答 元の問題へ
問1の答 A1:フェルアラニン A2:メチオニン A3:リシン A4:チロシン
● 実験1(図参照)から次のことがわかる。
アミノ酸において
(1) A1:丸印a ならば A2:丸印e
または
(2) A1:丸印e ならば A2:丸印a
テトラペプチドにおいて
(3) X1:丸印a-丸印b-丸印c-丸印d ならば X2:丸印b-丸印c-丸印d-丸印e
または
(4) X1:丸印b-丸印c-丸印d-丸印e ならば X2:丸印a-丸印b-丸印c-丸印d
トリペプチドにおいて
(5) Y1:丸印a-丸印b-丸印c ならば Y2:丸印c-丸印d-丸印e
または
(6) Y1:丸印c-丸印d-丸印e ならば Y2:丸印a-丸印b-丸印c
ジペプチドにおいて
(7) Z1:丸印a-丸印b ならば Z2:丸印d-丸印e
または
(8) Z1:丸印d-丸印e ならば Z2:丸印a-丸印b
● 実験2から, ペンタペプチドP に含まれるアミノ酸A1~A4は, それぞれ異なり, 図1の8種類のアミノ酸のいずれかである…ペンタペプチドPの分子中のアミノ酸基には,
2つ同一のものが存在する。
● 実験3から,
(9) P:N末端丸印a-丸印b-丸印c-丸印d-丸印e → (加水分解) →
A1(丸印a) + 丸印b-丸印c-丸印d-丸印e
(3)と(4)を参照して
(10) X1:丸印a-丸印b-丸印c-丸印d ならば
N末端丸印a-丸印b-丸印c-丸印d → A1(丸印a) + 丸印b-丸印c-丸印d
(11) X1:丸印b-丸印c-丸印d-丸印e ならば
N末端丸印b-丸印c-丸印d-丸印e → A1(丸印b) + 丸印c-丸印d-丸印e
(5)を参照して
(12) Y1:丸印a-丸印b-丸印c ならば
N末端丸印a-丸印b-丸印c → A1(丸印a) + 丸印b-丸印c
Y2::丸印c-丸印d-丸印eであるので
N末端丸印c-丸印d-丸印e → A1(丸印c) + 丸印d-丸印e
(6)を参照して
(13) Y1:丸印c-丸印d-丸印e ならば
N末端丸印c-丸印d-丸印e → A1(丸印c) + 丸印d-丸印e
Y2:丸印a-丸印b-丸印cであるので
N末端丸印a-丸印b-丸印c → A1(丸印a) + 丸印b-丸印c
Y1とY2のN末端のアミノ酸のカルボキシル基側のペプチド結合だけを切断するとアミノ酸は A1 であるので, aとcは同一のアミノ酸 A1 に相当することになる。以上から
A1:丸印a
A2:丸印e
P:丸印a-丸印b-丸印a-丸印d-丸印e
X1:丸印a-丸印b-丸印a-丸印d
X2:丸印b-丸印a-丸印d-丸印e
Y1とY2は, 丸印a-丸印b-丸印a または 丸印a-丸印d-丸印eのいずれかに相当
Z1とZ2は, 丸印a-丸印b または丸印d-丸印eのいずれかに相当
● 実験4から
X2:丸印b-丸印a-丸印d-丸印e → (実験3と同じ酵素使用) → A3(丸印b) + 丸印a-丸印d-丸印e
得られたアミノ酸 A3(丸印b)の等電点(電気泳動で移動しない双性イオンだけが存在)は 9.7である。 このことは, その水溶液が塩基性領域 pH = 9.7のとき, アミノ酸 A3(丸印b)において, 双生イオンだけが安定に存在する。そのためには, アミノ酸 A3(丸印b)自身が, 水溶液で塩基性を示せばよいことになる。
図1を参照すると, リシンは, 次のように水溶液中でわずかに電離(pH = 9.7参照)して塩基性を示し, ほとんどは下式左辺側の双生イオンとして存在する:
H3N+-CH(CH2-CH2-CH2-CH2-NH2)-COO- + H2O ⇄
H3N+-CH(CH2-CH2-CH2-CH2-N+H3)-COO- + OH-
よって
アミノ酸 A3(丸印b) = リシン
ただし, アミノ酸アスパラギンの側鎖R = -CH2-CO-NH2 は水溶液では塩基性を示さない。
● 実験5から, 塩化鉄(III)水溶液を加えて紫色をしめす化合物はフェノール類に相当するので, X1, X2, Y1, Z1, A4 分子中に図1中のチロシンを含むことになる。
① ●実験3を参照して
X1:丸印a-丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d
X2:丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d-丸印e
Y1とY2は, 丸印a-丸印b(リシン基)-丸印a または 丸印a-丸印d-丸印eのいずれかに相当
Z1とZ2は, 丸印a-丸印b(リシン基) または丸印d-丸印eのいずれかに相当
A4 = チロシン
② ●実験3の(9)を参照して
P:丸印a-丸印b-丸印a-丸印d-丸印e → (完全加水分解) →
A1(丸印a) + A2(丸印e) + A3(丸印b, リシン) + A4(丸印d, チロシン)
③ よって
X1:丸印a-丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d(チロシン基) … d(チロシン基)で塩化鉄(III)水溶液紫色
X2:丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d(チロシン基)-丸印e…塩化鉄(III)水溶液紫色
Y1:丸印a-丸印d(チロシン基)-丸印e…塩化鉄(III)水溶液紫色
Y2:丸印a-丸印b(リシン基)-丸印a
Z1:丸印d(チロシン基)-丸印e…塩化鉄(III)水溶液紫色
Z2:丸印a-丸印b(リシン基)
④ 塩化鉄(III)水溶液で紫色なるものをまとめると(チロシン基存在)
X1:丸印a-丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d(チロシン基)
X2:丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d(チロシン基)-丸印e
Y1:丸印a-丸印d(チロシン基)-丸印e
Z1:丸印d(チロシン基)-丸印e
● 実験6から, 水酸化ナトリウム水溶液と酢酸鉛(II)水溶液で黒色沈殿が生じる化合物は, その中に硫黄を含む。図1を参照すると, メチオニンがそれに相当する。よって
⑤ ●実験5③のZ1:丸印d(チロシン基)-丸印e を参照して,丸印eがメチオニンであれば
Z1:丸印d(チロシン基)-丸印e(メチオニン)…黒色沈殿
完全加水分解で, 丸印d(チロシン基) + 丸印e(メチオニン) よって, ●実験1(1)を参照して
A2:丸印e(メチオニン)…黒色沈殿
⑥ ●実験5の②から
P:丸印a-丸印b-丸印a-丸印d-丸印e → (完全加水分解) →
A1(丸印a) + A2(丸印e, メチオニン) + A3(丸印b, リシン) + A4(丸印d, チロシン)
⑦ ●実験5の③から
Y1:丸印a-丸印d(チロシン基)-丸印e(メチオニン)…黒色沈殿
X2:丸印b(リシン基)-丸印a-丸印d(チロシン基)-丸印e(メチオニン)…黒色沈殿
⑧ 以上より,
P:丸印a-丸印b-丸印a-丸印d-丸印e → (完全加水分解) →
A1(丸印a) + A2(丸印e, メチオニン) + A3(丸印b, リシン) + A4(丸印d, チロシン)
● 実験7から, 濃硝酸とアンモニア水によりニトロ化合物を生成し橙~橙黄色になるアミノ酸は, その分子中にベンゼン環を有する(キサントプロティン反応)。それに相当するものは
図1中のフェルアラニンまたはチロシンである。
⑨ ●実験6⑧から
P:丸印a-丸印b-丸印a-丸印d-丸印e → (完全加水分解) →
A1(丸印a, フェルアラニン) + A2(丸印e, メチオニン) + A3(丸印b, リシン) + A4(丸印d, チロシン)
よって
P:丸印a(フェルアラニン基)-丸印e(メチオニン基)
-丸印a(フェルアラニン基)-丸印b(リシン基)-丸印d(チロシン基)
…橙~橙黄色
⑩ ●実験5③から
X1:丸印a(フェルアラニン基)-丸印b(リシン基)-丸印a(フェルアラニン基)-丸印d(チロシン基) …橙~橙黄色
X2:丸印b(リシン基)-丸印a(フェルアラニン基)-丸印d(チロシン基)-丸印e(メチオニン基)…橙~橙黄色
Y1:丸印a(フェルアラニン基)-丸印d(チロシン基)-丸印e(メチオニン基)…橙~橙黄
Y2:丸印a(フェルアラニン基)-丸印b(リシン基)-丸印a(フェルアラニン基)…橙~橙黄
Z1:丸印d(チロシン基)-丸印e(メチオニン基)…橙~橙黄
Z2:丸印a(フェルアラニン基)-丸印b(リシン基)…橙~橙黄
A1:丸印a(フェルアラニン)…橙~橙黄
A4:丸印d(チロシン)…橙~橙黄
以上から
A1:フェルアラニン
A2:メチオニン
A3:リシン
A4:チロシン
問2の答 X1, X2, Y1, Y2
塩基性水酸化ナトリウムと少量の硫酸銅(II)の水溶液で青紫~赤紫色になる化合物は, 錯体化合物で Cu2+と配位結合を形成している。ただし, ペプチドの場合では, 普通, その分子中にペプチド結合 -NH-CO- が 3個以上で行われやすい(ビウレット反応)。よって,
X1, X2, Y1, Y2 が適合 (問1⑩参照)。
問3の答 a:A1 b:A3 c:A1 d:A4 e:A2
問1⑩を参照すると,
a:A1(フェルアラニン)
b:A3(リシン)
c:A1(フェルアラニン)
d:A4(チロシン)
e:A2(メチオニン)