答 元の問題へ
問1の答 ΠV = nRT または Π= CRT ただし, C = n/V
上式は, 気体の状態方程式 PV = nRT に対応している。
問2の答 342
ファントホッフの浸透圧(問1の答え参照)の式 ΠV = nRT を使用して, この式の中へ, 次の値を代入すると,
Π= 8.3×104 [Pa]
R = 8.3 [Pa・m3/(K・mol) ]
T = 273 + 12 = 285 [K]
ここで, 水溶液 1 kg を用いるとすると, 体積 V は,
V = 1000 [g]/1.0 [g/cm3] = 1000 [cm3] = 10-3 [m3]
水溶液 1 kg 中のショ糖の物質量 n は, ショ糖の分子量を M とすれば,
n = 1000×0.012/M = 12/M [mol]
8.3×104×10-3 = (12/M)×8.3×285
よって,
M = (12×8.3×285)/(8.3×104×10-3) = 342
問3の答 B:0.86 C:1.90
Bの値において, 水酸化ストロンチウムの k は, 次の電離を考慮すると 3 となる。
Sr(OH)2 → Sr2+ + 2OH-
したがって, (4)式を使用すると,
2.72 = 1 + (3 - 1)α
よって,
α= 0.86
Cの値において, 塩化水素の k は, 次の電離を考慮すると 2 となる。
HCl → H+ + Cl-
したがって, (4)式を使用すると,
i = 1 + (2 - 1)×0.90 = 1.90
問4の答
水酸化ストロンチウム Sr(OH)2
塩化水素 HCl
塩化カリウム KCl
硝酸カリウム KNO3
① ある溶液において, 温度 T, 体積 V, 物質量 n での浸透圧は, 温度 T, 体積 V, 物質量 n での気体が示す圧力と等しい。
② ①は次の 1) および 2) において一般化される。
1) 水溶液中の電解質分子には, 陽イオンと陰イオンに解離した活性な分子と, 解離しないまま存在する不活性な分子がある。解離によって生成したイオンの数も,
ファントホッフの浸透圧の法則の分子数として寄与する。
2) 不活性な分子は, 溶液を希釈していくにつれ活性にかわる。無限希釈はすべての分子が活性になる。
したがって, どれだけの割合の電解質分子がイオンに解離しているかがわかれば, ファントホッフの法則から浸透圧を計算することが可能となる。従来ファントホッフの法則の「例外とされていた物質」についても,
陽イオンと陰イオンへの解離を考えることで法則が適用できることになる。
③ ②から, ファントホッフの法則から著しく外れる[例外]とされる物質は, 陽イオンと陰イオンへの解離する分子を考慮していないことになる。
したがって, 表1のエタノールから硝酸カリウムまでの8つの物質のうち, この論文以前に, ファントホッフの法則から著しく外れて[例外]とされていたと考えられるものは,
水酸化ストロンチウム Sr(OH)2
塩化水素 HCl
塩化カリウム KCl
硝酸カリウム KNO3
いわゆる, 係数 i が 1 よりかなりずれているものがその「例外」に相当する。
問5の答 電離度 0.03
酢酸 1g の物質を水に溶解して 1 L とした酢酸水溶液のモル濃度M [mol/L] は, 分子量:CH3COOH = 12×2 + 16×2 + 1×4 = 60 を用いて
M = 1/60 = 0.01667 [mol/L]
電離度をαとすると, 次の平衡状態:CH3COOH ⇄ CH3COO- + H+ において,
[CH3COOH] = 0.01667(1 - α)
[CH3COO-] = [H+] = 0.01667α
よって, (5)式から,
1.5×10-5 = (0.01667α)2/0.01667(1 - α)
αは 1 より十分小さいとすれば,
1.5×10-5 = (0.01667α)2/0.01667 = 0.01667α2
∴ α= 0.03