5章C 類題1-2(100719) TOP-C
[問題] 次の文章を読んで, 問1〜4に答えなさい。
生体内で起こる多くの化学反応において, 酵素と呼ばれるたんぱく質が触媒として働いている。酵素(E)は, 基質(S)と結合して酵素-基質複合体(E・S)となり,
反応生成物(P)を生じる。また酵素-基質複合体から酵素と基質に戻る反応も起こる。これらの反応は次式(1)〜(3)のように表すことができる。
E + S → E・S …(1) E・S → E + P …(2) E・S → E + S …(3)
問1. 以下の文の(a)〜(d)に入る適切な式を書きなさい。ただし, 反応(1), (2), (3)の反応速度定数をそれぞれK1, K2, K3とし, 酵素, 基質, 酵素-基質複合体, 反応生成物の濃度をそれぞれ[E], [S], [E・S], [P]とする。
反応(1)によってE・Sが生成する速度は v1 = ( a ), 反応(2)においてPが生成する速度は v2 = ( b ) と表される。一方, E・Sが分解する反応は, 反応(2)と反応(3)の2経路があり, それぞれの反応速度は, v2 = ( b ), v3 = ( c ) と表される。したがってE・Sの分解する速度 v4 は, v4 = ( d ) となる。
答
問2. 多くの酵素反応では酵素-基質複合体E・Sの生成と分解が釣り合い, E・Sの濃度は変化せず一定と考えることができる。この条件では, 生成物Pの生成する速度
v2 は, 次式(4)となることを示しなさい。
v2 = K2[E]T[S]/(K + [S]) …(4)
ただし, [E]T は全酵素濃度で次式(5)になる。
[E]T = [E] + [E・S] …(5)
また, K は次式(6)になる。
K = (K2 + K3)/K1 …(6)
答
問3. インベルターゼは加水分解酵素の一種であり, スクロースをグルコースとフルクトースに分解する。
C12H22O11 + H2O → C6H12O6 + C6H12O6 …(7)
スクロース グルコース フルクトース
式(7)の反応速度はスクロースを基質(S)として式(4)に従い, K = 1.5×10-2mol/L とする。インベルターゼ濃度が一定の場合, スクロース濃度が 1×10-6〜1×10-5mol/L の範囲にあるとき, スクロース濃度と反応速度 v2 との関係として最も適切なものを次の(A)〜(D)から選びなさい。また, その理由を式(4)を用いて簡潔に説明しなさい。
(A) 反応速度 v2 はスクロース濃度にほぼ比例する。
(B) 反応速度 v2 はスクロース濃度の2乗にほぼ比例する。
(C) 反応速度 v2 はスクロース濃度にほぼ反比例する。
(D) 反応速度 v2 はスクロース濃度によらずほぼ一定である。
答
問4. 問3において, スクロース濃度が 1〜2 mol/L の範囲にあるとき, スクロース濃度と反応速度 v2 との関係として最も適切なものを, 問3の(A)〜(D)から選び, その理由を式(4)を用いて簡潔に説明しなさい。
答