3章C 類題3-2(0080925)             TOP-C 

[問題] 次の本文について下の各問いに答えなさい。

生体内では, 常に, 生命を維持するために, 化学反応いわゆる物質代謝による(ア)化と(イ)化が行われ, 同時にエネルギーの出し入れが生じている。この化学反応は, 反応物が単に出会い衝突するだけでは起こりにくいが, 生体内に常時存在する酵素と言われる(ウ)質を主成分とする触媒によってスムーズに速やかに行われる。
触媒作用をする酵素には次の特徴がある。
●基質(酵素の触媒作用を受ける反応物質)特異性…酵素と基質は構造的に鍵と鍵穴にたとえられるように, 酵素は(エ)の基質に(エ)の化学反応だけを行なう。●最適温度…酵素は一般に体温付近の温度でよく作用する。高温では(オ)性し失活する。●最適pH…酵素には最もよく作用するpH値があり一般に(カ)性付近である。そして, 複雑な構造を有する生体内物質の合成は一般に多段階の複数の酵素の触媒作用による反応を通して行われる。

問1上の本文の(ア)〜(カ)に最も適した語句を入れなさい。

                              

問2 細胞や体液のなかでは多種類の酵素の触媒作用で種々の化学反応がたえず進行している。すでに本文で記述したように, 複雑な構造を有する生体内物質の合成は一般に多段階の複数の酵素による触媒作用の反応を通して行われる。
ここで6種類のE1〜E6の酵素を含む混合溶液がある。それらの酵素は次のような触媒作用をする。
    E1, E2, E3 … ―CH2 ―CH(OH)― : 基質中の―CH2―を酸化することでOH基を生じる。
    E4 … ―CH(OH)― ―CO― : 基質中の―CH(OH)―を酸化することでCO基を生じる。
    E5, E6 … ―CO― ―CH(OH)― : 基質中の―CO―を還元することでOH基を生じる。
ここで, E1〜E6の酵素を含む混合溶液にステロイド骨格をもつ化合物Mを加え十分時間をかけると, 各化合物 M, N, O, P, Q, R, Sにおいて, 6つの反応 M→N, N→O, O→P, P→Q, Q→R, R→Sを段階的に経過して最終生成物のSを得た。MはすべてSに変換した。
段階的反応経路M → N → O → P → Q → R → Sを図示すると次のようになる(image176)。

        上の図の構造式において, 炭素原子に結合している水素原子は省略してある。

このとき, 混合溶液の中の各酵素は「上記の6つの反応M→N, N→O, O→P, P→Q, Q→R, R→Sでそれぞれ1つだけ触媒として作用し, M〜R以外の化合物を基質としない」, また, 各酵素反応は「不可逆的であり溶液中に基質以外の化合物や他の酵素が存在しても進行する」とする。また, PとRを無水酢酸で反応させると1分子あたり3つのアセチル基が導入された。

次の(1)〜(3)に答えなさい。構造式を示すときは上図を参照すること。

(1) 化合物 N, O, Q, R に相当する構造式を上図の1〜4から選んで答なさい。答は番号1〜4で示すこと。

                              

(2) ―CO―を―CH(OH)―にする酵素以外の触媒でMを還元すると2種類の立体異性体が生じた。生成した2種類の立体異性体を上述の酵素混合溶液に加え完全に酵素反応を完結させた。このとき, 溶液中に2種類の化合物の存在が確認できた。この2種類の構造式を示しなさい。

                              

(3) 酵素E1を除いたE2〜E6を含む酵素混合溶液をMに加え酵素反応を完結させた。完結後の溶液中に含まれる化合物をM〜Sから選んで答えなさい。