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問1の答
(image338)
問題の本文を要約・検討すると, 以下のようになる。
(1) 化合物A(分子式C26H22O4)の加水分解で,
C26H22O4 + H2O → 2B + C
(5)参照:C26H22O4 + H2O → 2B + C = 2B + (C2H5O)n
(2)参照
{C26H22O4 + 2H2O} - {2B:C22H16O4} = C:(C2H5O)2 … C4H10O2
よって, Aの加水分解で, A + 2H2O → 2B + C において,
C26H22O4 + 2H2O → 2C11H8O2 + C4H10O2
(2) B…Dの1個のHがCOOHに…芳香族カルボン酸
B:C6H?-COOH
(3)参照 B:C10H7-COOH …分子式 C11H8O2
(3) D…昇華性固体…酸化でE
D:C10H8→(酸化)→E:C6H4(COOH)2
(4) E…分子内脱水で酸無水物Fへ… o-キシレンの酸化で形成
o-C6H4(CH3)2→(酸化)E:C6H4(COOH)2(フタル酸)→(脱水)F:C6H4(CO)2O
(5) Cの組成式:C2H5O…不斉炭素原子を 1つ
過剰のNaと反応…C(1mol) + Na(過剰) → (ア)H2
C + (CH3CO)2O (同物質量) → G
(6) Gの酸化…H (分子量 2 減少)
(7) Hを加水分解
H + H2O → I + CH3COOH
(8) 化合物 I :ヨードホルム反応
以上より, (1)〜(5)を, 特に(2)を参照すると, Bの示性式:C10H7COOHにおいて, その構造式は次図のように2つの異性体が存在する。
問2の答…下の図 I
Cの示性式((5)参照) CH3CH(OH)CH2CH2OH
Gの示性式((5),(6)参照) CH3CH(OH)CH2CH2OCOCH3
Iの示性式((7)参照) CH3COCH2CH2OH
問3の答…下の図 II
生成物の示性式:CH3OCOC6H4COOH
化合物Fの示性式([解説](4)参照)はC6H4(CO)2O…無水フタル酸
1molの化合物Fと1molのメタノールの反応は次式によって表される。
C6H4(CO)2O + CH3OH → CH3OCOC6H4COOH
(image339)
問4の解(下の[解説](5)参照) …(ア) 1 mol
[解説]
問題の本文を要約及び検討すると, 以下のようになる。
(1) 化合物A(分子式C26H22O4)の加水分解で,
C26H22O4 + H2O → 2B + C
(5)参照:C26H22O4 + H2O → 2B + C = 2B + (C2H5O)n
(2)参照
{C26H22O4 + 2H2O} - {2B:C22H16O4} = C:(C2H5O)2 = C:C4H10O2
よって, Aの加水分解で, A + 2H2O → 2B + C において,
C26H22O4 + 2H2O → 2C11H8O2 + C4H10O2
(2) B…Dの1個のHがCOOHに…芳香族カルボン酸
B:C6H?-COOH
(3)参照 B:C10H7-COOH …分子式 C11H8O2
(3) D…昇華性固体…酸化でE
D:C10H8(ナフタレン(4)参照)→(酸化)→E:C6H4(COOH)2(フタル酸)
(4) E…分子内脱水で酸無水物Fへ… o-キシレンの酸化で形成
o-C6H4(CH3)2→(酸化)E:フタル酸→(脱水)→F:C6H4(CO)2O
(5) Cの組成式:C2H5O…不斉炭素原子を 1つ…分子式 C4H10O2((1)参照)
過剰のNaと反応…C(1mol) + Na(過剰) → (ア)H2 (ヒドロキシル基のHから発生)
C + (CH3CO)2O (同物質量) → G(アセチル化)
Cの分子:C4H10O2 において, (1)を参照すると, Aの加水分解で, 2分子のB:C10H7-COOHと 1分子のCが生じたことから, BとCがエステル結合-O-CO-をしていることを意味する。したがって, Cは2価のアルコールに相当する。
よって, Cの示性式は次のようになる(C*は不斉炭素原子),
CH3-C*H(OH)-CH2CH2OH …(a)
または,
CH3-C*H(OH)-CH(OH)CH3 …(b)
Naとの反応で,
(a)では,
CH3CH(OH)CH2CH2OH + 2Na → CH3CH(ONa)CH2CH2ONa + H2
問題本文において, 第一級アルコール部位のヒドロキシ基を選択的にアセチル化することが記述されている。よって, (a)が適合して, Gが次式のようにアセチル化で生成される。
CH3CH(OH)CH2CH2OH + (CH3CO)2O → CH3CH(OH)CH2CH2O-COCH3 + CH3COOH
(6) Gの酸化…化合物H が得られる(分子量 2 減少)
G:CH3CH(OH)CH2CH2OCOCH3→(脱水素, 分子量 2 減少)→H:CH3COCH2CH2OCOCH3
(7) Hを加水分解
H + H2O → I + CH3COOH
CH3COCH2CH2OCOCH3 + H2O → CH3COCH2CH2-OH + CH3COOH
(8) 化合物 I :ヨードホルム反応
一般式CH3CH(OH)-R(エタノール(CH3CH2OH), 2-ブタノ-ル(CH3CH(OH)CH2CH3など)や一般式CH3CO-R(アセトン(CH3COCH3), アセトアルデヒド(CH3COCHO)など)は, ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液と水酸化ナトリウムを加えて加熱すると, 上述の一般式中のメチル基 CH3-が変化して, ヨードホルム CHI3 (黄色沈殿)を生じる。
I:CH3COCH2CH2OH →(I2, KI(難溶のI2を易溶にする), NaOHの水溶液:ヨードホルム反応)→CHI3
CH3COCH2CH2OH + 3I2 + 4NaOH → CHI3 + NaOCOCH2CH2OH + 3NaI + 3H2O
以上の結果から, C, G, I の示性式(問2)は次のようになる。
C:((5)参照) CH3CH(OH)CH2CH2OH
G:((5),(6)参照) CH3CH(OH)CH2CH2OCOCH3
I:((7)参照) CH3COCH2CH2OH