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問1の答    2Li + 2H2O → 2LiOH + H2


● アルカリ金属の単体は酸化されやすい。そのために, 水と激しく反応したり, 空気中の酸素などとも容易に反応する。一般に, アルカリ金属の原子番号が大きくなるにつれて酸化され易くなる。灯油などに入れて保存する。


問2の答    酸素とオゾン


● 同一の元素において, その原子配列または結合が異なるために種々の性質の異なる単体が生じる。これらの種々の単体を互いに同素体という。

 (例) 黄リンP4と赤リンP, 酸素O2とオゾンO3, 黒鉛CとダイヤモンドCなど。同一元素の結晶における多形は, 多くは原子配列の相違による同素体である。


問3の答    C:Li = 6:1 


● 下の図3を参照すると, 化合物Xは四角1234の繰り返し構造 C6Li をとっている。
       
(image319)


問4の答    3.7×104 [秒] 


[計算過程]

放電において, 反応3は次のようになる。

 C6Li → 6C + Li+ + e-

上式によって, 1mol のC6Li いわゆる 12.0×6 + 6.9 = 78.9g から, 1mol の電子いわゆる 1F = 9.65×104 [C]の電気量が生じる。

C6Li の0.60g の物質量は, 0.60/78.9 [mol] 生じる電気量Qは

 Q = 9.65×104 ×(0.60/78.9) = 734 [C]

いま, 20mAの電流で放電しているので, その時間を t 秒とすると次式が成立する。

 0.02×t = 734

よって

 t = 3.7×104 [秒]


問5の答    x = 0.47,  y = 0.19


[計算過程]

● 充電において, 正極 LiCoO2 と LiCo1-yAlyO2 では次の反応式(1)と(2)が成立する。

 LiCoO2 → Li1-xCoO2 + xLi+ + xe-    …(1)

 LiCo1-yAlyO2 → Li1-xCo1-yAlyO2 + xLi+ + xe-    …(2)

LiCoO2 と LiCo1-yAlyO2 それぞれ 1.96g を正極に用いて充電を行い, 両方の正極の x が等しくなるように充電をして停止した。
この時, LiCo1-yAlyO2 を用いた正極に充電された電荷量は 9.65×102 C であった。この電荷量に対応する電子と Li+ の物質量 m は

 m = (9.65×102)/(9.65×104) = 1.0×10-2 [mol]

ここで, 反応式(2) において, 正極のLiCo1-yAlyO2 1[mol] 使用で x[mol] の電子と Li+ が放出している。1.96g では m = 1.0×10-2 [mol] 放出したので, LiCo1-yAlyO2 の式量:(97.8 - 31.9y)を使用すると, 次式が成立する。

 1 : x = 1.96/(97.8 - 31.9y) : 1.0×10-2

上式を変形すると,

 1.96x/(97.8 - 31.9y) = 1.0×10-2

 1.96x = (97.8 - 31.9y)×10-2

 196x = 97.8 - 31.9y 

 x = (1/196)(97.8 - 31.9y)    …(3)

● 一方, 充電後のLi1-xCoO2 と Li1-xCo1-yAlyO2 の重量の差は 4.2×10-3g であった。これから次式(4)が成立する。

まず, 反応式(1)の LiCoO2 → Li1-xCoO2 において, 各式量は

 LiCoO2 : 97.8, Li1-xCoO2 : 6.9(1 - x) + 58.9 + 32 = 97.8 - 6.9x

よって, この正極 LiCoO2 は 1.96g 用いたので, 生成される Li1-xCoO2 の質量g は

 W1 = 1.96×(97.8 - 6.9x)/97.8 [g]

反応式(2)の LiCo1-yAlyO2 → Li1-xCo1-yAlyO2 において, 各式量は

 LiCo1-yAlyO2 :6.9 + 58.9(1 - y) + 27y + 32 = 97.8 - 31.9y

 Li1-xCo1-yAlyO2 : 6.9(1 - x) + 58.9(1 - y) + 27y + 32 = 97.8 - 6.9x - 31.9y

よって, この正極 はLiCo1-yAlyO2 は 1.96g 用いたので, 生成される Li1-xCo1-yAlyO2 の質量g は

 W2 = 1.96×(97.8 - 6.9x - 31.9y)/(97.8 - 31.9y)

よって,

 W1 - W2 = 1.96×(97.8 - 6.9x)/97.8 - 1.96×(97.8 - 6.9x - 31.9y)/(97.8 - 31.9y) = 4.2×10-3

変形すると,

 (1.96 - 0.1383x) + 13.524x/(97.8 - 31.9y) - 1.96 = 4.2×10-3

 - 0.1383x + 13.524x/(97.8 - 31.9y) = 4.2×10-3

 13.524x - 0.1383x(97.8 - 31.9y) = (97.8 - 31.9y)(4.2×10-3)     …(4)

上の式(4)に(3)を代入すると,

 13.524(1/196)(97.8 - 31.9y) - 0.1383x(97.8 - 31.9y) = (97.8 - 31.9y)(4.2×10-3)

 13.524(1/196) - 0.1383x = 4.2×10-3

 69 - 138.3x = 4.2

 x = 0.4685    …(5)     よって,  x = 0.47(答)

(5)を(3)に代入すると,

 0.4685 = (1/196)(97.8 - 31.9y)

 91.826 = 97.8 - 31.9y

 y = 0.1873    …(6)     よって  y = 0.19(答)


[追加]

上述の反応式(1)において, 1.96g の正極 LiCoO2 に充電される電荷量m1は,
同量の正極 LiCo1-yAlyO2 で反応式(1)と(2) の x(=0.47) が等しくなるように充電された電荷量 m = 9.65×102 C と同値ではない。

正極 LiCoO2 に充電される電荷量m1は, 反応式(1), x = 0.47, LiCoO2 の式量:97.8 を考慮して, 次のように求められる。

 1 : 0.47 = 1.96/97.8 : m1

よって,

 m1 = 0.47×(1.96/97.8) = 0.009419223 [F] = 0.009419223×(9.65×104) = 9.09×102 C

結論として, m1 と m の値の差違は, 正極の式量の値の違い, いわゆる, 組成式の違いから生じたことになる。このことは, 正極において, その中に含まれるコバルトよりもなるべく軽い元素(今の場合はアルミニウム)を含むようにしたら充電される電荷量を多くすることができることを示唆している。