1章A 類題3-1(140404)              TOP-A


[問題] 次の文章(A), (B) を読んで, 問1~3に答えなさい。なお, 構造式は下記の例にならって書きなさい。

(A) 
エチレンを塩化パラジウム(II) PdCl2 と 塩化銅(II) CuCl2 を触媒として酸化すると, 化合物Aが生成する。化合物Aは, 水銀(II)塩を触媒として化合物Bに水を付加することによっても合成することができる。

 化合物Aをさらに酸化すると, 脂肪酸の一つである化合物Cが生成する。化合物Aを還元すると, 同じ炭素数を有する化合物Dが生成する。化合物Dにナトリウムを加えると, 水素を発生する。

 化合物Cを水酸化カルシウム Ca(OH)2 と反応させると化合物Eが生成する。化合物Eを熱分解すると, 化合物Fが生成する。化合物Fは, 工業的にクメン法(クメンの酸素による酸化, つづく希硫酸による分解)によっても得ることができる。化合物Fの水溶液は, 中性である。
                  (image542)


問1
A~F に最も適した具体的な化合物名を日本語で答えなさい。構造式での解答や総称での解答は不可とする。

                             


問2 化合物Fに, 塩基性の条件下でヨウ素を作用させると黄色の沈殿が生成する。この黄色の沈殿は何ですか。分子式で答えなさい。

                              


(B) (a) 化合物Gと化合物Hはベンゼン環を含有する化合物であり, それらの分子式はいずれも C11H14O2 である。

 
(b) 化合物Gと化合物Hはいずれも, エステル結合を有する。

 (c) 化合物Gと化合物Hをそれぞれ水酸化ナトリウム水溶液に加え, 加熱することで, 完全にケン化した。その後, その溶液を室温まで冷却し, エーテルを加えてよく抽出し, エーテル層と水層を分離した。エーテル層を濃縮すると, 化合物Gから化合物Iのみが得られ, 化合物Hからは何も得られなかった。

 次に, それぞれの水層を希塩酸で酸性にしたのち, エーテルを加えて抽出し, エーテル層と水層を分離した。ここで得られたエーテル層を濃縮すると, 化合物Gから化合物Jが, 化合物Hからは化合物Kと化合物Lが得られた。

 (d) 化合物Iと化合物Lはそれぞれ不斉炭素原子を一つずつ持つ。

 (e) 化合物Kはベンゼン環を含有する。

 (f) 化合物Iは化合物Jよりも分子量が小さい。

 (g) 化合物G~Lは全て, お互いに構造の異なる化合物である。


問3 化合物G, 化合物Hの構造式を書きなさい。ただし, 光学異性体は区別しなくてよい。