには,
DXZ = (EZ + IZ) - (EX + IX)<0
そこで, X は (EX + IX) がより大きいものほど XZ 中で負の電荷を帯びることになる。一般的には, 二原子分子において, その中の1つの原子に注目すると, その 原子の電子親和力Eとイオン化エネルギーIの和 (E + I) がより大きいことに相当する。
問3の答 3.51×10-18J
酸素原子について, 上の表を参照すると,
元素 O イオン化エネルギー(I) 29.7×10-19J 電子親和力(E) 5.4×10-19J
よって,
E + I = 29.7×10-19 + 5.4×10-19 = 35.1×10-19 = 3.51×10-18J
問4の答 HF OH CH
[理由]
問題文から, マリケンの電気陰性度において, (E + I)の1/2を原子の電気陰性度とし, 二原子分子の極性は, 構成する 2つの原子の電気陰性度の差でその大きさを記述することができるとする。
例えば二原子分子で, 2つの原子間距離を L, それぞれの原子の電荷を +δ, -δとすると, 電気双極子モーメントの大きさは Lδである。ここでδ≧0
が原子の電気陰性度の差に相当する。
そこで, 1つの原子において, マリケンの電気陰性度を ME とすると,
ME = (E + I)/2 …(1)
(1)式と上の表を使用して, H, C, O, F の各原子の ME を計算すると, その値は次のようになる。ただし, 各値は, ×10-19J を省略している。
HのME : 11.5 CのME : 12.75 OのME : 17.55 FのME : 19.5
そこで, 二原子分子において, その中に含まれる 2つの原子の ME の差を考えると,
CH において,
δ= 12.75 - 11.5 = 1.25
OH において,
δ= 17.55 - 11.5 = 6.05
HF において,
δ= 19.5 - 11.5 = 8.0
以上から, 極性の大きな順番に左から並べると,
BHF > AOH > @CH
問5の答 0.41 個分
[過程]
問題文から, 「二原子分子であれば, 2つの原子間距離を L, それぞれの原子の電荷を +δ, -δとすると, 電気双極子モーメントの大きさは
Lδである」ことより, 二原子分子の電気双極子モーメントの大きさをμとすると,
μ= Lδ …(1)
HF分子の電気双極子モーメントの大きさは 6.1×10-30 C・m, HFの原子間距離を 9.2×10-11m であるので, これらの値を(1)式に代入すると,
6.1×10-30 = (9.2×10-11)δ
よって, HとFの電荷は,
δ= 0.663×10-19 C
ここで, 電気陰性度の大きさはFが大(問4の解参照)であるので, H は+ (プラス), F は- (マイナス)の電荷を帯びる。
そこで, 電子の移動は H → F で, その電子の個数分を N とすると,
N = δ/(1.6×10-19) = (0.663×10-19)/(1.6×10-19) = 0.41 個分
問6の答
[理由]
C, N, O の各原子の周期表の位置(C:2周期14族, N:2周期15族, N:2周期16族)から, それらの電気陰性度の大きさは次のように想定される:
O > N > C
そこで, CO の電気双極子モーメントは次のようにベクトルで表される。
C+δ→O-δ …(1)
NO の電気双極子モーメントは,
N+δ→O-δ …(2)
いま三原子分子において,
● 二酸化炭素分子 CO2 の場合は, 直線上において, 炭素原子 C を中心に, 両側に 2つの酸素原子が同距離で存在する。この直線形三原子分子である二酸化炭素分子
CO2 の電気双極子モーメントは, (1)を参照して,
O-δ←+δC+δ→O-δ
ここで, ベクトル総和で0(ゼロ)となる。このことは, 二酸化炭素分子は無極性であることを意味する。
● 二酸化窒素分子 NO2 の場合は, 二等辺三角形の辺上において, 窒素原子 Nを頂点に, 両側の 端に 2つの酸素原子が同距離で存在する。この二等辺三角形三原子分子である二酸化窒素分子
NO2 の電気双極子モーメントは, (2)を参照して, ベクトル総和で0(ゼロ)にはならない。このことは, 二酸化窒素分子は極性であることを意味する。