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問1の答
(a) K1[E][S] (b) K2[E・S] (c) K3[E・S] (d) (K2 + K3)[E・S]
反応(1)によってE・Sが生成する速度は v1 = K1[E][S] …(a)
反応(2)においてPが生成する速度は v2 = K2[E・S] …(b)
と表される。
一方, E・Sが分解する反応は, 反応(2)と反応(3)の2経路があり, それぞれの反応速度は,
v2 = K2[E・S] …( b )
v3 = K3[E・S] …( c )
と表される。
したがって, E・Sの全体の分解速度v4 は, (2):(b) と (3):(c) から,
v4 = K2[E・S] + K3[E・S] = (K2 + K3)[E・S] …(d)
● 化学の素反応において, 反応速度 v(生成物の生成速度又は反応物の分解速度) は, 各反応物濃度の積に比例する。例として, 次の素反応を考えると
A + B → C
反応速度 v は次のようになる。ただし, K は反応速度定数, [A], [B], [C] は, 時間 t における反応物 A と B および生成物 C
の濃度(普通はモル濃度)をあらわす。
v = d[C]/dt = -d[A]/dt = -d[B]/dt = K[A][B]
問2の答
●問題本文中の(1)~(3)をまとめると,
K1 K2
E + S ⇄ E・S → E + P …(I)
K3
ここで, K1, K2, K3 は反応速度定数を表す。また, [E], [S], [E・S], [P] は時間 t における酵素, 基質, 酵素-基質複合体, 生成物のモル濃度を表す。
(I)から次式が成立する。
(a) v1 = K1[E][S] (b) v2 = K2[E・S] (c) v3 = K3[E・S]
(d) v4 = (K2 + K3)[E・S]
●ここで, E・S の生成と分解が釣り合い, E・S の濃度は変化せず一定と考えているので, 次式が成立する。
v1 = v4
よって,
K1[E][S] = (K2 + K3)[E・S] …(II)
●一方, 全酵素濃度[E]T は, 問2の(5)から, [E]T = [E] + [E・S] であるので, この式を上の(II)に代入すると,
K1([E]T - [E・S])[S] = (K2 + K3)[E・S]
{(K2 + K3) + K1[S]}[E・S] = K1[E]T[S]
よって,
[E・S] =K1[E]T[S]/{(K2 + K3) + K1[S]} = [E]T[S]/{(K2 + K3)/K1 + [S]}
= [E]T[S]/{K + [S]} …(III)
ただし, K =(K2 + K3)/K1 とする。
●Pの生成する速度v2は, (a)と上式(III)を参照して, 次のように, 問2の式(4)になる。
v2 =K2[E・S] = K2[E]T[S]/{K + [S]}
問3の答 (A)
[理由]
K = 1.5×10-2[mol/L] ≫ 1×10-6~1×10-5[mol/L] = [S] より,
K + [S] ≒ K
よって, 基質Sのスクロースの分解速度 v2 は,
v2 = K2[E]T[S]/(K + [S]) ≒ (K2[E]T/K)[S]
よって, v2 は, スクロース濃度[S]の範囲, 1×10-6~1×10-5mol/L でほぼ比例関係にある。
問4の答 (D)
[理由] 基質Sのスクロースの分解速度 v2 は,
K = 1.5×10-2[mol/L] ≪ 1~2[mol/L] = [S] より,
K + [S] ≒ [S]
よって, 基質Sのスクロースの分解速度 v2 は,
v2 = K2[E]T[S]/(K + [S]) ≒ K2[E]T
よって, v2 は, スクロース濃度[S]の範囲, 1×10-6~1×10-5mol/L でほぼ一定となる。