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問1の答   (ア. 2kO) (イ. 2kM) (ウ. 800)


 トルエンの一塩素化反応において, オルト位とメタ位はベンゼン環で2ヶ所存在するので, オルト位とメタ位の反応速度は, 実質には, 2kO, 2kM になる。
 よって, (ア)と(イ)はそれぞれ 2kO, 2kM 。また, トルエン分子全体の反応速度定数は次式で表される。

   トルエン分子全体の反応速度定数 = 2kO + 2kM + kP = 2010k

したがって, 各体の組成は, 次式になる。

   オルト体の組成:0.597 = 2kO/ 2010k  よって, kO/k = 600

   メタ体の組成:0.005 = 2kM/ 2010k   よって, kM/k = 5

   パラ体の組成:0.395 = kP/ 2010k    よって, kP/k = 800…(ウ)


問2の答       L < J < K


例として, 問2の文より, m-キシレンの 4位の反応速度定数を k4 とすると, k4/k の値は,

   k4/k ≒ (kO/k)×(kP/k)

したがって, m-キシレンの一塩素化反応では, 図IIにおいて,

(1) J では, 2位の反応速度定数を k2 とすると,

   k2/k ≒ (kO/k)×(kO/k)

(2) K では, 4位の反応速度定数を k4 とすると,

   k4/k ≒ (kO/k)×(kP/k)

(3) L では, 5位の反応速度定数を k5 とすると,

   k5/k ≒ (kM/k)×(kM/k)

[問題] 本文中で, kO/k, kM/k, kP/k の値は, それぞれ 600, 5, 800 となる。よって, 各生成量は下の(1), (2), (3)の数値に対応する。

(1)のJ において,  生成量…k2/k ≒ (kO/k)×(kO/k) = 600×600 = 3.6×105

(2)のK において, k4 以外に, 3位のメチル基を基準にすると, k6 も同じことになるので,

            生成量…k4/k + k6/k = 2k4/k ≒ 9.6×105

(3)のL において,  生成量…k5/k ≒ (kM/k)×(kM/k) = 25

よって, 置換基効果から予想される生成量の順は,

   L < J < K


問3の答      2.2×105


m-キシレンの一塩素化反応において, 分子全体の反応速度定数 vX は, 問1と2の解説を参照して,

   vX = k2 + 2k4 + k5 = (kO/k)×(kO/k)k + 2{(kO/k)×(kP/k)}k + (kM/k)×(kM/k)k

                = 3.6×105k + 9.6×105k + 25k ≒13.2×105k

ベンゼンの一塩素化反応において, 分子全体の反応速度定数 vB は,ベンゼンには 6つの等価な反応点があるで,

   vB = 6k

よって, m-キシレンの一塩素化反応は, ベンゼンと比較して,

   vX/vB = (13.2×105k)/6k = 2.2×105