答 元の問題へ
問1の答13 ( C )
●1 放電した鉛蓄電池の充電において, 図1を参照すると, 鉛蓄電池の負極(-)は電極Aに対応し, 正極(+)は電極Bに対応する。
●2 鉛蓄電池を放電したしたとき, 電極AとBでは次の反応が生じた。
電極A(-) : Pb + SO42- → PbSO4 + 2e- …(i)
電極B(+) : PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4 + 2H2O …(ii)
上の2つの式(i)と(ii)から, 電極A(-)の表面で, Pb → PbSO4 に変化して, PbSO4 が付着し, 電極Aの質量は増加した。電極Bの質量も同様に増加した。
●3 ●2のように放電した後, 図1にそって充電したとき, 電極AとBでは次の反応が生じた。
電極A(-) : PbSO4 + 2e- → Pb + SO42- …(iii)
電極B(+) : PbSO4 + 2H2O → PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- …(iv)
上の2つの式(iii)と(iv)は●2の(i)と(ii)の逆反応である。電極A(-)の表面で, PbSO4 → Pb に変化して, もとの Pb にかえり, 電極Aの質量は SO4 の部分だけ減少した。電極Bの質量も同様に減少した。
●4 ●3において, 電極A(-)の表面で, PbSO4 → Pb に変化して, もとの Pb にかえり, 電極Aの質量は減少したことから, 今かりに, 電極A表面での PbSO4 が 1 mol すなわち 207 + 32 + 4×16 = 303 g とすと, 式(iii)を参照して, 生成された Pb は 1 mol
すなわち 207 g, 結果として 電極Aは 303 - 207 = 96 g (SO4の部分)減少した。
一方, 生成された SO42- は, 式(iii)と(iv)を参照して, 2 mol すなわち 2×(32 + 4×16) = 192 g 増加した。したがって, 図2を考慮すると,
電極Aの質量が 100 mg 減少すると, 電解液中の硫酸イオンは 200 mg 増加する。図2中のCがそれに相当。
問2の答14 ( A )
●1 塩化ナトリウム NaCl 水溶液では, 次のように電離している。
NaCl → Na+ + Cl- …(i)
その水溶液に, 図3のような装置で電気分解を行うと, 各電極で次の酸化還元反応が行われる。
陽極 : 2Cl- → Cl2 + 2e- …(ii)
陰極 : 2H2O + 2e- → H2 + 2OH- …(iii)
●2 ●1の式(i)と●2の式(ii), (iii)を1つの式にまとめると,
2NaCl + 2H2O → 2NaOH + H2 + Cl2 …(iv)
ここで, 式(iv)は, 物質量で考えると, 2 mol の電子が関与していることになる。
●3 問2において, 「陰極側で 2.00 g の水酸化ナトリウムが生成した」ことから, 生成された水酸化ナトリウム NaOH の物質量 n(NaOH)
[mol] は, 式量が 23.0 + 16 + 1 = 40 なので,
n(NaOH) = 2.00/40 = 0.05 [mol]
そこで, ●2の式(iv)を参照すると, 2 mol の水酸化ナトリウム NaOH で 2 mol の電子が関与しているので, n(NaOH)
= 0.05 [mol] では, 電気分解の反応で電子が同じ値の 0.05 [mol] 関与している。
0.05 [mol] の電子の電気量は, 1 [mol] の電子の電気量は, ファラデー定数からの 9.65×104 C の値に等しいので,
0.05 ×(9.65×104) = 4825 [C]
●4 いま, 電子 e- の流れの電流は, 電流を X [A] とし, 流した時間を t 秒, 電気量を Q [C] とすると, 次式が成立する。
Q = Xt
よって, 問2の NaCl 電気分解で, 電流 X [A] を 1 時間 (3600秒) 流し, その電気量は, ●3を参照して, 4825
[C] であることから
4825 = 3600X
ゆえに
X = 4825/3600 = 1.34 [A] (有効数字3桁) : A