6章B 類題1-1(111110) TOP-B
[問題] 次の文を読んで, 問1〜問8に答えなさい。必要なら次の値を使用しなさい。原子量は, O=16, Fe=56, アボガドロ定数は 6.0×1023 とする。
遷移元素である鉄は様々な組成の酸化物を形成し, それらは顔料や磁性材料など幅広い用途に用いられている。いま, 3種類の鉄の酸化物 A, B,
C を考える。
鉄鉱石の中で赤鉄鉱とよばれるものがあり, 主成分は鉄の酸化物である。その酸化物をAとすると, その鉄の酸化数は( ア )である。
酸化物B は酸化物A を還元することで得られる。そのモル質量は 232g/mol である。酸化物Bは( ア )と( イ )の酸化数をもつ鉄が( ウ ):( エ )の比で共存する純物質であり, 酸化数が異なる 2種類の酸化物の混合物ではない。
酸化物C の化学式は Fe1-XO(ただし, X≧0)と表わされる。X = 0 のとき, 酸化物C の組成式は FeO であり, 図1のような塩化ナトリウム型の結晶構造をとる。しかし,
実際の酸化物Cでは, 図2のように, 結晶中の鉄原子の一部が欠損している。このように, 原子が欠損した部分を原子空孔とよぶ。(図:image450)
Xが 0 でない値をとり, かつ連続的に変化するという事実は, プルーストが提唱した( オ )の法則に矛盾するが, このような化合物も少なからず存在する。酸化物Cでは, X>0 であっても, 酸化物全体として電気的中性が保たれている。
また, 結晶中の鉄原子に欠損が生じると, その影響は結晶全体におよびこの, @単位格子の一辺の長さ a が減少する。このような a の変化を引き起こす原因はいくつかある。たとえば, A原子空孔周辺の原子の配列がゆがんだり, 一部の原子が本来の位置から結晶中の原子と原子とのすき間(格子間位置)に移動したりすることが考えられる。
Xがある値より大きくなると, 塩化ナトリウム型の結晶構造は不安定になり, 部分的に酸化物Bの結晶構造に置き換わる。
酸化鉄は鋼(こう)の工業原料である。たとえば, B酸化物Aを高温で一酸化炭素と反応させると, 酸化物Aは還元され, 酸化物B, Cなどを経て, 炭素などの不純物を多く含んだ銑鉄が得られる。さらに, 銑鉄に酸素を吹き込むと不純物の少ない鋼が得られる。
問1. ( ア ), ( イ )に適切な数値を答えなさい。
答
問2. 酸化物Bの組成式を答えなさい。
答
問3. ( ウ ):( エ )が最も簡単な整数比となるよう, それぞれにあてはまる適切な数値を答えなさい。
答
問4. ( オ )に適切な語句を答えなさい。
答
問5. ある条件で生成した酸化物C (Fe1-XO)について O の質量パーセントを調べたところ, 23.0%であった。このときのXの値を有効数字2桁で求めなさい。
答
問6. 下線部@に関して, X = 0.060 および 0.080 のときの a を測定したところ, それぞれ, 4.30×10-8cm, 4.29×10-8cm であった。a は X に対して直線的に変化すると仮定するとき, X = 0 のときの酸化物 C (FeO) の密度を有効数字2桁で求めなさい。
答
問7. a が変化する原因として, 下線部Aに書かれたほかに, どのようなことが考えられますか。鉄の酸化数に着目して, 解答欄の枠の範囲内で述べなさい。
答
問8. 下線部Bに関して, 酸化物Aから, 直接, 鉄の単体が得られるとして, その反応式を示しなさい。
答