2章C 類題2-1(100523)                 TOP-C


[問題] 次の文章を読んで, 問1〜5に答えなさい。

 金属の多くは, 空気中で水や水蒸気と接触すると腐食される。金属の表面を, 腐食されにくい別の金属の薄膜でおおうと, 腐食を防ぐことができる。おもな方法として, 無電解めっきと電気めっきがある。
 めっきは腐食防止以外にさまざまな用途で使われている。たとえば, 銅の無電解めっきはガラスやプラスチックなどの絶縁体の表面に導電性を与えるために使用される。古典的な銅の無電解めっき液の成分を下に示す。

 硫酸銅 CuSO4, ホルムアルデヒドHCHO, 炭酸ナトリウム Na2CO3, 水酸化ナトリウム NaOH, 酒石酸ナトリウムカリウム(ロシェル塩) KNaC4H4O6

 @このめっき液を利用してプラスチックにめっきを行ったところ, プラスチック表面上で金属銅が析出し, 銅と等モルの水素が発生した。水酸化ナトリウムを加えないと, めっきはまったく進行しなかった。
 なお, Aこの古典的なめっき液では副反応が進行し, 固体が沈殿した。(現在使われているめっき液では, このような副反応はほとんど進行しない。)

問1. 下線部@の過程を化学反応式で示しなさい。

                             

問2. ホルムアルデヒドの役割を 10 字程度で既述しなさい。

                             

問3. 炭酸ナトリウムの役割を 40 字程度で既述しなさい。

                             

問4. 下線部Aの副反応で沈殿した物質は酸化銅(I)であった。この副反応を化学反応式で示しなさい。なお, この反応では気体は発生しない。

                             

問5. 一辺が 10cm のプラスチックの立方体全面に均一に無電解めっきを行ったところ, 5.5g の質量の増加がみられた。(1)めっきされた銅の薄膜の厚さ(mm)を求め, 有効数字2桁で答えなさい。(2)めっきにより発生した水素の標準状態での体積(L)を求め, 有効数字2桁で答えなさい。それぞれの結果だけでなく導く過程も記しなさい。ただし, 銅の結晶構造は, 図1に示すような面心立方格子であり, 銅の単位格子の一辺の長さを 0.36 nmとする。ただし, 銅の原子量は63.5, アボガドロ数は6.0×10-23とする。

                             

                 (image311)