答                                 元の問題へ


問1の答  25 [mL]


 実験1において, 100Kで容器IとIIを真空にしたあと, すべての弁を閉じ, 次に弁Bを開けて容器IIにヘリウムを一定量導入し, 弁Bを閉じたところ, 容器II(体積は 50mL)の圧力は 1.5×104Pa を示した。そこで理想気体の状態方程式 :

  (圧力)×(体積) = (物質量)×(気体定数)×(絶対温度)

を使用して, 理想気体で他の物質に吸着しないとしてのヘリウムの物質量 n [mol] を求めると,

  n = {(1.5×104)×0.05}/{(8.3×103)×100} = 9.036×10-4 [mol]

 次に弁Aを開けたのちに, 容器Iと容器IIの圧力を測定したところ 1.0×104Pa となった。そこで, 容器Iの有効体積を V'[L]として, 理想気体の状態方程式を使用すると, 次式が成立する。

  (圧力)×(体積) = (物質量)×(気体定数)×(絶対温度)

  (1.0×104)×(0.05 + V') = (9.036×10-4)×(8.3×103)×(100)

  (0.05 + V') = 9.036×8.3×10-3 = 0.075

 よって,

  V' = 0.025 = 25 [mL]


問2の答  3.0×10-4 [mol]


 実験2において, 100Kで容器IとIIを真空にしたあと, すべての弁を閉じ, 次に弁Bを開けて容器IIに窒素を一定量導入し, 弁Bを閉じたところ, 容器II(体積は 50mL)の圧力は 1.7×104Pa を示した。そこで理想気体の状態方程式を使用して, 窒素の物質量 n [mol] を求めると(問1の解説参照),

  n = {(1.7×104)×0.05}/{(8.3×103)×100} = 10.241×10-4 [mol]

 次に弁Aを開けたのちに, 容器Iと容器IIの圧力を測定したところ 0.80×104Pa となった。そこで, 気体窒素の物質量を n'[L]として, 理想気体の状態方程式を使用すると, 次式が成立する。

  (圧力)×(体積) = (物質量)×(気体定数)×(絶対温度)

  (0.80×104)×(0.050 + 0.025) = (n')×(8.3×103)×(100)

 よって,

  n' = {(0.80×104)×(0.050 + 0.025)}/{(8.3×103)×(100)} = (0.08×0.075)/8.3 = 7.229×10-4 [mol]

 0.10g のシリカゲル試料に吸着されている窒素分子の物質量は,

  n - n' = (10.241×10-4) - (7.229×10-4) = 3.012×10-4 [mol] = 3.0×10-4 [mol]


問3の答  7.2×102 [m2]


 吸着窒素分子の数と平衡圧力との関係は, 次の式に従うものとする。

  N = KPN0/(KP + 1)

 変形すると,

  N(KP + 1) = KPN0

  N = KP(N0 - N)  …(i)

 ただし N:気体分子が吸着している吸着点の数, K:定数, P:気体の圧力, N0:吸着点の総数。

 ここで,

 実験2から, 平衡圧力:0.80×104Pa のとき, 窒素の物質量は, 3.0×10-4 [mol]

 吸着された窒素分子数は,

              (6.0×1023)×(3.0×10-4) = 1.8×1020個  …(ii)

 実験3から, 平衡圧力:0.16×104Paのとき, 窒素の物質量は,

             {(3.0×10-4) - (2.0×10-4)} = 1.0×10-4 [mol]

 吸着された窒素分子数は,

             (6.0×1023)×(1.0×10-4) = 0.60×1020個 …(iii)

 (ii)と(iii)を(i)式に代入すると,

  1.8×1020 = K(0.80×104)(N0 - 1.8×1020)
  0.6×1020 = K(0.16×104)(N0 - 0.6×1020)

 よって,

  1.8/0.6 = {(0.80×104)(N0 - 1.8×1020)}/{(0.16×104)(N0 - 0.6×1020)}
  3 = 5(N0 - 1.8×1020)/(N0 - 0.6×1020)
  3(N0 - 0.6×1020) = 5(N0 - 1.8×1020)
  2N0 =5(1.8×1020) - 3(0.6×1020)

 よって,

  2N0 = 7.2×1020

 よって, シリカゲルの吸着点の総数 N0 は,

  N0 = 3.6×1020

 吸着窒素分子 1個がシリカゲルの表面を占める面積は他の実験から 2.0×10-19 m2 であることから, シリカゲルの吸着点 1個に窒素分子が 1個吸着することを考慮すると, シリカゲル試料 1g あたりの表面積 S [m2] は,

  S = (2.0×10-19 m2)×(3.6×1020個)×(1g/0.1g) = 7.2×102 [m2]