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問1の答

 (ア) : 0.10,  (イ) : 2.0×10-3,  (ウ) : 1.0×10-4x,

 (エ) : 2.0×10-3 - 1.0×10-4x,  (オ) : (2.0 - 0.10x)/(20 + x),

 (カ) : 1.0×10-4x - 2.0×10-3,  (キ) : (0.10x - 2.0)/(20 + x)


● (ア)において, 塩化ナトリウムは水溶液中では完全電離していると考えてよいから,

  NaCl(固) → Na+ + Cl-

 上式を考慮すると, 塩化ナトリウムNaCl(固)の物質量と水溶液中の塩化物イオンCl-の物質量は等しい。そこで, 0.10mol/L の塩化ナトリウム水溶液中の塩化物イオンのモル濃度[Cl-]は,

  [Cl-] = 0.10mol/L …(ア)

 この水溶液 20mL 中の塩化物イオンの物質量 MCl- は,

  MCl- = 0.10×(20/1000) = 2.0×10-3 mol …(イ)

 この塩化ナトリウム水溶液に, 0.10mol/L の硝酸銀水溶液を x ml 加えると, 加えた銀イオンの物質量 MAg+

  MAg+ = 0.1×(x/1000) = 1.0×10-4x [mol] …(ウ)

 1) において, すなわち MCl-:2.0×10-3 [mol] > MAg+:1.0×10-4x において, 加えた銀イオンのほぼ全量が塩化銀として沈殿するので, 溶液中には, 未反応の塩化物イオンの物質量は,

  未反応の塩化物イオンの物質量 = 2.0×10-3 - 1.0×10-4x [mol] …(エ)

 そのモル濃度は, 水溶液の体積が (20 + x) になるので,

  未反応の塩化物イオンのモル濃度 = (2.0×10-3 - 1.0×10-4x){1000/(20 + x)} mol/L

         = (2.0 - 0.10x)/(20 + x)} mol/L …(オ)

 2) において, すなわち MCl-:2.0×10-3 [mol] = MAg+:1.0×10-4x において, 水溶液中のほとんどの塩化物イオンと銀イオンが塩化物として沈殿する。しかし, 化学平衡によって, 塩化物イオンと銀イオンは小同量存在する。

 3) において, すなわち MCl-:2.0×10-3 [mol] < MAg+:1.0×10-4x において, 溶液中の塩化物イオンのほぼ全量が塩化物として沈殿し, 溶液中には未反応の銀イオンの物質量は,

  未反応の銀イオンの物質量 = 1.0×10-4x - 2.0×10-3 [mol] …(カ)

 そのモル濃度は, 水溶液の体積が (20 + x) になるので,

  未反応の銀イオンのモル濃度 = (1.0×10-4x - 2.0×10-3){1000/(20 + x)} mol/L

         = (0.10x - 2.0)/(20 + x)} mol/L …(キ)


問2の答

 (ク) : AgCl(固) ⇄ Ag+ + Cl-   (ケ) : K = [Ag+][Cl-]/[AgCl(固)]


● (ケ)において, 右辺の分子の[Ag+]と[Cl-]は液相で, 分母の[AgCl(固)]は固相で考えており, その相が違っているので, それらの濃度変化に対して, K値は変化して一定値にならない。


問3の答  1.3×10-5 mol/L

 [計算過程] 

 次の塩化銀の溶解度積を用いる。

  Ksp = [MAg+][MCl-] = 1.8×10-10 (mol/L)2   …(1)

 ここで, 問2(ク)の答から,

  [MAg+] = [MCl-]  …(2)

 (1)と(2)から,

  [MAg+] = (1.8×10-10)1/2 = 1.81/2×10-5 = 1.3×10-5 mol/L


● 
0.10mol/L の硝酸銀水溶液 20ml に含まれる銀イオンの物質量は, 問1(ウ)の式を考慮すると,

  MAg+ = 0.10×(20/1000) = 2.0×10-3 mol

 一方, 0.10mol/L の塩化ナトリウム水溶液 20mL 中には, 塩化物イオンの物質量は, 問1(イ)の答から,

  MCl- = 0.10×(20/1000) = 2.0×10-3 mol

 よって, MAg+ = MCl- このことは, 問題本文の 2)に相当し, 次のことを意味する :

  「水溶液中のほとんどの塩化物イオンと銀イオンが塩化物として沈殿する」

 これは, 塩化物イオンは, 水溶液中にはほとんど含まれていないことになる。しかしながら, 次の塩化銀の溶解度積を用いると

  Ksp = [MAg+][MCl-] = 1.8×10-10 (mol/L)2   …(1)

 ここで, 問2(ク)の答から,

  AgCl(固) ⇄ Ag+ + Cl-

 よって,

  [MAg+] = [MCl-]  …(2)

 (1)と(2)から,

  [MAg+] = (1.8×10-10)1/2 = 1.81/2×10-5 = 1.3×10-5 mol/L


問4の答   25 ml

 [計算過程]

 塩化銀の溶解度積は,

  Ksp = [Ag+][Cl-] = 1.8×10-10 (mol/L)2  …(1)

 そこで,

  [Cl-] = 1.6×10-8 mol/L

 を (1)式に代入すると, 溶液中の銀イオンのモル濃度 [Ag+] は,

  [Ag+] = (1.8×10-10)/( 1.6×10-8) = 1.125×10-2 mol/L  …(2)

 一方, 問1(キ)の答を参照して,

  [Ag+] = (0.10z - 2.0)/(20 + z) mol/L  …(3)

 ここで, (2) = (3) から,

  1.125×10-2 = (0.10z - 2.0)/(20 + z)

 よって,

  z = 25 ml


● 塩化銀の溶解度積は,

  Ksp = [Ag+][Cl-] = 1.8×10-10 (mol/L)2  …(1)

 そこで,

  [Cl-] = 1.6×10-8 mol/L

 を (1)式に代入すると, 溶液中の銀イオンのモル濃度 [Ag+] は,

  [Ag+] = (1.8×10-10)/( 1.6×10-8) = 1.125×10-2 mol/L  …(2)

 一方, [Cl-] と [Ag+] を比較して [Ag+] が非常に大きいことを考慮すると, 0.10mol/L の塩化ナトリウム水溶液 20ml に 0.10mol/L の硝酸銀水溶液を z ml 加えると, 問題本文の3)に相当し, 塩化物イオンのほぼ全量が塩化物として沈殿し, 溶液中には未反応の銀イオンが残存することになる。

 よって, 残存の未反応の銀イオン [Ag+] は, 問1(キ)の答を参照して,

  [Ag+] = {(1.0×10-4z) - (2.0×10-3)}×{1000/(20 + z)} = (0.10z - 2.0)/(20 + z) mol/L  …(3)

 ここで, (2) = (3) から,

  1.125×10-2 = (0.10z - 2.0)/(20 + z)

  (1.125×10-2)(20 + z) = 0.10z - 2.0

  0.10z - 0.01125z = 0.225 + 2.0

  0.08875z = 2.225

 よって,

  z = 25.07 = 25 ml