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問1の答 

  A…C6H5CH2CH(NHCOCH3)COOH, B…C6H5CH2CH(NH2)COOCH3


ヒント

●フェニルアラニンC6H5CH2CH(NH2)COOHはアミノ基-NH2を使って無水酢酸と次式のように反応しアセチル化した化合物AのアセチルフェニルアラニンC6H5CH2CH(NHCOCH3)COOHを生じる。
    C6H5CH2CH(NH2)COOH + (CH3CO)2O → C6H5CH2CH(NHCOCH3)COOH + CH3COOH

●フェニルアラニンはカルボキシル基-COOHを使ってメタノールと次式のように反応しエステル化した化合物BのフェニルアラニンメチルエステルC6H5CH2CH(NH2)COOCH3を生じる。
    C6H5CH2CH(NH2)COOH + CH3OH → C6H5CH2CH(NH2)COOCH3 + H2O


問2の答   触媒

 [理由] Cは正触媒に相当し別の反応経路で反応分子の活性化エネルギーを低下させて活性状態の中間体の濃度を増加させる。その結果として反応速度を速めることになる。


ヒント

化学反応に関与する理想的な触媒では, 反応速度だけを変化させ, 触媒自体は反応終了後で元の状態になって変質しない。

触媒は2つに大きく分けられる:
1. 均一系触媒…反応物質と触媒が同一相にある。例えば, 溶液相の反応において水溶液中のサッカロースの加水分解での酸の水素イオンH+が相当する。  

2. 不均一系触媒…反応物質と触媒が相を異にする。例えば, 常温の水素と酸素の気相反応において固相の白金黒が相当する。

触媒反応における反応速度は触媒との中間体の形成などの経路を通して主に活性化エネルギーの変化に依存している(image186)。
  正触媒…活性化エネルギーを低下させて反応速度を速める。一般に触媒といえば正触媒を意味する。
  負触媒…活性化エネルギーを高めて反応速度を遅くする。
          (image186)

上図において, AとBは反応分子, Cは触媒, A・・BとA・・B・・Cは活性状態の中間体, ABは生成物, E1とE2は活性化エネルギーを表す。この図の場合, Cは正触媒を意味する(E1>E2)。


問3の答

[理由] 反応を開始させ増幅させる触媒Cは親水性で有機溶媒Xには存在しないので, 反応物質AとBの化学変化は水溶液で電離して行われる。
この反応ではAの親水性のカルボキシル基COOHとBの親水性のアミノ基NH2の脱水でペプチド結合により疎水性のペプチドDが生成される。
生成されたペプチドDはただちに有機溶媒Xに溶け込むと同時にXに溶けていたAとBは水相との平衡状態を保持するために一部水溶液になる。
再び水溶液でXから補充されたAとBの化学変化がCの存在下で起きペプチドDが生成される。
以上の反応過程が繰り返されて反応終了後では主としてペプチドDだけが有機溶媒Xに含まれることになる。


問4の答
 
  C6H5CH2CH(NHCOCH3)COOH + C6H5CH2CH(NH2)COOCH3
                 → C6H5CH2CH(NHCOCH3)CONHCH(COOCH3)CH2C6H5
+ H2O


ヒント
 
上述の反応式で太字のところがペプチド結合を表す。

 ペプチドD :C6H5CH2CH(NHCOCH3)CONHCH(COOCH3)CH2C6H5 が形成される。