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問1の答
(ア. 780〜380), (イ. 赤), (ウ. 紫), (エ. 白), (オ. 分光測色),
(カ. 三色測色), (キ. 三属), (ク. 補) (ケ. 顔料) (コ. 緑)
●染料…種々の物質(被染色材料)を染めるのに用いる色素をいう。
○染色的性質から分類すると次のようになる。
(1)水溶性…塩基性染料(メチレンブルー), 酸性染料(オレンジII), 直接染料(コンゴーレッド), 可溶性建染め染料(アントラゾールO), 酸性媒染染料(エリオクロムブラックT), 媒染染料(繊維に対し染着性を欠いた染料を, 金属塩の前処理付着繊維で不溶性の金属錯化合物にして染色)(アリザリン, アリザリンレッドS)
(2)非水溶性…還元で水溶性になるもの:硫化染料(サルファーブラックT), 建染め染料(還元剤で水溶性にして繊維に付着し空気中の乾燥酸化で元の不溶性染料にして染色)(インジゴ, インダントロン)
…アルコールに可溶:酒精溶染料(スピリットブルー)
…油脂, 鉱油に可溶:油溶染料(スダンII)
…分散状態で用いるもの:分散染料(セリトンファストバイオレッドB)
(3)繊維その他基質上で不溶性染料を生成して染色…不溶性アゾ染料(ナフトールAS), 酸化染料(アニリンブラック), 鉱物染料(ミネラルカーキ)
○化学的性質から発色団や環構造で分類すると次のようになる。
ニトロソ染料(ナフトールグリーンB・・・主発色団:ニトロソ基-NO), ニトロ染料(ナフt-ルエローS・・・主発色団:ニトロ基-NO2), アゾ染料(パラレッド:1-4-ニトロフェニルアゾ-2-ナフトール, 1-フェニルアゾ-2-ナフトール・・・主発色団:アゾ基:-N=N-), メチン染料(アストラゾンピンクFG・・・主発色団:メチン基-CH=あるいはCH≡), アミノケトン染料(ヘリンドンエローCG・・・主発色団:分子内のアミノ基-NH2とケトン基-CO), チアゾール染料(チオフラビンT・・・主発色団:チアゾリル五員複素環基C3H2NS-), オキシケトン染料(ナフタザリン・・・主発色団:1,4-ナフトキノン基C10H6O2-), スチルベン染料(クリソフェニンG・・・主発色団:分子内のチルベン形原子団-C6H4-CH=CH-C6H4-及びアゾ基-N=N-), インドフェノール染料(インドフェノールブルー・・・主発色団:N-(p-アミノフェニル)-p-キノンイミンO=C6H4-N-C6H4-NH2の誘導体), ジフェニルメタン染料(オーラミン・・・主発色団:ジフェニルメタンC6H5-CH2-C6H5の誘導体), アントラキノン染料(アリザリン, アリザリンシアニングリーンG・・・主発色団:9,10-アントラキノンC14H8O2の誘導体), トリアリールメタン染料(マラカイトグリーン・・・主発色団:トリフェニルメタンC19H16の誘導体), アジン染料(サフラニンT・・・主発色団:1,4-ジアジン六員複素環C4H8の誘導体), インジゴイド染料(インジゴ・・・主発色団:-CO-C(X)=C(X)-CO-, Xは-NH-など), ザンセン染料(ローダミンB・・・主発色団:キサンテン環C13H10O), オキサジン染料(ガロシアニン・・・主発色団:パラオキサジン六員複素環C4H5NO), フタロシアニン染料(フタロシアニングリーン, ポンタミンファストターコアス8GL・・・主発色団:フタロシアニン環C32H18N8), アクリジン染料(アクリジンオレンジR・・・主発色団:アクリジン環C13H9N), チアジン染料(メチレンブルー・・・主発色団:1,4-チアジン六員複素環C4H5NS), 硫化染料(サルファーブラックT・・・主発色団:複雑のため構造不確定であるがチアゾール環C3H3NS, フェノチアゾンC12H7NSO, チアントレン環C12H8S2など存在)
○被染色材料には, 植物及び動物繊維, 合成繊維, プラスチック, 各種のフイルム, 皮革, 毛皮, 紙, ワラその他の雑貨, 食品, 油脂, ロウ, 燃料油, 各種インクなど多くのものがある。
○染料分子は, 一般的に, 芳香環が存在し, それによって主要構造部分を平面的に構成し, また, 主要構造部分に極性基や孤立電子対を含む基が結合している。この一般的分子構造は発色に必要な条件を備えていることになる。
●顔料…普通, 水や有機溶媒に不溶な着色粉末である。この粉末を水や有機溶媒中でコロイド状の分散状態にして物質表面に付着させる。大きく分けると無機顔料と有機顔料になる。
無機顔料(無機物質が主体)には, グンジョウ(Na,Sを含むNa,Alケイ酸塩のセイキン石の合成青色顔料), カドミウムエロー(硫化物CdSの黄色顔料),
ベンガラ(酸化鉄(III)の赤色顔料), クロムエロー(クロム酸鉛:黄鉛の黄色またはオレンジ顔料), 鉛白(ヒドロオキシ炭酸鉛2PbCO3・Pb(OH)3の白色顔料), カーボンブラック(炭素の黒色微粉末)などがある。
有機顔料(有機物質が主体)には, アゾ系, トリフェニルメタン系, キノリン系, アントラキノン系, フタロシアニン系などがある。
● 発色理論…19世記後半に発色団, 助色団に関するウィットの発色説が提唱される。その後, 量子化学理論の発展で電子論に基づく化学構造の特質から発色機構が説明される,
すなわち, 発色の主因の共役系の大きさ, 発色団・助色団となる電子の吸引基と供与基およびそのイオン化, 環化, 新置換基の導入による共役系の短絡,
立体障害, 媒質, 水素結合, 分子内金属錯塩の形成などで発色の統一的説明がなされている。原理的には, 分子内のπ電子の励起エネルギー, 励起準位への遷移確率の計算から吸収帯の波長や吸収強度を知ることができる。
○発色団…有機化合物が色をもつ原因となる原子団で, ニトロ基-NO2, アゾ(-N=N-)基, カルボニル(>C=O)基, >C=C<基, >C=N-基, >C=S基, ニトロソ(-N=O)基,
-N=NO-基, -C≡N基などがある。発色団が分子内に多く存在すると発色が強くなり, 特に発色団の不飽和結合が共役すると著しい発色能力をもつ。
○助色団…発色団を含む色原体に導入して色を濃く深くし同時に繊維への染着性を与える原子団をいう。水酸基-OH, アミノ基:-NH2, -NHR, -NRR'などの造塩性の原子団がある。 その他に染着性を与えるという観点からカルボキシル基-COOH, スルホン基-SO3Hなども加える。
次の図IとIIは, 色素の発色メカニズムを簡潔に図示している(image252)。
問2
(1)の答(image253)
(オ)の分子式:C8H8N2O3,
(オ), (カ)および(キ)は二置換ベンゼンで芳香環(ベンゼン環)中の水素原子1つを臭素原子に置き換
えると, それぞれ構造異性体は次のように2種類存在する。
(オ)…2-ブロム-p-ニトロアセトアニリド, 3-ブロム-p-ニトロアセトアニリド;
(カ)…2-ブロム-p-ニトロアニリン塩酸塩, 3-ブロム-p-ニトロアニリン塩酸塩;
(キ)…2-ブロム-塩化p-ニトロベンゼンジアゾニウム塩, 3-ブロム-塩化p-ニトロベンゼンジアゾニウム塩
(2)の答(image254)