答                                 元の問題へ


問1の答     下図参照 (G, H, L, および N)


● ベンゼン環上の炭素原子を含む五員環の化合物 G, H, I, J は, 「分子式が C9H10O である」および「不斉炭素原子をもつ」ことから, その各々の構造式は下図最左辺の(1)~(4)の構造式になる。

● 「化合物 G は金属ナトリウムと反応して水素を発生する」ことから, G はアルコールと考えられ, G の化学式を R-OH とすると, 次の反応式のように水素を発生する。

                       2R-OH + 2Na → 2R-ONa + H2

 ここで, OH基がアルコール性であるためには, ベンゼン環への結合(弱酸性を示すフェノール類となる)でなく, 五員環への結合となる。そこで, G の構造式は下図(4)のようになる。


 「化合物 H, I, J に含まれる不斉炭素原子に結合した水素原子をそれぞれヒドロキシ基に置き換えた化合物 K, L, M のなかで, 化合物 L および M は分子内にヘミケタール構造をもつ」ことを考慮すると,

● 下図(2)の化合物において, 不斉炭素原子C*に結合した水素原子 -H をヒドロキシ基 -OH に置き換えると, 次のようになる。

         C6H4(-C*H(CH3)-CH2-O-) → (OH 置換) → C6H4(-C*(OH)(CH3)-CH2-O-)

 生成された化合物はヘミケタール構造をもたないので, この生成された化合物の構造式は K に相当する。したがって, 元の化合物(2)の構造式は H である。

● 下図(1)の化合物において, 不斉炭素原子C*に結合した水素原子 -H をヒドロキシ基 -OH に置き換えると, 次のようになる。

         C6H4(-C*H(CH3)-O-CH2-) → (OH 置換) → C6H4(-C*(OH)(CH3)-O-CH2-)

 生成された化合物はヘミケタール構造をもつ。この生成された化合物は, ケトン型の化合物と, 次のような平衡状態になる。

            C6H4(-C*(OH)(CH3)-O-CH2-) ⇄ オルトC6H4(-COCH3)(-CH2OH)

 その平衡状態のケトン型化合物は, フェノール類でなくアルコール性のヒドロキキシ基をもつので, その構造式は N に相当する。したがって, 平衡状態のヘミケタールの構造式は L となる。

● 下図(3)の化合物において, 不斉炭素原子C*に結合した水素原子 -H をヒドロキシ基 -OH に置き換えると, 次のようになる。

         C6H4(-CH2C*H(CH3)-O-) → (OH 置換) → C6H4(-CH2C*(OH)(CH3)-O-)

 生成された化合物はヘミケタール構造をもつ。この生成された化合物は, ケトン型の化合物と, 次のような平衡状態になる。

            C6H4(-CH2C*(OH)(CH3)-O-) ⇄ オルトC6H4(-CH2CO(CH3))(-OH)

 その平衡状態のケトン型化合物は, フェノール類である。したがって, 平衡状態のヘミケタールの構造式は M となる。


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