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問1の答
(image328)
植物の果汁はカルボキシル基-COOHを持つので, 塩基と中和反応を生じる。ここで, 「化合物 A C4H6O5 の0.10 mol/L の水溶液 10 mL をつくり, 0.10 mol/L の水酸化ナトリウム NaOH水溶液で滴定したところ, 20 mL
で中和点に達し, 溶液はアルカリ性であった」ことから, 化合物 A 1mol に対して水酸化ナトリウム 2mol 反応するので, 次の反応式が成り立つ。
HOOC-(C2H4O)-COOH + 2NaOH → (C2H4O)(COONa)2 + 2H2O
上の式から, 化合物 A はジカルボン酸で, その化学式はHOOC-(C2H4O)-COOHとなり, 上図例の平面構造式で書くと次の図のように 5つ書ける。
(image327)
有機化合物は, その中にカルボキシル基-COOHやヒドロキシル基-OH の官能基が存在すると, 金属ナトリウムと反応して水素を発生する。
問題本文中の「化合物 A をエーテル中で金属ナトリウムと反応させたところ, 化合物 A 1.0 mol あたり, 水素 1.5 mol が発生し,
反応後も金属ナトリウムは残っていた」ことから, 果汁中の化合物Aはカルボキシル基-CCOHやヒドロキシル基-OHを有し, 次の脱水素反応が生じる。
2C2H3(OH)(COOH)2 + 6Na → 2C2H3(ONa)(COONa)2 + 3H2
よって, 上図の5つの平面構造式から除去されるものは, (4)と(5)になる。
問2の答
● 問題本文中のA下線部で除去される平面構造:下図の(3)…問1の答参照
[理由] 酸化反応において, 第3級アルコールは, OH基が結合する炭素原子に水素原子がないので酸化されにくい。
● 問題本文中のB下線部で除去される平面構造:下図の(2)…問1の答参照
[理由] 脱水反応において, 下図(2)の第1級アルコールでは, 1種類の生成物しかできない。一方, 下図(1)の第2級アルコールでは,
幾何異性体のcisとtransの2種類の生成物を生じる。
● 問題本文中のA「化合物 A をクロム酸二カリウムで酸化したところ, 分子式 C4H4O5 の化合物 B が得られた」ことから, 化合物Aはクロム酸二カリウムで酸化され, 脱水素反応が次のように生じたことになる。
A:C4H6O5 → B:C4H4O5 + 2(H)
ここで, 化合物Aの脱水素反応は, A中のヒドロキシル基-OH の水素原子とその基が結合する炭素原子の水素原子に起因する。そこで, 問1答(1)の第2級アルコール(下図参照)と(2)の第1級アルコール(下図参照)は,
次の式のように脱水素反応を生じる。
問1答(1)の第2級アルコールは,
C2H3(OH)(COOH)2 → CH2(CO)(COOH)2 + 2(H)
問1答(2)の第1級アルコールは,
C2H3(OH)(COOH)2 → CH(CHO)(COOH)2 + 2(H)
問1答(3)は第3級アルコール(下図参照)に属し, OH基が結合する炭素原子に水素原子がないので酸化されにくい。 よって, 問1答の(3)の第3級アルコールは除去される。
また, 生成物のBは, CH2(CO)(COOH)2 or CH(CHO)(COOH)2 であるが, 下の記述から, 化合物Aは問1答(1)の第2級アルコールになるので, CH2(CO)(COOH)2 となる。
● 問題本文中のB「化合物 A に強酸を加えると, 分子内から水が 1 分子除去されて, 化合物CとDの混合物が得られた。この化合物CとDは,
いずれもオゾンおよび臭素と反応した」ことから, 化合物Aは, 脱水反応において, その2種類の生成物のCとDがオゾンおよび臭素と反応することにより,
二重結合が生じた。
よって, その反応式は, 問1答(1)の第2級アルコールでは,
C2H3(OH)(COOH)2 → HOOC-CH=CH-COOH + H2O
問1答(2)の第1級アルコールでは,
C2H3(OH)(COOH)2 → H2C=C-(COOH)2 + H2O
脱水反応で2種類の生成物が生じるためには, 問1答(1)の第2級アルコールが適合しており, その2種類の生成物CとDは幾何異性体のcis構造(ここではマレイン酸)とtrans構造(ここではフマル酸)に相当する。
(image327)
[問3の答]…(問2参照)
● 化合物A HOOC-CH2CH(OH)-COOH の平面構造と化合物B CH2(CO)(COOH)2 の平面構造…下の図を参照して下さい。
[問4の答]…(問2参照)
● 化合物CとD HOOC-CH=CH-COOH の平面構造…下の図を参照して下さい。
(image329)