1章B 類題2-1(110501)               TOP-B



[問題] 次の文(a), (b)を読んで, 問1〜問5に答えなさい。ただし, 原子量は, Li=6.94, C=12.0, O=16.0, S=32.0 とする。

(a) 炭素の単体の一つである黒鉛では, 図1に示すように炭素原子は他の3個の炭素原子と( ア )結合して, 巨大な平面状網目構造をつくる。平面網目間(層間)は弱い( イ )により結合している。そのため, 黒鉛の層間距離は容易に変化するので, 多くの原子, 分子を挿入させたり, 脱離させたりすることができる。この現象を利用しているのがリチウム二次電池である。
 リチウム二次電池では適当な有機溶媒中で正極からリチウムイオンが脱離し, 負極の黒鉛の層間にリチウムイオンが取り込まれることにより充電反応が生じる。この負極の充電反応を考えてみる。いま, 炭素 n [mol]に対して, リチウムイオン 1mol が黒鉛中に取り込まれ, @LiCnという化合物ができたとする。この反応式を電子e-を含んだ式で表すと,

  (   ウ   )

となる。黒鉛の層間にリチウムがもっとも多く取り込まれた場合, リチウムは, 黒鉛の全ての平面状網目構造に対して図2の配置をとり, 黒鉛の層間では1層である。したがって, このときの n は( エ )となる。
         (image423)
問1. (ア)〜(エ)にそれぞれ適切な語句, 化学式, 数値を入れなさい。

                             

問2. 下線部@のLiCnを大気中に出すと, 大気中の水分と反応して分解し, 黒鉛相内からリチウムイオンを放出する。このときの反応式を記しなさい。ただし, LiCnは金属リチウムと似た性質を示すことが知られている。

                             

(b) 次に図3に示すように配線し, リチウム二次電池を用いて鉛蓄電池を充電してみよう。鉛蓄電池を使用する放電反応の逆向きの反応が充電反応であるので, 電極Iの充電反応を電子e-を含んだ式で表すと,

  (   オ   )

であり, また, 同様に電極IIの充電反応は,

  (   カ   )

となる。このとき, リチウム二次電池の負極の質量は 2.30[g]減少した。この質量変化から計算すると, リチウム二次電池から鉛蓄電池に流れた電子の物質量は( キ ) [mol]である。したがって, 理論的には電極Iの質量減少は( ク ) [g]となる。しかしながら, 実際には電極Iの質量減少は 9.80 [g]であった。

問3. (オ)と(カ)にそれぞれ適切な化学式を入れなさい。

                             

問4. (キ)と(ク)にそれぞれ適切な数値を有効数字3桁で入れなさい。

                             

問5. リチウム二次電池が放電したエネルギーの何パーセントが鉛蓄電池の充電に利用されましたか。有効数字3桁で求めなさい。