答 元の問題へ
問1の答
(ア):カルボキシル基, (イ):触媒, (ウ):活性化エネルギー, (エ):反応速度,
(オ):均一
問2の答
0.0521 [L]
問1において,
●問題文から, 「化合物Eは, 硫酸とともにアルコール中での加熱でエステルが生成した」ことは, 次式のように, 有機酸のカルボキシル基-COOHとアルコールのヒドロキシル基-OHの脱水縮合によりエステル結合-CO-O-の形成を意味する。
R1-COOH + R2-OH → R1-CO-O-R2 + H2O …(i)
したがって, 化合物Eは(ア):カルボキシル基を有することになる。
●触媒(普通は正触媒を意味する)が反応系に存在すると, 反応は, 活性化エネルギーの小さい経路を進行して反応速度を大きくし早く平衡状態に達する。ただし,
触媒は反応前後では変化しないで同じ状態になる。また, 触媒の相とその他の反応の相が同じである場合は, 均一触媒といい, 異なる場合は不均一触媒という。以上から,
(イ):触媒, (ウ):活性化エネルギー, (エ):反応速度, (オ):均一。
問2において,
● 問題文において, 「0.200 [g] の化合物Bは, 白金の存在下で水素を吸収して化合物Eとなった」ことから, 用いた化合物B(分子式:C4H6O2)の物質量mBは, 分子量:12×4 + 1×6 + 16×2 = 86なので,
mB = 0.2/86 = 0.002326 [mol]
水素の物質量は, 上式(i)より, mBと等しい。また, 1[mol]の標準状態の理想気体の体積は22.4 [L]なので, 水素の標準状態での体積VBは,
VB = 22.4×mB = 22.4×0.002326 = 0.0521 [L]
問3の答
C8H16O2
問4の答下の図 I, 問5の答 下の図 II, 問6の答下の図 III
(image425)
問3において,
●化合物B(分子式:C4H6O2)は, 次の問題文より, 希塩酸とは反応しないが炭酸水素ナトリウム水溶液とは反応することから, -COOH基を有する。
「下線部@の混合物に十分量の希塩酸とジエチルエーテルを加えたところ, 化合物Bだけがジエチルエーテルに溶け込んだ」及び「取り出したジエチルエーテル溶液に十分量の炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたところ,
化合物Bが水溶液に溶け込んだ」。
●化合物Bの示性式は, 次のようになる。
C3H5-COOH ⇔ CH3-CH=CH-COOH or CH2=CH-CH2-COOH
● 「化合物Bは白金の存在下, 水素を吸収して化合物Eとなった。化合物Eは-COOH基を有しており, これを硫酸とともに2-メチル-1-プロパノール(イソブチルアルコール)中で加熱したところ,
エステルが生成した」ことから,
C3H5COOH + H2 → CH3H7COOH (化合物E)
エステル化による脱水縮合は,
CH3CH2CH2COOH + CH3CH(CH3)CH2OH → CH3CH2CH2-CO-O-CH2CH(CH3)CH3 + H2O
エステルの示性式と分子式は,
示性式:CH3CH2CH2-CO-O-CH2CH(CH3)CH3 ⇔ 分子式:C8H16O2
問4において,
●化合物Bの示性式 CH3-CH=CH-COOH or CH2=CH-CH2-COOHとなる。二重結合 >C=C< では, 2つの炭素原子Cは自由に回転しないので, Bの分子構造には, cisとtransなどの幾何異性体(立体異性体)が存在する。
問5において,
●化合物A(分子式:C15H20N2O2)のアミド結合の完全加水分解で, 化合物B(分子式:C4H6O2), 化合物C, 化合物D(分子式:C4H11N)が生成された。
●化合物Cはベンゼン誘導体である。
●化合物Bの示性式は, 問4の答から, C3H5-COOH
●化合物CとDは, 希塩酸と反応して水に溶解したことから, 塩基性である。
(Bは酸性なので, 希塩酸とは反応しない, 有機性を保持しているのでジエチルエーテルに溶ける)
●化合物Cは, 水酸化ナトリウム水溶液と反応して水に溶解したことから, 酸性である。
(Bは酸性なので, 水酸化ナトリウム水溶液と反応して水に溶ける。 Dは塩基性なので水酸化ナトリウム水溶液と反応しない, 有機性を保持しているのでジエチルエーテルに溶ける)
以上より, 化合物Cは, 塩基性と酸性の両方を示す両性化合物に相当する。そのCの示性式は次のように考えられる。
示性式:C6H4(NH2)(COOH) ⇔ 分子式:C7H7NO2
化合物Aの加水分解は,
A:C15H20N2O2 + 2H2O → B:C3H5-COOH + C:C6H4(NH2)(COOH)
+ D:C4H9-NH2 (or C3H7NHCH3 or C2H5NHC2H5)
問6において,
●分子式:C4H11Nの化合物には, 問5の解説から, 塩基性を示すので, 分子中に, -NH2基, >NH基, >N-基が存在する(この基が存在する化合物をアミンという)ことになるが, Dは, 次のように, 化合物A(分子式:C15H20N2O2)のアミド結合の加水分解で生成されている。
-N(R1)-CO-R2 + H2O → -N(R1)-H + HO-CO-R2
それ故, 化合物Dの分子中には, -N(R1)-H が存在し, 必ず窒素原子Nに水素原子Hが結合している。したがって, D以外の分子式:C4H11Nの化合物には, >N-基が存在する。