7章C 類題3-1(130519) TOP-C
[問題] 次の文章を読み, 以下の問1〜5に答えなさい。必要があれば次の原子量の値を用い, 構造式は例にならって示しなさい。構造式において, 不斉炭素原子のまわりの結合の示し方, W, C, X,
は紙面上にあり, Z は紙面の手前に, Y は紙面の奥に存在する。
元素 H : 原子量 1.0 元素 C : 原子量 12.0 元素 O : 原子量 16.0
(image510)
L-チロキシン(分子量 777)は, 甲状腺が産出する甲状腺ホルモンの一種で, 工業的に合成され, 薬として処方されている。
下図1-1(不斉炭素原子を省略して表記してある)に, L-チロキシンを合成する経路の一つを示す。L-チロシン(分子量 181)を出発物質として反応1により官能基
X1 を持つ化合物 A を合成する。
次に反応2により化合物 B を合成し, これを反応3により化合物 C に変換する。さらに反応4を経て化合物 D を合成し, これを反応5により化合物
E に変換する。
次に, 反応6により化合物 F を合成する。反応7において, 官能基 X3 はヨウ素に置換され, 化合物 G が生成し, 同時に窒素ガスが発生する。さらに2つの反応を経て目的の化合物である L-チロキシンが合成される。
(image511)
問1 反応1, 反応2, 反応3, 反応5, 反応6で使用する試薬として最も適切なものを下記の(1)〜(16)から, それぞれ一つ選びなさい。
(1) メタノール, 塩化水素 (2) 濃塩酸, 過マンガン酸カリウム (3) 濃硝酸, 濃硫酸 (4) 水酸化ナトリウム, 無水酢酸 (5)
塩化ナトリウム, 濃硫酸 (6) 酸素, 触媒 (7) 亜硝酸ナトリウム, 濃硫酸 (8) 水素, 触媒 (9) エタノール, 塩化水素 (10)
濃塩酸, 濃硫酸 (11) 塩素, 触媒 (12) 水酸化ナトリウム, 酢酸 (13) 濃塩酸, 酢酸 (14) 濃塩酸, 無水酢酸 (15)
炭酸水素ナトリウム, 酢酸 (16) メタノール, 水酸化ナトリウム
答
問2 反応4において化合物 C と化合物 D の混合物が得られた。ここから未反応の化合物 C を除き化合物 D を得る目的で抽出操作を行った。この操作として最も適当なものを下記の(1)〜(4)から一つ選びなさい。
(1) 水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムで分液操作を行い水層を回収する。
(2) 水酸化ナトリウム水溶液とクロロホルムで分液操作を行い有機層を回収する。
(3) 希塩酸とクロロホルムで分液操作を行い水層を回収する。
(4) 希塩酸とクロロホルムで分液操作を行い有機層を回収する。
答
問3 有機合成反応では反応が完全に進行しないことも多く, 例えば反応2において
収率(%) = {(得られた化合物Bの物質量)/(化合物Aの物質量)}×100
として合成の効率を評価する。図1-1で示した 9つの反応の収率がいずれも 70%であると仮定して, 5.43kg の L-チロシンを用いて合成を行った場合に得られる
L-チロキシンの重量を有効数字2桁で求めなさい。
答
問4 合成した L-チロキシンを同定するために燃焼法により元素分析を行った。62mg の L-チロキシンを完全燃焼したときに発生する二酸化炭素の重量を有効数字2桁で求めなさい。
答
問5 合成した L-チロキシンを精密に分析したところ微量の D-チロキシン(L-チロキシンの鏡像異性体)が混入していることが分かった。この構造式として適当なものを下図1-2の(1)〜(8)から選びなさい。
答
(image512)