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問1の答  A の分子式 : C6H10

 [導出過程] 

  炭化水素のA は, その組成式を CmHn とすると,

   m : n = C/12 : H/1 = 87.8/12 : 12.2/1 = 3 : 5

 よって, 組成式は, C3H5  分子式は, 組成式の k(正の整数)倍とすると, C3kH5k

  A の完全燃焼の反応式は, 2C3kH5k + 17O2 → 6kCO2 + 5kH2O

 燃焼式から, 酸素原子に注目すると, 次式が成立 : 34 = 12k + 5k = 17k

  よって, k = 2  かくして, 化合物の分子式は, C6H10


● 化合物Aにおいて,

(1) 1.00 mol の化合物 A を完全燃焼させるのに, 酸素が 8.50 mol 必要である。

(2) 質量パーセント組成は, 炭素 87.8%, 水素 12.2%である。

 よって, (2) から

  炭素 87.8% + 水素 12.2% = 100.0 %

 したがって, 化合物Aは炭化水素であり, その組成式を CmHn とすると,

  m : n = C/12 : H/1 = 87.8/12 : 12.2/1 = 1 : 12.2×(12/87.8) = 1 : 1.667

       = 3 : 5

 よって, 組成式は

  C3H5

 分子式は, 組成式の k(正の整数)倍とすると

  C3kH5k

 (1)の完全燃焼において, 上述の分子式を使用して, その燃焼式を書くと次のようになる :

  2C3kH5k + 17O2 → 6kCO2 + 5kH2O

 上の燃焼式から, 酸素原子に注目すると

  34 = 12k + 5k = 17k

  k = 2

 かくして, 化合物の分子式は

  C6H10


問2の答  化合物 A, B, D, E および G の構造式は下図3を参照


●6,6-ナイロンは, ヘキサメチレンジアミン H2N-(CH2)6-NH2 とアジピン酸 HOOC-(CH2)4-COOH の脱水による縮合重合で形成された高分子(合成繊維) [-HN-(CH2)6-NH-OC-(CH2)4-CO-]n である :

   nH2N-(CH2)6-NH2 + nHOOC-(CH2)4-COOH → [-HN-(CH2)6-NH-OC-(CH2)4-CO-]n + 2nH2O

 問題文中の「化合物 A C6H10 の硫酸酸性過マンガン酸カリウム水溶液を作用させて得られる化合物を, ヘキサメチレンジアミンと脱水の縮合重合させると, 6,6-ナイロンが得られた」ことから, 化合物 A C6H10 の酸化で得られる化合物は,

  アジピン酸 HOOC-(CH2)4-COOH

●そこで, 化合物 A:C6H10 は, 問題文中の図2を参照して, 次のように, 環状のシクロヘキセン

  *-CH2-CH2-CH2-CH2-CH=CH-* …下図3のA参照

 である( ただし, 左端の*と右端の*は直接結合している)とすると, その酸化反応では, 分子内の二重結合が切断し酸素原子が結合してアジピン酸が形成される。

  A:*-CH2-CH2-CH2-CH2-CH=CH-* → (H2SO4, KMnO4水溶液) → HOOC-(CH2)4-COOH

●化合物 B(または B') は,

(1) A:C6H10 の構造異性体である。

(2)不斉炭素原子を 1個有する。

(3)水を付加させるとカルボニル基を有する構造異性体になり, ヨードホルム反応を示す。

 そこで, (1)と(2)から, 5個の骨格炭素原子を有する鎖状炭化水素を考えると,

  CH≡C-CH(CH3)-CH2-CH3 …下図3のB参照

 ただし, 上式の左端から 3番目の炭素原子が不斉炭素原子である。

 (3)から, 次のような反応が考えられ, 生成物は, 分子中に CH3-CO- の官能基が含まれるので, ヨードホルム反応を示す :

  CH≡C-CH(CH3)-CH2-CH3 + H2O → CH3-CO-CH(CH3)-CH2-CH3

 また, (1)と(2)から, 5角形の炭素骨格を有する環状炭化水素を考えると,

  cyclo‐C5H7-CH3*-C1H=C2H-C3H(C6H3)-C4H2-C5H2-* …下図3のB’参照

 ただし, 左端の*と右端の*は直接結合している。そして, 3番の炭素原子 C3 が不斉炭素原子である。

 (3)から,

  *-CH=CH-CH(CH3)-CH2-CH2-* + H2O → CH3-CO-CH(CH3)-CH2-CH3

●化合物 C は,

(1) A:C6H10 の構造異性体である。

(2) メチル基 -CH3 を 2個もつ化合物 C に白金触媒の存在下で水素 2分子を付加させると, メチル基を 4個もつアルカンが得られた。

(3) 付加重合反応により二重結合を主鎖に含む高分子化合物 E になった。

 そこで, (1)と(2)から, C を 4個の骨格炭素原子を有する鎖状炭化水素を考えると,

  CH2=C(CH3)-C(CH3)=CH2 …化合物C

 上の分子式を示す 1分子に 2分子の水素 H2 を付加させると, 次のようにメチル基を 4個もつアルカン CH(CH3)2-CH(CH3)2 が得られる :

  CH2=C(CH3)-C(CH3)=CH2 → (水素 H2 2分子付加) → CH(CH3)2-CH(CH3)2

 C が付加重合反応すると, 二重結合を主鎖に含む高分子化合物 E になる :

  nCH2=C(CH3)-C(CH3)=CH2 → {-CH2-C(CH3)=C(CH3)-CH2-}n …下図3のE参照

●化合物 D は

(1) A:C6H10 の構造異性体である。

(2) オゾン分解の酸化で得られる F は還元性(銀鏡反応)を示した。

(3) 得られた F を還元すると, 二価のアルコール G が得られた。

(4) G の分子内縮合(濃硫酸での脱水)で得られる化合物は, α-グルコースのすべてのヒドロキシ基が水素原子に置き換わったものと同一であった。

 そこで, G は,

 (4)から, α-グルコースの化学式は

  *-C2H(OH)-C3H(OH)-C4H(OH)-C5H(C6H2OH)-O-C1H(OH)-*

 ただし, 左端の*と右端の*は直接結合している。数字 1〜6 は炭素原子の番号を示している。

 したがって, G の脱水による分子内縮合で得られた化合物 X は, α-グルコースの全ての OH が H に置き換わったものであるので,

    *-CH(OH)-CH(OH)-CH(OH)-CH(CH2OH)-O-CH(OH)-* → (OH から H への置換) →

                *-CH2-CH2-CH2-CH(CH3)-O-CH2-* …化合物 X

 そこで, 次のように, X の加水分解(脱水の逆)で得られる化合物が G に相当し, それは二価のアルコールである :

  X:*-CH2-CH2-CH2-CH(CH3)-O-CH2-* + H2O

                → HO-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(CH3)-OH …下図3のG参照

 ○また, F は,

 (1)と(2)および問題文中の図2から, D の化学式を

  *-CH2-CH=C(CH3)-CH2-CH2-*  …下図3のD参照

 とると,

  *-CH2-CH=C(CH3)-CH2-CH2-* → (オゾン酸化, 図2参照) →

                 F(還元性) : O=C(CH3)-CH2-CH2-CH2-CHO

 以上から, (1)〜(4)を考慮して, まとめると,

  D:*-CH2-CH=C(CH3)-CH2-CH2-* → (オゾン酸化) → F:O=C(CH3)-CH2-CH2-CH2-CHO

          → (還元) → G:HO-CH2-CH2-CH2-CH2-CH(CH3)-OH

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