5章B 類題4-2(110101) TOP-B
[問題] 次の文章を読んで, 問1〜3 に答えなさい。
細胞の成分として, グリセリンに 2分子の脂肪酸 R-COOH (Rは炭化水素基を表す) とリン酸, 糖, アミンなどが結合した複合脂質が多種類存在している。図1は複合脂質の一種であるグリセロリン脂質に共通の構造Aを表している。グリセロリン脂質のリン酸基には,
いろいろな化合物Xが脱水縮合して結合している。
動物の細胞には, 図2に示した化合物Bがそのヒドロキシ基を介してAのリン酸基に脱水縮合した化合物Cが普遍的に存在している。グリセロリン脂質を構成している脂肪酸のうち,
二重結合を2個以上もつ脂肪酸の多くをヒトは食品から摂取している。Cでは, Aの(1)の位置に炭素数が14の飽和脂肪酸がエステル結合しており,
(2)の位置には食品から摂取した脂肪酸Dがエステル結合しているとする。
(2)の位置のエステル結合だけを加水分解する酵素を 15.5g のCに作用させると, 6.04g のDが得られた。Dを, 触媒の存在下で水素付加すると,
分子量 312 の飽和脂肪酸が得られた。これらの実験における反応はすべて完全に進行し, 操作での損失はないものとする。
問1. 図3は 0.10 mol/L の酢酸水溶液 10 ml を 0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したときの滴定曲線である。a
は中和点, b は中和反応が 50% 完了する滴定点を示している。
0.10 mol/L の化合物Bの水溶液 10 ml を 0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液で滴定したときの滴定曲線を, 図4の(あ)〜(え)の中から
1つ選び, その記号を記しなさい。また, その滴定曲線を選んだ理由を記しなさい。
答
問2. 以下の記述(あ)〜(お)のうち正しいものをすべて選び, 記号で答えなさい。
(あ) 化合物Cは油脂である。
(い) 化合物Cには不斉炭素原子が 1個だけ存在する。
(う) 化合物Cに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると, 1分子のCから 2分子のセッケンが生成する。
(え) 同じ炭素数の脂肪酸を比較したとき, 飽和脂肪酸の方が不飽和脂肪酸よりも空気中の酸素により酸化されやすい。
(お) 飽和脂肪酸の融点は炭素原子の数が多いものほど高く, 同じ炭素数の脂肪酸の融点を比較したときは二重結合の数が多いものほど低い。
答
問3. 脂肪酸Dについて, 次の(i), (ii)の問いに答えなさい。
(i) Dの分子量を記しなさい。なお, 化合物Bの分子量は 105, 炭素数 14 の飽和脂肪酸の分子量は 228 である。また, 原子量は, H
= 1.00, C = 12.0, O = 16.0, Na = 23.0, P = 31.0 とする。
答
(ii) Dの分子式を記しなさい。
答
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