5章A 類題4-1(110201)          TOP-A



[問題] 次の文章を読んで, 問1〜4 に答えなさい。原子量が, 計算のために必要があれば, 次の値を使用しなさい。H=1.00, C=12.0, N=14.0, O=16.0

 酸性アミノ酸である L-アスパラギン酸と, (A)カルボキシル基がメチルエステル化された L-フェニルアラニンが(B)ペプチド結合したα-L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステルは, スクロースよりはるかに甘い性質がある。この有機化合物をXとする。

問1. Xの構造式を下図に示す。下線部(A)「カルボキシル基がメチルエステル化」された部分を長方形で囲み, 下線部(B)「ペプチド結合」の部分を楕円で囲みなさい。
            (image409)

                     

問2. L-アスパラギン酸の分子量は 133 であり, L-フェニルアラニンの分子量 165 である。Xの分子量を求めなさい。

                     

問3. L-アスパラギン酸とL-フェニルアラニンからなるジペプチドは全部で何種類あるかを答えなさい。ただし, 同一アミノ酸からなるジペプチドも数に含めるものとし, L-アスパラギン酸の側鎖にカルボキシル基があることに注意しなさい。

                     

問4. 以下の文章の空欄( ア )〜( カ )に適切な語句や数値を入れなさい。ただし, 数値は有効数字3桁で答えなさい。

 「食の安全」において, 物質の化学的性質, 体内での代謝, 生理作用などに加えて摂取量を考慮したリスク評価が大切である。
 化合物X 1.00 mol のペプチド結合とエステル結合を完全に加水分解すると, L-アスパラギン酸, L-フェニルアラニン, ( ア )がそれぞれ 1.00 mol ずつ生じる。この反応は動物体内でも起る。
 ( ア )には中毒性があり, ヒトが経口摂取した場合に中毒症状を起こす最小量(最小中毒量)は体重 1.00 kg あたり 100 mg とされている。これは体重 48.0 kg のヒトであれば 4.80 g, つまり物質量で( イ )mol ということになる。
 ヒトの体内で X の加水分解が速やか, かつ完全に起るならば, X の分子量を使った計算から, 体重 48.0 kg のヒトが X の純品を一度( ウ )g 摂取すると, 体内で生じた( ア )による急性中毒を起こすリスクがある。
 しかし, X は同じ物質量のスクロースに比べ 170倍甘いため, スクロースの代わりに摂取する場合の使用量はななり少なくなる。
 スクロースはβ-( エ )の2位とα-( オ )の 1位のヒドロキシル基(-OH)間で脱水縮合した二糖類であるから, その分子量から, 前述の( ウ )g の X は( カ )g に相当する。
 こうした計算は, 食品成分や添加物のリスク(この場合は, X の分解で生じうる( ア )のリスク)がどの程度なのかを日常の食生活に照らして判断するのに役立つ。