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問1の答  0.055 g


 鉄と硫酸水溶液との完全反応において, 水溶液は淡緑色になるので, その化学反応式は次のようになる:

  Fe + H2SO4 → Fe2+ + SO42- + H2  …(1)

 気体の水素は標準状態で 22 mL発生するので, その物質量 M [mol] は,

  MH = 22/(22.4×103) = 9.82×10-4 [mol]

 この MH の値は, (1)式より, Fe の物質量と同じであるので, その質量 WFe [g] は, 鉄の原子量を使用して,

  WFe = 56×(9.82×10-4) = 0.055 g

 また, 水溶液中の Fe2+ の物質量 MFe2+は, (1)式によってH2 のMH と等しくなるので,

  MFe2+ = 9.82×10-4 [mol]


問2の答  2.1


 溶液中の鉄イオン Fe2+ は酸化剤ですべて酸化され, 溶液は黄褐色に変化したことより,

  Fe2+ → Fe3+ + e-  …(2)

 (2)式より, Fe3+ の物質量 MFe3+ はFe2+ と 同値であることがわかる(問1答解説参照)。

  MFe3+ = MFe2+ = 9.82×10-4 [mol]

 (2)の完全反応後に, その水溶液に水酸化ナトリウム水溶液(NaOH → Na+ + OH-) 50.0 mL を加えたところで, 反応が(3)式のように起こり, Fe(OH)3 が沈殿しはじめ, 水は(4)式のように電離する(なお, 水溶液中で残っていた硫酸は水酸化ナトリウムで全て中和される):

  Fe3+ + 3OH- ⇄ Fe(OH)3  …(3)

  H+ + OH- ⇄ H2O  …(4)

 この水溶液 150 + 50 = 200 mL = 0.2 L において, (3)ではFe(OH)3 の溶解度積 Ksp, (4)では水のイオン積 KW が次のように成立する。

  Ksp = [Fe3+][OH-]3 = 1.0×10-38 (mol/L)4   …(3)'

  KW = [H+][OH-] = 1.0×10-14 (mol/L)2  …(4)'

 ここで,

  [Fe3+] = (9.82×10-4)/0.2 = 4.91×10-3 [mol/L]

 (3)'式と上の[Fe3+]値より,

  [OH-] = {(1.0×10-38)/(4.91×10-3)}1/3 = (0.2037×10-35)1/3

     = (2.037)1/3×10-12 [mol/L]  …(5)

 (4)'式と(5)式から,

  [H+] = (1.0×10-14)/{(2.037)1/3×10-12} = (2.037)-1/3×10-2 [mol/L]

 よって, pH値は

  pH = -log[H+] = -log{(2.037)-1/3×10-2} = 2 + (1/3)log(2.037)

    = 2 + (1/3)log(10/5) = 2 + (1/3)(1 - log5) = 2 + 0.1 = 2.1