8章C 類題3-1(131111)              TOP-C


[問題] 次の文章を読み, 航空宇宙・エレクトロニクス分野で重要な役割を果たしているポリマーPに関する問1〜6に答えなさい。

 ポリマーPは, 以下に示す実験1〜3により, モノマーM1とM2を原料として合成される。その反応の流れを下の図1にまとめた。

実験1 : モノマーM1の合成
 モノマーM1はテトラメチルベンゼンの位置異性体の1つである化合物Aを出発原料として, 二段階で合成される。

 化合物Aの溶液に過マンガン酸カリウムを加えて40℃で数時間反応させたのち, 反応過程で生成した酸化マンガンの沈殿をろ過により除去してから, ろ過を酸性にすることにより, 化合物Bが得られる。これを減圧下で200℃に加熱すると, 2分子の水を失って, モノマーM1が生成する。

 モノマーM1は, 以下の性質を示す。すなわち, モノマーM1に2分子のエタノールを付加させると互いに異性体の関係にある化合物Cと化合物Dを与える。

実験2 : モノマーM2の合成
 モノマーM2は, 下の図2に示す化合物Eを塩化アンモニウム水溶液中で鉄粉を用いて還元することにより合成できる。

 この反応ではモノマーM2の塩酸塩と鉄の酸化物が生成する。鉄の酸化物の沈殿をろ過により除去したのち, ろ液に濃アンモニア水を加えると, モノマーM2の結晶が析出する。

実験3 : ポリマーPの合成
 モノマーM1の溶液に等モル量のモノマーM2をゆっくり加えて室温で重合させる。ついで, この重合生成物を230℃に加熱すると, さらに縮合反応により水が失われてポリマーPが生成する。

 なお, ポリマーPに含まれる窒素原子に水素原子は結合していない(ただし, ポリマーの末端部を除く)。


問1 テトラメチルベンゼンと呼ばれる化合物に, 位置異性体はいくつありますか?

                   

問2 化合物Aの構造式を記しなさい。

                   

問3 化合物CとDの構造式を記しなさい。

                   

問4 モノマーM1とモノマーM2の構造式を記しなさい。

                   


問5 下記の(1)〜(5)から, モノマーM2の性質として適切なものを 1つ選びなさい。

 (1) 水酸化ナトリウムと反応してナトリウム塩となる。

 (2) 硫酸酸性二クロム酸カリウム水溶液で還元される。

 (3) 次亜塩素酸カルシウム水溶液で酸化される。

 (4) ヨードホルム反応を示す。

 (5) フェーリング反応を示す。

                   


問6 ポリマーPの構造式を記しなさい。なお, ポリマーの構造式は下の図3の例にならって繰り返し単位を記すこと。

                   

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