10章 C類題1-1(170215)             TOP-C


[問題] 次の文章を読み, 問1~5 に答えなさい。必要あれば次の値を用いなさい。元素の原子量: H = 1.0, C = 12.0, O = 16.0 および気体定数: R = 8.3×103 Pa・L・K-1・mol-1.

 二酸化炭素(CO2)は人間の生活において身近な気体であり, 炭酸飲料や入浴剤など多くの場面で登場する。これらには, CO2気体の水に対する高い溶解度が活かされている。また, ドライアイス(CO2の固体)も冷却剤として広く利用されている。これは, ドライアイスが低温であるだけでなく, 液体になることなく空気中に拡散する(昇華する)という便利な性質によるところが大きい。

 CO2など大気圧下で昇華する固体の多くは分子性結晶であり, その分子間力のうちの主な引力は( a )力である。CO2分子の C と O の間は( b )重結合で結ばれており, OCO結合角は( c  )度である。ドライアイスの蒸気圧が一酸化炭素(CO)固体の蒸気圧よりはるかに低い主な理由は, COの極性が小さいことに加え, ( a )力は( d )が大きいほど大きくなるからである。

 CO2の性質を調べるため, 下の図1-1に示す実験装置を考えよう。温度 -196℃, 容積 0.5Lの容器 A には質量 2.7g のドライアイスのみが, 温度 0℃, 容器 0.50L の容器 B には 0.25L の水のみが入っている。2つの容器は細い管でつながれており, その間にはバルブがある。最初の状態では, バルブは閉じている。バルブ, 圧力計および管内部の体積は無視できるものとする。ここで, 1:温度計, 2:圧力計, 3:バルブ, 4:恒温槽, 5:ドライアイス, 6:水。 下の図1-2は CO2の状態図である。なお, 以下の問では, 気体は全て理想気体とし, 気体の圧力と液体への溶解度の関係については, ヘンリーの法則が成り立つものとする。

                    (image622)


問1 空欄( a )~( d )に当てはまる言葉や数字を答えなさい。

 


問2 図1-2 において, 圧力 1.0×105 Pa でドライアイスが昇華する温度は何℃ですか。また, CO2 の液体が生成する最低の圧力は何 Pa ですか。それぞれ有効数字2桁で答えなさい。

 


問3 容器 A を問2 の昇華温度に上げたとき, 容器 A 内のドライアイス質量は何g ですか。有効数字2桁で答えなさい。ただし, ドライアイスの体積は無視してよい。

 


問4 容器 A の温度を問3 の温度からさらに上げていくと, ある温度でドライアイスがすべて昇華して気体になった。そのときの温度は何℃ですか。有効数字2桁で答えなさい。さらに温度を上げ, 容器が 0℃になったとき, 容器内の圧力は何 Pa ですか。有効数字2桁で答えなさい。

 


問5 問4 の操作が終了した状態でバルブを開けると, CO2気体は容器 B に流れ込み, 水に溶け込んでいく。十分に時間が経ち平衡状態に達したとき, 水に溶け込んだ CO2 の物質量は何 mol ですか。

 また, 容器内の圧力は何 Pa ですか。それぞれ有効数字2桁で答えなさい。答に至る過程も記しなさい。ただし, 0℃における 1.0×105 Pa の CO2 気体の水に対する溶解度は 0.080 mol・L-1 とする。また, 0℃における水の蒸気圧は無視してよい。