答                                元の問題へ 


問1の答   SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl


「精製したSiHCl3を水素(H2)で還元し, 純粋なケイ素を得る」ことから, その化学反応式は次のようになる:

  SiHCl3 + H2 → Si + 3HCl


問2の答

 ケイ素は金属と比較して融点がかなり高い(mp.:1414℃)。ゆえに, るつぼの金属は融解し不純物としてケイ素結晶に存在することになる。


問3の答  PH3


 気体Aはケイ素Siに比べて最外殻電子数が1固多い第3周期の元素を含む。この元素はリンPである。
 リンPは, 15族(窒素族)に属し, 最外殻の電子軌道に 5個の電子を持ち, そのうち 基底状態で3個が不対電子として存在し, それらは原子価電子(価電子)として働く。このことは, 原子価は 3 に相当する。

 したがってリンPの水素化合物は : PH3


問4の答  8個


  図1の単位格子を参照すると, 単位格子内のケイ素Si原子は, その立方体の8つのカドには (1/8)×8 = 1個分, 立方体の6面の中心には (1/2)×6 = 3個分, 立方体内に 4個分, したがって, トータルで 1 + 3 + 4 = 8個


問5の答  3 %


● 標準状態 5.0[ml]のSiH4ガスの物質量Mは, 理想気体とするならば, 気体は種類に関係なく 1[mol]が 22.4[L]であるので,

  M = 5.0/(22.4×103) = 2.232×10-4 [mol]

 この物質量は, SiH4 → Si より, 生成されるケイ素Siの物質量に等しい。そこで, 生成されるケイ素Siの質量W1は,

  W1 = 28.1×(2.232×10-4) = 6.272×10-3 [g]   …(i)

● 一方, 堆積の体積 VSは, 1[nm] = 10-9[m] = 10-7[cm] から,

  VS = 90×(3×107)2 = 810×1014 = 8.1×1016 [nm]3

 図1より, 単位格子の体積 VU

  VU = (0.54)3 = 0.1575 [nm]3

 堆積の体積 VSに含まれるSi原子数NSは, 問4の答を参照して, VUには, Si原子が 8個存在することから,

  NS = 8×(VS/VU) = 8×(8.1×1016/0.1575) = 411.4×1016 = 4.114×1018

 よって, 堆積の質量W2

  W2 = {28.1/(6.0×1023)}×(4.114×1018) = 19.27×10-5 = 1.927×10-4 [g]  …(ii)

● 堆積した薄膜の重量百分率%は, (i)と (ii)式から,

  (W2/W1)×100 = {(1.927×10-4)/(6.272×10-3)}×100 = 3.07%


問6の答   2×10-5


 「Si結晶の単位体積あたりの余分な電子の数(添加元素リンPの原子数と等しい)は 1.0×1018 cm-3」 である。ここで, 単位cm-3をnm-3に書き直すと

  1.0×1018 cm-3 = 1.0×1018 (107nm)-3 = 1.0×10-3 (nm)-3

 一方, 問4の答を参照すると, Si原子数は, 結晶の単位格子の体積 VU = 0.1575 [nm]3当たり 8個であるので, 1[nm]3では,

  8/0.1575 = 50.8 (nm)-3

 よって, 薄膜中の添加元素のリンPとケイ素Siの原子数比は,

  (1.0×10-3) : 50.8 = (0.02×10-3) : 1 = (2×10-5) : 1