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問1
解答正・・・無機…シリコーンゴム, ポリ塩化ホスホニトリル, ウンモ, ソーダ石灰ガラス, アスベスト 有機…ポリ塩化ビニル, 生ゴム, ナイロン-6,6, セルロース, タンパク質, PET, デンプン, ニトロセルロース
●ヒント
○高分子の中の主骨格が, 有機化合物をベースにしたものか, またはそれ以外のものかで, 有機, 無機にわける。
(例)
○ポリ塩化ビニル : 分子構造の(-CH2-CH(Cl)-)nにおいて, 主骨格は, …-CH2-CH-…で有機化合物の炭化水素をベースにしている。したがって, 有機高分子に属する。
○シリコーンゴム : 分子構造の(-Si(CH3)2-O-)nにおいて, 主骨格は, …-Si-O-…で無機化合物の酸化ケイ素をベースにしている。したがって,
無機高分子に属する。
●ポリ塩化ホスホニトリル(窒化塩化リン重合体)の構造式は, (-P(Cl2)=N-)nである。
問2
解答正・・・@天然高分子…デンプン, アスベスト, タンパク質, 生ゴム, セキボク, セルロース, 石英 A合成高分子…ポリ酢酸ビニル,
ポリ乳酸, ビニロン, 尿素樹脂, ポリプロピレン, クロロプレンゴム B半合成高分子…アセチルセルロース, ニトロセルロース,
ホウ酸塩ガラス, レーヨン
●ヒント
○天然高分子…有機天然高分子は, 普通, 生物の体内でつくられる。生命と形態の維持・保護の機能を有する。無機天然高分子は,
普通, 地球などの形成過程において, 地球などの内部で高温から低温を通して高圧を受けてつくられる。
(例)有機天然高分子のデンプン:[-C6H10O5-]n…ジャガイモなどのイも類や小麦などの穀類に多く含まれている。水とともに粉砕し繊維などの他の物質を除去し沈殿精製して取り出す。植物の光合成によってつくられる。
○合成高分子…有機合成高分子は, 石炭, 石油, 天然ガスを主原料としてビニル系や多官能基含の単量体がつくられた後,
その単量体の付加重合や縮合重合などでつくられる。無機合成高分子(合成鉱物)は,
無機物質を原料として, 常圧または高圧の下で, 溶融, 焼成, 溶液などの状態にしてつくられる。天然と同じものも合成される場合がある(名称は,
普通, 名称前に合成が付けられる)。
(例)有機合成高分子のポリ酢酸ビニル:(-CH2-CH(OCOCH3)-)n
…ビニル系単量体の酢酸ビニル CH2=CH(OCOCH3)の付加重合でつくられる。
○半合成高分子…天然高分子の主骨格は, ほぼそのままで, 各種の処理により機能を高めた高分子である。
(例)アセチルセルロース:[C6H7O2(OH)3-m(OCOCH3)m]n ただしm=0〜3…工業的製法では, セルロースを無水酢酸でアセチル化する。言いかえるならば,
セルロース分子中にある一部の水酸基の水素原子をアセチル基OCOCH3(CH3COOでもよい)で置き換える。プラスチック, 人造絹糸, 塗料ラッカー, フイルムベースなどに用いられる。
問3
解答正・・・[鎖状] ポリスチレン, ナイロン-6,6, PET, メタクリル樹脂, ポリエチレン 加熱…可塑性
[網目状] フェノール樹脂, メラミン樹脂 加熱…硬化性
●ヒント
○ポリスチレンなどの鎖状高分子は, 普通, 加熱すると自由に変形可能となり冷却すれば再び固化する。これを繰り返しても化学変化を生じない…熱可塑性。
○フェノール樹脂などの網目状高分子物質は, 加熱すると, 化学変化で物質中に架橋に相当する結合が生じて網目状構造がさらに増加するために硬化し変形しにくくなる…熱硬化性。
問4
解答正・・・ポリスチレン…CH2=CH(C6H5), フェノール樹脂…C6H5OH, HCHO,
ナイロン-6,6…HOOC(CH2)4COOH, H2N(CH2)6NH2, メラミン樹脂…C3N3(NH2)3, HCHO,
PET(ポリエチレンテレフタラート)…HOOCC6H4COOH, HO(CH2)2OH, メタクリル樹脂…CH2=C(CH3)COOCH3, ポリエチレン…CH2=CH2
●ヒント
各高分子生成の化学反応式は, 単量体(反応の出発物質)から次のように書かれる。
○ポリスチレン…スチレンCH2=CH(C6H5)の単量体から付加重合で合成される。
n CH2=CH(C6H5) → (-CH2-CH(C6H5)-)n
○フェノール樹脂…フェノールC6H5OHとホルムアルデヒドHCHOの単量体から付加と縮合重合(縮重合ともいう)で合成される。
反応は複雑であるが, 1つの例として,
フェノール+ホルムアルデヒド→(付加と縮合)→レゾール(*メチロールフェノールと**メチロールジフェニルメタンの混合物)→(縮重合)→フェノール樹脂(ベークライトA):メチレン結合(―CH2―)・ジメチレンエーテル結合(―CH2OCH2―)形成
*フェノールとホルムアルデヒドの付加による各種メチロールフェノール生成の化学反応式:
C6H5OH + n HCHO → C6H5−n(OH)(CH2OH)n ただしn=1〜3
**フェノールとホルムアルデヒドの付加と縮合による各種メチロールジフェニルメタン生成の化学反応式:
2C6H5OH + (2n+1)HCHO → HOC6H4−n(CH2OH)nCH2C6H4−n(CH2OH)nOH + H2O
ただし、n=0〜2
いま, *において, 生成される1種類の2,4,6-トリメチロールフェノールだけの縮重合で合成されるフェノール樹脂は, 1つのプロセスとして次のようになる:
n C6H2(OH)(CH2OH)3 → 脱水縮重合(下図の網目構造)
(image68)
○ナイロン-6,6…アジピン酸HOOC(CH2)4COOHとヘキサメチレンジアミンH2N(CH2)6NH2の単量体から縮合重合で合成される。
n HOOC(CH2)4COOH + n H2N(CH2)6NH2
→ HO-(-CO-(CH2)4-CO-NH-(CH2)6-NH-)n-H + (2n-1)H2O
(または n HOOC(CH2)4COOH + n H2N(CH2)6NH2
→ (-CO-(CH2)4-CO-NH-(CH2)6-NH-)n + 2n H2O )
○メラミン樹脂…メラミン C3N3(NH2)3とホルムアルデヒドHCHOの単量体から付加と縮合重合で合成される。
メラミン+ホルムアルデヒド→(付加)→*種々のメチロールメラミン→(脱水縮合重合)→メチレン結合(-CH2-)またはジメチレンエーテル結合(-CH2OCH2-)でメラミン樹脂を形成
*メラミンとホルムアルデヒドの付加による2-メチロールメラミン生成の化学反応式:
(image70)
下図の網目構造のメラミン樹脂は2,6-ジメチロールメラミンと2,4,6-トリメチロールメラミンの脱水縮重合で生成される。
(image71)
○PET(ポリエチレンテレフタラート)…テレフフタル酸HOOCC6H4COOHとエチレングリコールHO(CH2)2OHの単量体から縮合重合で合成される。
n HOOCC6H4COOH + n HO(CH2)2OH → HO-(-CO-C6H4-CO-O-(CH2)2-O-)n-H + (n-1)H2O
( またはn HOOCC6H4COOH + n HO(CH2)2OH → (-CO-C6H4-CO-O-(CH2)2-O-)n + n H2O )
○メタクリル樹脂…メタクリル酸メチルCH2=C(CH3)COOCH3の単量体から付加重合で合成される。
n CH2=C(CH3)COOCH3 → (-CH2-C(CH3)COOCH3-)n
○ポリエチレン…エチレンCH2=CH2の単量体から付加重合で合成される。
n CH2=CH2 → (-CH2-CH2-)n
問5
解答正・・・@ナイロン-6,6AポリエチレンBフェノール樹脂Cメタクリル樹脂
問6
解答正・・・ポリスチレンの合成 : n CH2=CH(C6H5) → (-CH2-CH(C6H5)-)n …付加重合
PETの合成 : n HOOCC6H4COOH + n HO(CH2)2OH → HO-(-CO-C6H4-CO-O-(CH2)2-O-)n-H
+ (n-1)H2O …縮合重合
問7
解答正・・・(ア)にくい(イ)にくい(ウ)にくい(エ)やすい(オ)やすい(カ)やすい(キ)にくい
●ヒント :
○高分子物質の分子量は, およそ10000以上の大きな値をもっているが, 一般的に平均値を意味しており小さな値から大きな値まで分布している。
○高分子の構造は, 鎖状や網目状の高次元構造をしている。
○理論的には, 熱力学, 統計力学, 量子力学に関連している。