4章C 類題1-1(100127)                 TOP-C


[問題] 次の文を読んで下の各問いに答えなさい。ただし, 原子量はH:1.0, C:12.0, O:16.0, N:14.0, Fe:55.8とする。

 夜空に浮かんだ火星が赤く見えるのは, 火星の地表に赤鉄鉱という鉱石が多量に含まれているからである。赤鉄鉱は酸化鉄(III)Fe2O3を主成分とし, 鉄が酸素や水と反応することによって生成する。2004年, 米国の火星探査機オポチュニティは, 火星の地表から採取した岩石の顕微鏡観察を行い, 液体の水の作用でできたと考えられる球状の赤鉄鉱を発見した。また, 探査機スピリットによって火星の地表で針鉄鉱という鉱石も見出された。針鉄鉱は酸化水酸化鉄(III)FeO(OH)を主成分とし, 水中での化学反応により生成する。このような発見から, かって火星には液体の水が存在し, 生命誕生の機会があったと推測されている。2008年, ついに米国の探査機フェニックスは, 火星の地表のすぐ下に, 氷が存在することを確認した。
 水中における鉄酸化物の生成は, 以下の反応に始まる。
           Fe → Fe2+ + 2e- … (1)    2H2O + O2 + 4e- → 4OH- … (2)
 ここで, 式(1)は金属鉄が鉄イオンとなって水中に溶解し, 電子e-が放出される酸化反応, 式(2)は式(1)で放出された電子によって水中に溶け込んだ酸素が還元される反応を表す。次にこれらの反応の生成物から, 水酸化鉄(II)Fe(OH)2が生成する。
                     Fe2+ + 2OH- → Fe(OH)2 … (3)
 水酸化鉄(II)Fe(OH)2は水中の酸素によってさらに酸化され, 水酸化鉄(III)Fe(OH)3が生じる。
                 4Fe(OH)2 + 2H2O + O2 → 4Fe(OH)3 … (4)
 最後に, @水酸化鉄(III)の脱水反応によって, 酸化水酸化鉄(III)や酸化鉄(III)が生成する。

問1. Feの原子番号は26である。Fe2O3において, 鉄イオンのK殻, L殻, M殻に含まれる電子数をそれぞれ記しなさい。

                    

問2. 体積VのFeがすべて酸化されて体積aVのFe2O3になったとき, aの値を有効数字2桁で求めなさい。ただし, FeとFe2O3の密度はそれぞれ7.87 g・cm-3と5.24 g・cm-3とする。

                    

問3. 下線部@について, Fe2O3およびFeO(OH)が生成する反応を反応式で示しなさい。

                    

問4. 式(1)〜(4)および問3で求めた反応式を利用して, FeからFeO(OH)が生成する反応を1つの反応式で示しなさい。

                    

問5. 現在の火星の大気圧は610Paであり, その0.13%を酸素が占めるとされている。このような酸素分圧下で, 25℃の水 1.00×103L中に溶解する酸素の溶質は何gになりますか。有効数字2桁で求めなさい。なお, 25℃, 1.01×105Paの下で水 1.00Lに溶ける酸素の質量は4.06×10-2gであり, ヘンリーの法則が成り立つものとする。

                    

問6. 問5において溶解していた酸素がすべて反応したとき, 生成するFeO(OH)の質量を有効数字2桁で求めなさい。