7章B 類題4-2(130129) TOP-B
[問題] α-アミノ酸(以下, アミノ酸と呼ぶ。) とペプチドに関する文章を読んで, 問1〜問3に答えなさい。
タンパク質を構成するアミノ酸の示性式は, 一般に H2N-CHR-COOH で表される。ただし, R は水素原子, もしくは各種置換基を有するアルキル基である。アミノ酸には, 周囲の pH によって図2で示される電離状態が存在する(7章B 類題4-1参照)。
一方, ペプチドはアミノ酸がペプチド結合(アミド結合)で連結した化合物の総称であり, 2〜5分子のアミノ酸が結合してできたペプチドは, 含まれるアミノ酸基(脱水に関するもの)の数に応じて表1のように呼ばれる。
表1
アミノ酸基の数 : 2 名称 : ジペプチド アミノ酸基の数 : 3 名称 : トリペプチド
アミノ酸基の数 : 4 名称 : テトラペプチド アミノ酸基の数 : 5 名称 : ペンタペプチド
例として, 図3にグリシン基のみからなる鎖状のトリペプチドの構造を示す。このとき, 左端を N:末端のグリシン, 右端を C:末端のグリシンと呼ぶ。
鎖状のペンタペプチド P を用いて, 以下の実験1〜実験7を行った。ただし, アミノ酸 H2N-CHR-COOH の置換基 R は, ペプチド中のアミノ酸の連結には関与していないものとする。
実験1 P を温和な条件で加水分解すると, 下図に示すような 4種類の切断が進行した。(ただし, 図中の a〜e は脱水に関するアミノ酸基を, ○で囲まれ連結されたものはペプチドを表わす。)
これより得られたテトラペプチドを X1, X2, トリペプチドを Y1, Y2, ジペプチドを Z1, Z2, アミノ酸を A1, A2 とする。
(image490)
実験2 P を完全に加水分解すると, 4種類のアミノ酸 A1, A2, A3, A4 のみが得られた。A1〜A4 はそれぞれ異なり, 図1に示したアミノ酸のいずれかであった。
実験3 P, X1, Y1, Y2 のそれぞれについて, N 末端のアミノ酸のカルボキシル基側のペプチド結合だけを切断する酵素で処理すると, 最初に得られたアミノ酸は
A1 であった。
実験4 X2 を実験3と同じ酵素で処理すると, 最初に得られたアミノ酸は A3 であった。A3 の等電点は 9.7 であった。
実験5 X1, X2, Y1, Z1, A4 のそれぞれに, 塩化鉄(III)水溶液を加えると, すべてが紫色になった。
実験6 X2, Y1, Z1, A2 のそれぞれに, 水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱し, 冷却後, 酢酸鉛(II)水溶液を加えると, いずれの場合も黒色沈殿が生成した。
実験7 P, X1, X2, Y1, Y2, Z1, Z2, A1, A4 のそれぞれに, 濃硝酸を加えて加熱後, アンモニア水を加えて塩基性にすると,
いずれの場合も橙〜橙黄色になった。
問1 A1〜A4 にあてはまるアミノ酸を図1から選択し, その名称を記しなさい。
答
問2 X1, X2, Y1, Y2, Z1, Z2 のうち, 水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性にした後, 少量の硫酸銅(II)水溶液を加えたときに青紫〜赤紫色になるものをすべて選択し,
それらを記しなさい。
答
問3 P を構成する a〜e に該当するアミノ酸を, A1〜A4 を使って答えなさい。
答
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