7章C 類題3-2(130606)              TOP-C


[問題] 炭素数 3 の有機化合物は, ポリマーの原料として極めて重要である。次の文章を読み, 下の問1〜6に答えなさい。

 ただし, 問いで構造式を示す必要がある場合は, 次の[構造式の例]にならって示しなさい。ここで, 不斉炭素原子のまわりの結合の示し方において, W, C, X は紙面上にあり, Z は紙面の手前に, Y は紙面の奥にある。また, 原子量は次の値である。 H = 1.0, C = 12.0, O = 16.0

        (image510)


 (実験1) 化合物 H は炭素数 3 で分子量 42 の常温・常圧で気体の化合物であり, 炭素原子と水素原子のみからなっている。この化合物 H を重合反応させると熱可塑性を持つポリマー X を得ることができた。

 一方で, 化合物 H を触媒存在下で酸素によって酸化すると, 分子量 72 の化合物 I (沸点 141℃) が得られた。化合物 I は炭酸水素ナトリウムと反応して水溶性の塩 J を生じた。また, 化合物 I をメタノールと反応させると化合物 K (沸点 80℃) と水が生じた。なお, 化合物 H, I, J, K は臭素と反応しうる部分構造を有する。

 (実験2) 化合物 J に架橋剤を加えて重合を行うと, 網目構造をもつポリマー Y が得られた。
@このポリマー Y に水を加えると, 吸水して膨らんだ。さらに, Aこれを塩化カルシウム水溶液に浸漬すると, 体積が小さくなった

 (実験3) 分子式 C
3H6O3 を有する化合物 L は酵素によるグルコースの分解反応によって得られる。この化合物は不斉炭素を有しており, 炭酸水素ナトリウムと反応して水溶性の塩を生じた。化合物 L を脱水縮合すると分子式 C6H8O4 の化合物 M が得られた。さらに化合物 M を重合するとポリマー Z が得られた。

1 化合物 I の構造式を示しなさい。

                    

問2 化合物 K の構造式を示しなさい。また, 化合物 I と化合物 K の沸点が大きく異なる理由を25字以内で述べなさい。

                    

問3 下線部@の理由を下記の選択肢から選びなさい。

 (1) ポリマーの官能基間の静電引力 (2) ポリマーの官能基の水和

 (3) ポリマーの官能基の凝集 (4) ポリマーの重合度の上昇

 (5) ポリマー外へのナトリウムイオンの移動

                    

問4 
下線部Aの理由を25字以内で述べなさい。

                   

問5 化合物 M の構造式を示しなさい。ただし, 立体異性体は考慮しなくてよい。

                    

問6 実験3で得られるポリマー Z は, 実験1で得られるポリマー X よりも土壌中で容易に低分子量の化合物に変換される。この理由を下記の選択肢から選びなさい。

 (1) 揮発しやすいため (2) 還元されやすいため (3) 加水分解されやすいため

 (4) 再重合しやすいため (5) 脱水反応を起こしやすいため