答                 元の問題へ


問1の答   4.4 [mol]


● 計算を簡単にするために反応容器の体積を1Lとして考える(一般的にはV L)。

40秒~60秒で, HI が 2a 生成されたとすると, 次式が成立する。

[H2] = 1.0 + 2.0 - a  [I2] = 3.0 - a  [HI] = 2a  

 ただし, [H2]>0, [I2]>0, [HI]>0 から 0<a<3.0

H2の物質量は 0.8 mol なので, (2)式から

1.0 + 2.0 - a = 0.8 ∴a = 2.2 [mol]

よって, [HI] = 2a = 2×2.2 = 4.4 [mol/L](答)


問2の答    1.5P


一定温度で一定体積(計算を簡単にするために1Lとする)の容器内の理想気体では, その圧力は容器内の成分の全物質量に比例する。

●そこで, 図2のA点の平衡状態において, 平衡状態のHIの物質量を2a [mol/L]とすると,

H2 + I2 ⇄ 2HIから,

             [H2] = 1 - a, [I2] = 3 - a, [HI] = 2a  …(1)

A点の成分の全物質量は, 

             (1 - a) + ( 3 - a) + 2a = 4 [mol/L]

圧力と物質量との間の比例定数をCとすると, A点の圧力Pは,

             P = 4C …(2)

●40秒~60秒間のB点においては, まず, A点(平衡状態)で平衡定数K = 36, よって次式が成立する。

             36 = [HI]2/[H2][I2]  …(3)

(1)式を(3)式に代入すると

36 = (2a)2/(1.0 -a)(3.0 -a)

変形すると

36(1.0 -a)(3.0 -a) = 4a2
9(1.0 -a)(3.0 -a) = a2
8a2 - 36a + 27 = 0

2次方程式の解の公式から,

a = {36 ±(362 - 4×8×27)1/2/16 = {36 ±(432)1/2/16 = {36 ±12(3)1/2/16
= {9 ±3(3)1/2/4 = (9 ± 5.19)/4 = 3.5475, 0.9525  

(1)式から 0<a<1.0, したがって a = 0.9525 [mol/L]

よって, [H2] = 1.0 - 0.9525 = 0.0475 [mol/L]

     [I2] = 3.0 - 0.9525 = 2.0475 [mol/L]   …(4)

     [HI] = 2×0.9525 = 1.905 [mol/L]

したがって, B点においては, 各成分の物質量は, 生成されるHIの物質量を2a'とすると, (4)の値を用いて,

             [HI] = 1.905 + 2a' [mol/L]

             [H2] = 0.0475 + 2.0 - a' [mol/L]

             [I2] = 2.0475 - a' [mol/L]

よって, 全物質量は,

[H2] + [I2] + [HI] = (1.905 + 2a') + (0.0475 + 2.0 - a') + (2.0475 - a') = 6.0 [mol/L]

このときの圧力P'は

             P' = 6C …(5)

●60秒~80秒間のC点も, 上述のB点と同様にして考えると, その圧力P"は,

            P" = 6C …(6)

したがって, (2), (5), (6)から

            P' = P"= 6×(P/4) = 1.5P(答)


問3の答    1.3 [L/(mol・s)]


図2中の平衡状態から,

           36 = [HI]2/[H2][I2] …①

化学平衡状態において, v1 = v2から, 次式が, 問題本文中の(2)と(3)を用いて, 成立する。

           k1[H2][I2] = k2[HI]2 …②

①と②から

           k1/k2 = [HI]2/[H2][I2] = 36

よって,

           48/k2 = 36  ∴k2 = 48/36 = 1.3 [L/(mol・s)](答)


問4の答    0.59 [mol]


●計算を簡潔にするために, 容器の体積を1Lとする。
この場合では, HIとH2は反応しない。したがって, まず, HIが分解(逆反応)して化学平衡に到達するので, HIの分解の物質量を2a [mol/L]とすると, そのときの各成分の物質量は次のようになる。

[HI] = 7.0 - 2a
[H2] = 1.0 + a
[I2] = a

そのときの平衡定数K'は, 図2から, 正反応の平衡定数Kとすると, K = [HI]2/[H2][I2] = 36なので,

K' = [H2][I2]/[HI]2 = 1/36

よって,

[H2][I2]/[HI]2 = (1.0 + a)(a)/(7.0 - 2a)2 = 1/36

変形すると,

36a(1 + a) = (7.0 - 2a)2
36a + 36a2 = 49 - 28a + 4a2
32a2 + 64a - 49 = 0

2次方程式の解の公式から,

a = {-32 ±(322 + 32×49)1/2/32 = -1 ± 1.591 = -2.591, 0.591

a>0から,  a = [I2] = 0.59 [mol/L](答)


問5の答

 [誤り(1)]

 
時間40~70間の平衡状態の[HI]2/[H2][I2]値が36より小さい。

 [理由]

 一般に, 任意の1つの反応系において, 同温の平衡定数は等しい。 したがって, いまの H2 + I2 ⇄ 2HI の反応系(左→右:正反応)において, 温度T1の平衡定数をKとすると, その平衡定数 K [HI]2/[H2][I2] は 36 に等しいことになる。


 [誤り(2)]

時間70~80間の平衡状態の[HI]2/[H2][I2]値が36より大きい。

 [理由]

 いまの場合の H2 + I2 ⇄ 2HI の反応系において, 左→右の正反応で発熱反応, 右→左の逆反応で吸熱反応である。

 ル・シャトリエの平衡移動の法則によれば 「平衡状態にあるとき, 外部から加えられた濃度, 温度, 圧力などの条件を変えると, その条件の変化を妨げる方向へ, 反応系の変化が起こり, 新しい平衡状態になる。」

  したがって, ル・シャトリエの法則により, H2 + I2 ⇄ 2HI の反応系は, 外部から加えられた温度において, T1からT2へ上げると(T1<T2), その条件の変化を妨げる方向, いわゆる, 右→左の逆反応の吸熱反応が生じてHIが減少しH2とI2は増加し新平衡状態になる。結果として, 温度 T2でその平衡定数 K = [HI]2/[H2][I2] は 36 より小さくなる。


問6の答    (ア)と(ウ)


●まず, 計算を簡潔にするために, 容器の体積を1Lとする。
実験3において, 最初の混合時(時間t=0秒)で, [HI]2/[H2][I2] の値は, [2]2/[3][3] ≒ 0.4 から, 正反応が進行する。いま, a [mol] のH2とI2が正反応して, HIが2a [mol]が生じ平衡状態に達したとすると, 次式が成立する。

[H2] = 3.0 -a, [I2] = 3.0 -a, [HI] = 2.0 + 2a …(1) 

ただし, [H2]>0, [I2]>0, [HI]>0 から,  -1.0<a<3.0

36 = (2 + 2a)2/(3.0 -a)(3.0 -a) …(2)

(1)式を(2)式に代入して変形すると

36(3.0 -a)2 = (2 + 2a)2
9(3.0 -a)2 = (1 + a)2
8a2 - 56a + 80 = 0
a2 - 7a + 10 = 0
(a - 2)(a - 5) = 0

よって, a = 2, 5

-1.0<a<3.0 から, a = 2

(1)式から, 実験3の平衡状態の各成分の物質量は,

[H2] = [I2] = 1.0 [mol], [HI] = 6.0 [mol]

●一方, (ア)と(イ)は[HI]2/[H2][I2] の値は36より小さいので正反応が進行する。
よって, (ア)の平衡状態の各成分の物質量は, 実験3を考慮して

[H2] = 4.0 -a = 1.0 [mol], ∴a = 3.0 [mol]

[I2]と[HI]は, aの同値 3.0 [mol]を利用すると,

[I2] = 4.0 -a = 4.0 - 3.0 = 1.0 [mol], [HI] = 2a = 2×3.0 = 6.0 [mol]

以上の(ア)の各成分の平衡状態の物質量は実験3のものと等しくなる。よって, (ア)は答

(イ)は, [H2] = 1.5 -a = 1.0 [mol], ∴a = 0.5 [mol]

[I2]と[HI]は, aの同値 0.5 [mol]を利用すると,

[I2] = 1.5 -a = 1.5 - 0.5 = 1.0 [mol], [HI] = 2a = 2×0.5 = 1.0 [mol]

(イ)の HI の平衡状態の物質量は実験3のものと等しくない。よって, (イ)は不適合である。


●(ウ)と(エ)は[HI]2/[H2][I2] の値は36より大きいので逆反応が進行する。
いま, 最初導入したH2, I2, HIの物質量をそれぞれA [mol], B [mol], C [mol] とする。そこで2a [mol] のHIが逆反応してa [mol] のH2とI2が生じ平衡状態に達したとすると, 次式が成立する。

[H2] = A + a, [I2] = B + a, [HI] = C - 2a, [HI]2/[H2][I2] = 36

よって, (ウ)の平衡状態の各成分の物質量は,

[HI] = 4.0 - 2a,  [H2] = 2.0 + a, [I2] = 2.0 + a  …(2)  ただし, -2.0<a<2.0

各成分が実験3の平衡状態と同じになるためには,

[HI] = 4.0 - 2a = 6.0 [mol], ∴a = -1.0 [mol]  この値は-2.0<a<2.0に適合

[H2]と[I2]には, aの同値 -1.0 [mol]を利用すると,

[H2] = 2.0 + a = 2.0 - 1.0 = 1.0 [mol], [I2] = 2.0 + a = 2.0 - 1.0 = 1.0 [mol]

以上の(ウ)の各成分の平衡状態の物質量は実験3のものと等しくなる。よって, (ウ)は答 この場合, 最初, 逆反応を想定していたが, 結果としては, 正反応となる。

(エ)の場合は, (ウ)と同解法で行うと, H2とI2の平衡状態の物質量は実験3のものと等しくない。よって, (エ)は不適合である。