答 元の問題へ
問1の答 質量作用の法則
質量作用の法則…反応物 A, B, … と生成物 X, Y, … との間に可逆反応があって, 次の平衡が生じるとき,
aA + bB + … ⇄ xX + yY + …
次の平衡式が成立する。
K = {[X]x[Y]y…}/{[A]a[B]b…}
ここで, 温度一定で, K は一定値(濃度平衡定数)を示す。また, [ ] は各物質(A, B, …, X, Y, …)のモル濃度を示す。
問2の答 操作1の直後では箱中の圧力はシリンダ内のAとBが加わるので増加する。 ルシャトリエの原理で系の平衡はその圧力を打ち消す方向すなわち物質量の減少方向, (1)式では右向きに進行する。
ルシャトリエの原理…反応物質と生成物が混合して化学平衡にあるとき, 濃度, 温度, 圧力などを変えると, その変化を打つ消す方向に, 混合系の反応物質と生成物とにおいて移動が生じる。
操作1の直後では, 反応箱中の圧力はシリンダ内のAとBが加わるので増加する。 ルシャトリエの原理によって, 系の平衡はその圧力を打ち消す方向すなわち(1)式
A + 2B ⇄ 2C で左辺から右辺に移動する。
問3の答 (ii) 平衡がどちら側にも移動していない。
[理由]…操作1で(1)式によりAとBの反応で2molのCが生成しその後平衡になる。次に操作2で2molのCだけを抜き取ると箱内のA, B,
Cは元の平衡状態の物質量になる。
操作1では反応箱中に 1 mol の A と 2 mol の B が加えられたので, それらが最初に反応箱中で A + 2B → 2C のように反応したと考えてもよい。このことは,
2 mol の C を加えたことと同等になる。その後で系は平衡状態に達する。
操作2では, 反応箱中の平衡状態を保持しながらピストンでシリンダC内へ 2 mol の分子Cだけ取り出した。これは反応箱内の系が C を 2
mol だけ減少させて平衡状態になっている。この平衡状態は反応箱中に 1 mol の A と 2 mol の B を加える前の図1-2(a)の初めの状態5に還ったことになる。…選択肢(ii)
問4の答 VC = (VA/K)1/2VB
[計算過程]…反応箱内の平衡状態での分子Aのモル濃度を [A] とすると
[A] = 1/VA …(i)
Bでは, [B] = 2/VB …(ii)
Cでは, [C] = 2/VC …(iii)
一方, 箱内の平衡状態での平衡定数 Kは,
K = [C]2/[A][B]2 …(iv)
(iv) に (i), (ii) および (iii) を代入して変形すると,
VC = (VA/K)1/2VB
●1 初めの状態の図1-2(a)を参照すると, シリンダAの体積はVAで分子Aが 1mol 存在し, 分子Aだけを透す半透膜Aを境として, 十分な時間で, 見かけ上, シリンダAと反応箱間に半透膜Aを通る分子Aが移動しなくなる。
このことは, 分子Aの濃度がシリンダA内と反応箱内において等しいことを意味する。したがって, 反応箱内の平衡状態での分子Aのモル濃度を [A]
とすると
[A] = 1/VA …(i)
同様にして, 分子Bにおいても次式が成立する。
[B] = 2/VB …(ii)
●2 図1-2(c)を参照すると, シリンダCの体積はVCで分子Cが 2mol 存在し, 分子Cだけを透す半透膜Cを境として, 十分な時間で, 見かけ上, シリンダCと反応箱間に半透膜Cを通る分子Cが移動しなくなる。●1での解説を参照して,
分子Bにおいても次式が成立する。
[C] = 2/VC …(iii)
ただし, 反応箱内の平衡状態3は, 図1-2(a)の初めの状態5と同じである(問3の解説参照)。
●3 操作2の終了後において, 反応箱内の平衡状態では, 平衡定数を K とすると, (1)式を考慮して, 次の式が成立する。
K = [C]2/[A][B]2 …(iv)
●4 そこで, (iv) に (i), (ii) および (iii) を代入すると,
K = [2/VC]2/[1/VA][2/VB]2
変形すると,
[2/VC]2 = K[1/VA][2/VB]2
2/VC = {K[1/VA]}1/2(2/VB)
1/VC = {K[1/VA]}1/2(1/VB)
よって,
VC = (VA/K)1/2VB
問5の答 温度上昇で平衡の左向き進行はルシャトリエの原理で吸熱反応になるので(1)式の正反応は発熱反応である。
ルシャトリエの原理によれば, 可逆反応する物質が化学平衡にあるとき, 温度を変えると, その変化を打つ消す方向に, 平衡が移動する。
いま, A + 2B ⇄ 2C において, 温度を上昇させると反応は左向きに進行して新たな平衡状態に達した。そこで温度上昇を打ち消す方向いわゆる吸熱方向が,
この反応では左向き方向であることが分かる。したがって, この反応が右向き方向いわゆる正反応になると発熱反応になる。