5章C 類題3-2(1001022)               TOP-C




[問題] 次の文章を読んで, 問1〜5に答えなさい。

 互いに混ざり合わない等容量の有機溶媒と水または緩衝液を分液ロート(下図1)内で混合し, そこに化合物を加えて攪拌すると, 化合物は2種の溶媒にある特定の比率で分配される。その比率を a : (1-a) とすると, a は 0〜1の範囲で化合物に固有の値となり, 化合物の親水性がが高いと 0, 新油性が高いと 1 に近い値となる。この分配操作は, 複数の化合物の混合物から特定のものを分離する目的に利用される。以下では, 3つの異なる条件にて多段階の分配操作を行い, 1回の分配操作では分離できない混合物の分離を試みた。
       (image330)

[実験a] 3つの化合物 E, F, G がそれぞれ 1gずつ含まれる混合物がある。この混合物を上図2の操作段階数 n = 1 に示したように, 等容量の有機溶媒とpH=7の緩衝液を用いて分配した。次の操作段階数 n = 2 に示したように, 得られた下層の水層 1-i を新しい等容量の有機溶媒と, また, 上層の有機層 1-I を新しい等容量の緩衝液と混合して分配した。更に, 操作段階数 n=3 に示したように, 得られた下層 2-ii を新しい等容量の有機溶媒と混合, 上層 2-I を下層 2-i と混合, 上層 2-II を新しい等容量の緩衝液と混合して, 分配操作を行った。このような操作を順次繰り返すことより, 操作段階数 n=9 に示したように, 9つの分液ロートが得られた。上から分液ロートの番号を@からHとしたとき, 上層と下層をあわせた各分液ロートに含まれる化合物の存在量は図4aの折れ線グラフのように示された。ただし, 3つの化合物 E, F, G の構造式は下図3のいずれかに該当する。
           (image332)

[実験b] 緩衝液のpHを変えて実験aと同様の操作を行ったところ, 図4b のように化合物 E, F, G の分布が変化した。実験aおよび実験bの操作では, 化合物 E と F を分離することができなかった。

[実験c] 3つの化合物の混合物を少量の酸とともに熱した後に中和したところ, 化合物 F は化合物 H に変化したが, 化合物 E と化合物 G は変化しなかった。この混合物に対して, 実験a と同様に pH = 7 の緩衝液を用いた分配操作を行ったところ, 化合物 E, G, H は図4c のような分布を示した。
 (image331)

問1 実験b の操作段階数 n=3 において, 中央の分液ロート内(3-II と 3-ii を合わせたもの)に含まれる化合物E の量は 0.18g であった。操作段階数 n=1 において, 上層には化合物 E が何g 含まれていましたか。

                            

問2 実験b では酸性, アルカリ性のいずれの緩衝液を用いたと考えられますか。理由とともに記しなさい。

                            

問3
化合物 E, F, G は, それぞれ図3の構造式のいずれに該当しますか。構造式を用いて示しなさい。

                            

問4 実験c における酸処理により化合物F から化合物H が生じた反応を構造式を用いて示しなさい。

                            

問5
図4c で示された化合物 E, G, H の分離をさらに改善させるため, 実験c の操作段階数が49回になるまで同様の分配操作を行った。このとき, 各化合物の分布の近似曲線は図5の b から f のいずれになると予想されますか。なお, 図5a は図4c の折れ線グラフを曲線で近似したものである。