1章C 類題2-1(110704)                 TOP-C


[問題] 次の文章を読み, 以下の問1〜6に答えなさい。

 必要あれば次の値を使用しなさい。[原子量] H=1.00, C=12.0, O=16.0, Mg=24.3, Al=27.0, Si=28.1, Cl=35.5, Ca=40.1, Fe=55.8, [アボガドロ定数] 6.0×1023 mol-1, [気体定数] 8.3Pa・m3・K-1・mol-1 = 0.082atm・L・K-1・mol-1


 ケイ素は半導体としての性質をもち, コンピュータや太陽電池の材料として使われる。コンピュータの集積回路には, できるだけ純粋で大きなケイ素の結晶が必要であり, 以下のような方法で製造されている。
 SiO2を主成分とするケイ石をコークスとともに加熱し, ケイ素に還元する。得られたケイ素は, 鉄, アルミニウム, カルシウムなどの不純物を0.1%程度含む。次に, 不純物を含むケイ素を塩化水素(HCl)と反応させ, トリクロロシラン(SiHCl3:沸点31.8℃)とした後, 蒸留により精製する。
 @精製したSiHCl3を水素(H2)で還元し, 純粋なケイ素を得る。このケイ素は微細な結晶の集まりであるため, A二酸化ケイ素のるつぼの中で融解し, この中に種となる結晶を入れて, これを徐々に引き上げながら冷却することにより大きなケイ素の結晶(単結晶と呼ぶ)を成長させる。
 この単結晶を薄い板状に切り出し, 基板として用いる。コンピュータ用の回路には, 電気伝導性の高い半導体も必要である。そのためには, 上記ケイ素の単結晶(基板)の上に, 微量の他元素を添加したケイ素の薄膜を堆積させる。
 例えば, ケイ素の単結晶を加熱しておき, ここにBシランガス(SiH4)とともに微量の気体Aを流すと, 単結晶の表面に, 気体A由来の微量元素を含んだケイ素の薄膜が付着する。この薄膜中では, 結晶中のケイ素原子の一部が添加元素と置き換わっている。
 添加元素は, ケイ素に比べて最外殻電子数が1固多く, C余った電子は結晶中を動き回ることができる。そのために, 純粋なケイ素に比べて高い電気伝導性を示す。添加元素の量を制御することにより, 必要とする電気伝導性をもった半導体を作り出すことができる。
 なお, ケイ素の結晶構造は図1のようであり, 単位格子は一辺が 0.54 [nm] の立方体である。黒丸はケイ素原子の中心を表す。また, 微量の元素を添加しても, 単体格子の大きさは変わらないものとする。
                 (image434)

問1.
下線@の化学反応式を書きなさい。

                             

問2. 下線Aで, 金属のるつぼを用いることはできない。この理由を1〜2行程度で述べなさい。

                             

問3. 下線Bで, 気体Aは第3周期の元素と水素の化合物である。気体Aの化学式を記しなさい。

                             

問4. 図1の単位格子の中にケイ素原子はいくつ含まれますか。

                             

問5. 下線Bで, 標準状態のSiH4ガスを 5.0[ml]流入したところ, 3.0 [cm]×3.0 [cm]の基板の上に, ケイ素の薄膜が 90 [nm]堆積した。流したSiH4ガスのうち, 何%が薄膜として堆積しましたか。有効数字1桁で答えなさい。なお, 微量の添加元素については無視してよい。結果だけでなく, 計算の過程も記しなさい。

                             

問6. 下線Cで, 単位体積あたりの余分な電子の数は 1.0×1018 cm-3 であった。薄膜中に含まれる添加元素の元素数とケイ素の原子数との比は (  ):1 である。カッコの中に入る数値を有効数字1桁で答えなさい。結果だけでなく, 計算の過程も記しなさい。