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問1の答

 Alにおいては,

   Al2(SiO3)3+ 3Na2CO3 →Al2O3 + 3Na2SiO3 + 3CO2

 Fe, Mg, Caにおいては, 各金属の元素記号をMで表すと,

   MSiO3+Na2CO3 → MO + Na2SiO3 + CO2

 さらに, 希塩酸を加え加熱すると,

 Alにおいては,

  Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O

 Fe, Mg, Caにおいては, 各金属の元素記号をMで表すと,

  MO + 2HCl → MCl2 + H2O

 Na2SiO3においては,

   Na2SiO3 + 2HCl → H2SiO3 + 2NaCl

   H2SiO3 + nH2O → SiO2・nH2O + H2O



●「岩石の主成分はケイ酸塩であり, アルミニウム, 鉄, マグネシウム, カルシウムが含まれている」及び「岩石中のケイ素酸化物は通常ポリマー構造である」ことから, その岩石は次の化学式を持つ成分の混合物となる:

 Alにおいては,  Al2(SiO3)3

 Fe, Mg, Caにおいては, 各金属の元素記号をMで表すと,  MSiO3

 「岩石試料を炭酸ナトリウムと混合し, 高温で融解してケイ酸塩化合物と金属イオンを含んだ酸化物に分解した」ことから, その化学反応式は次のようになる:

 Alにおいては,

   Al2(SiO3)3+ 3Na2CO3 →Al2O3 + 3Na2SiO3 + 3CO2

 Fe, Mg, Caにおいては, 各金属の元素記号をMで表すと,

   MSiO3+Na2CO3 → MO + Na2SiO3 + CO2

 さらに, 希塩酸を加え加熱すると, 上述の反応式のように生成された各酸化物は, 次の反応式のように塩化物となり水に溶解する。

 Alにおいては,

  Al2O3 + 6HCl → 2AlCl3 + 3H2O

 Fe, Mg, Caにおいては, 各金属の元素記号をMで表すと,

  MO + 2HCl → MCl2 + H2O

 Na2SiO3(水ガラス)においては, ゲル状となり, ろ過すると, ろ紙上のゲル状物質は十分加熱乾燥すると, 白色固体になることから,

   Na2SiO3 + 2HCl → H2SiO3 + 2NaCl

   H2SiO3 + nH2O → SiO2・nH2O + H2O

 生成されたSiO2・nH2O(シリカゲル)は乾燥で白色固体となる。



問2の答  シリカゲル

 その構造は, SiO4四面体が重合した網目状構造をしており, きわめて多孔質で, その比表面積は約500m2/gほどである。このことより, 乾燥剤, 吸着剤, 触媒担体などにしばしば使用される。



問3の答

 固体(C) : Al(OH)3, Fe(OH)3

 固体(D) : Fe(OH)3



溶液(A), (B)には, 各金属の塩化物, AlCl3, FeCl3, MgCl2, CaCl2が存在する。

 (A)にアンモニア水を加えると,

  AlCl3 + 3NH3 + 3H2O → Al(OH)3 + 3NH4Cl

  FeCl3 + 3NH3 + 3H2O → Fe(OH)3 + 3NH4Cl

  (FeCl3 + 4NH3 → [Fe(NH3)4]Cl3 この反応は, 多くのアンモニア水を使用したとすると, 鉄イオンは上述の反応のみが行われており, 無視してよい)

  MgCl2 + 2NH3 + 2H2O → Mg(OH)2 + 2NH4Cl

  CaCl2 + 2NH3 + 2H2O → Ca(OH)2 + 2NH4Cl

 したがって, 下線Bの固体(C)は, Al(OH)3, Fe(OH)3の混合物となる。ただし, , Mg(OH)2, Ca(OH)2は難溶であるが, 微量とすると, 溶解する。[Fe(NH3)4]Cl3は溶解する。

 (B)にアンモニア水を加え, さらに生成した沈殿物をろ紙でろ過し, ろ紙上に残った固体を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄したことから, Al(OH)3

 Al(OH)3 + NaOH → Na[Al(OH)4]

 生成されたNa[Al(OH)4]は溶解する。したがって, 下線Cの固体(D)Fe(OH)3となる。



問4の答

  鉄イオンのモル濃度 1.6×10-3 [mol・L-1]

  アルミニウムイオンのモル濃度 1.2×10-3 [mol・L-1]



下線Dにおいて, 固体(C)の酸化物に含まれる金属イオンは, 問3の答を参照して, Al3+とFe3+となる。このことから, 溶液(A)中のAl3+とFe3+のモル濃度[mol・L-1]を求めることになる。いま, Al3+のモル濃度をx[mol・L-1], Fe3+のモル濃度をy[mol・L-1]とする。

 「固体(C)から得られた酸化物の乾燥質量は, 47.2mg, 固体(D)から得られた酸化物の乾燥質量は, 31.9mgであった」ことから,

 鉄の酸化物 Fe2O3 は  31.9mg

 よって, 鉄の質量mgは,

  鉄の質量mg = 31.9×{2Fe/(2Fe + 3O)} = 31.9×(111.6/159.6) = 22.306mg

 鉄の物質量mmolは,

  鉄の物質量 = 22.306/55.8 = 0.400 mmol

 アルミニウムの酸化物 Al2O3 は  47.2 - 31.9 = 15.3mg

  アルミニウムの質量mg = 15.3×{2Al/(2Al + 3O)} = 15.3×(54/102) = 8.1mg

 アルミニウムの物質量mmolは,

  アルミニウムの物質量 = 8.1/27 = 0.30 mmol

 溶液(A)の体積は 250 ml なので,

  鉄イオンのモル濃度 = 0.4/0.25×10-3 = 1.6×10-3 [mol・L-1]

  アルミニウムイオンのモル濃度 = 0.3/0.25×10-3 = 1.2×10-3 [mol・L-1]