4章C 類題3-2(100224)                 TOP-C


[問題] 次の文を読んで下の各問いに答えなさい。

 炭素−炭素原子間の単結合は, 一般にそれを軸として回転することができる。
 炭素−炭素結合回りの回転にともなって, 分子の立体構造が変わり, 分子のエネルギーは変化する。このとき, 原子の立体的な混み具合が小さいものほどエネルギーが低く, 分子は安定になる。
 エタンを例としてあげる。図1のように, エタンの水素原子に, それぞれHa, Hb, Hc, Hx, Hy, Hzと名前を付けて区別する。
 構造式Mと構造式Nは, 炭素−炭素結合の回転による異性体である。立体的な混み具合と結合の回転との関係は, 投影式を用いるとわかりやすい。四角内のエタン分子の真横の矢印方向から, 結合した二つの炭素原子が重なるように投影する。
 Ha, Hb, Hc が結合する手前の炭素原子を中心点()で, Hx, Hy, Hzが結合する後方の炭素原子を円で描くと, 構造式Mおよび構造式Nは, それぞれ投影式Mおよび投影式Nのように表される。
 HaとHx, HbとHy, HcとHzがそれぞれ重なる投影式Mはエネルギーが高い状態を表し, 原子の混み具合が小さい投影式Nはエネルギーが低い状態を表す。
 また, 回転角θを投影式M, Nに示すように定義すると, θとエネルギーの関係は, 図2のグラフの曲線のようになる。
    (image292)

問1. 図2における, 投影式Oと投影式Pを示しなさい。なお, エタンの水素原子は, 投影式Mや投影式Nにならって, 名前を付けて区別すること。

                               

問2. ブタン(CH3-CH2-CH2-CH3)の太字の炭素−炭素結合回りの回転角とエネルギーの関係は, 図3のグラフの曲線のようになる。これは, メチル基が水素原子より立体的に大きいことに関係している。太字の炭素−炭素結合に関する投影式Q, R, Sを示しなさい。メチル基はCH3, 太字の炭素上の水素原子はHで表示しなさい。

                               

問3. 図1のHa, Hxの位置にそれぞれカルボキシル基を配置したコハク酸の場合, 投影式Oに対応する構造に比べて, 投影式Nおよび投影式Pに対応する構造がより安定となる。その理由を40字以内で示しなさい。

                               
      (image293)