答
●元の問題へ
問1の正解… (ア)R‐CH(NH2)COOH(イ)アミノ(ウ)カルボキシル(エ)陽と陰(オ)双生(カ)不斉(キ)光学(ク)L
(ケ)ペプチド(コ)ポリやマクロ(サ)1(シ)カルボニル(ス)イミノ(セ)水素(ソ)2(タ)イオン(チ)ジスルフィド(ツ)3
(テ)触媒(ト)立体(ナ)活性化(ニ)促進
ヒント
●同一炭素原子にアミノ基とカルボキシル基をもつ2個のα‐アミノ酸(一般式:R−CH(NH2)−COOHまたは
NH2−CHR−COOH)どうしは次のように脱水反応によってペプチド結合:−CO−NH−してジペプチドを生成する。さらに多くのアミノ酸が脱水反応しポリペプチドなどを生成する。
NH2−CHR−COOH + NH2−CHR'−COOH → NH2−CHR−CO−NH−CHR'−COOH + H2O
●20種類のα-アミノ酸 : R-CH(NH2)−COOH (下記の一般式はR のみ表示, *は必須アミノ酸…人体で合成不可能で食物として摂取するもの)
1.脂肪族アミノ酸
○モノアミノモノカルボン酸
グリシン Gly …R: H−(肉などに含まれるゼラチンや絹のフィブロインに多く存在),
アラニン Ala …R: CH3−(タンパク質中に広く分布特にフィブロイン中に25%, マメ科中に遊離状態で存在)
バリン* Val …R: (CH3)2CH- (タンパク質中に広く分布)
ロイシン* Leu …R: (CH3)2CHCH2- (タンパク質中に広く分布また遊離アミノ酸として存在)
イソロイシン* Ileu … R:C2H5CH(CH3)- (タンパク質中に広く分布特にペプチドのホルモンや抗生物質中に存在)
○オキシアミノ酸
セリン Ser …R: HOCH2- (タンパク質中に広く分布特に絹のタンパク質セリシンやフィブロインなどに存在)
トレオニン* Thr …R: CH3CH(OH)- (タンパク質中に広く分布)
○含硫黄アミノ酸
システイン CysH …R: HSCH2- (毛髪や角などのケラチンに多く存在)
シスチン CyS-SCy …R: -CH2SSCH2- (毛髪や角などのケラチンに多く存在)
メチオニン* Met …R: CH3SCH2CH2- (タンパク質中に広く分布また醤油中にもかなり存在)
○モノアミノジカルボン酸(酸性アミノ酸)
アスパラギン酸 Asp …R: HOOCCH2- (タンパク質中に広く分布, 動植物中に遊離酸としても存在)
グルタミン酸 Glu …R: HOOCCH2CH2- (タンパク質中に広く分布, 特に小麦グリアジンにはおよそ44%も存在)
○ジアミノモノカルボン酸(塩基性アミノ酸)
リシン Lys* …R: H2N(CH2)4- ((タンパク質中に広く分布, 植物の幼芽中に遊離のL-リシン存在)
アルギニン Arg …R: H2NC(NH)NH(CH2)3- (タンパク質中に広く分布, 特に魚のシラコ中多く存在)
2.含芳香族核アミノ酸
フェニルアラニン* Phe …R: C6H5CH2- (タンパク質中に広く分布)
チロシン Tyr …R: HOC6H4CH2- (家蚕フィブロインやゼラチンなどに多く存在)
3.含複素環アミノ酸
ヒスチジン(塩基性アミノ酸) His …R: HNC2NCCH2- (血液中のヘモグロビンに多く存在)
トリプトファン* Try …R: HNC8H5CH2- (タンパク質中に少量で広く分布)
プロリン Pro (タンパク質中に広く分布, 特にゼラチンに多く存在)
オキシプロリン Hypro (ゼラチンやカゼインに存在)
His Try Pro Hypro
(image101)
問2の正解… 6.10
ヒント
●アラニンの陽イオンを A+, 陰イオンを A-, 双生イオンを A±とすると
K1 = [A±][H+]/[A+] …@' K2 = [A-][H+]/[A±] …A'
@'とA'から[A±]を消去すると
[H+]2 = K1K2[A+]/[A-] …B'
等電点では, 双生イオンの濃度は大きな値を示し, 陽イオンと陰イオンの濃度は非常に小さい値で,
しかも等しいことからB'は [H+]2 = K1K2 …C'
よって, 等電点(pH値)は
pH = -log[H+] = -(logK1 + logK2)/2 = (pK1 + pk2)/2 = (2.343 + 9.866)/2 = 6.10(答)
● ポリペプチド溶液(コロイド溶液)は等電点で特異性を示す。例えば, 電気泳動の速度, 粘性, 浸透圧などが最小となり, 凝結や泡立ちが強くなる。
問3の正解… 10
ヒント
●アラニン(H2N-CH(CH3)-COOH) を H2N-A-COOH, グリシン(H2N-CH2-COOH) を H2N-G-COOH , ペプチド結合 (-NHCO-または -CONH-) を ・ とすると, 脱水反応で形成される鎖状ペプチドは
H2N-G・G・A・A・A-COOH HOOC-G・G・A・A・A-NH2
H2N-G・A・G・A・A-COOH HOOC-G・A・G・A・A-NH2
H2N-G・A・A・G・A-COOH HOOC-G・A・A・G・A-NH2
H2N-G・A・A・A・G-COOH
H2N-A・G・G・A・A-COOH
H2N-A・G・A・G・A-COOH
H2N-A・A・G・G・A-COOH
●数学の順列・組合せから考えると 5!/(3!2!) = 10
問4の正解…a : 2次構造 b : 3次構造 c : 1次構造 d : 2次構造
ヒント
●1次構造 : ペプチド結合だけの1本のポリペプチド鎖で形成されいるポリペプチドに相当する。
●2次構造 : ポリペプチド分子内の水素結合によるせん状のα形(問4のa)やポリペプチド分子間の水素結合によるシート状のβ形(問4のd)がこれに相当する。
●3次構造 : 1つのらせん状のα形ポリペプチド分子において, 水素結合, イオン結合,
ジスルフィルド結合などよってポリペプチド鎖が折れ曲がり複雑な立体構造が作られる。その複雑な構造を3次構造という。色素タンパク質に属するミオグロビンのタンパク質は3次構造をしている。赤味魚肉の赤色はミオグロビンによる。3次構造をとるポリペプチドがいくつか集ってさらに複雑な4次の構造を形成することがある(赤血球中のヘモグロビンなど)。
問5の正解… 酵素中のタンパク質の水素結合などの切断によって タンパク質の高次構造が破壊されるために,
酵素の特異性が失なわれる。これを熱によるタンパク質の変性という。
問6の正解… (a)窒素元素の検出(b)ニンヒドリン反応(c)塩析(d)チンダル現象(e)変性(f)硫黄元素の検出
(g)キサントプロティン反応(h)変性(i)ビウレット反応(j)変性(k)変性
ヒント
●タンパク質の変性は, 熱, 重金属イオン, 酸, 塩基, アルコールなどによって生じる。ゆで卵はタンパク質の熱変性である。
●タンパク質の塩析は, MgCl2などの塩(電解質)水溶液を加えると生じる。豆腐がそれに相当する。